昨日お知らせいたしましたように、本日は小平楽友サークル講座、ベートーヴェン・シリーズVol.2の第4回を無事に開催させていただくことができました。今回のテーマは、ピアノ・ソナタ第28番作品101と第29番作品106『ハンマークラヴィーア』でしたが、第28番作品101については、シューマンの『幻想曲ハ長調』作品17のモデルとなったソナタであることをお話をいたしました。例えば、第1楽章同士を比べますと、和声進行が酷似しております。そして、第2楽章はどちらも勇ましい付点リズムのマーチとなっていて、雰囲気がよく似通っております。

 それをご理解いただくために、まず、シューマンの『幻想曲』を聴きました。この曲の録音は多々ございますけれども、かねてから非常に優れたシューマン演奏だと敬服していた、『松浦豊明の世界第1集/シューマン・ライヴ集』に収録されている、1990年、武蔵野市民文化会館大ホールにおける松浦豊明リサイタルのライヴ録音CDを、皆様に聴いていただきました。

4988003484163
e7ca69281a77e3d0da084483a98cc71d

 松浦豊明先生については前にも書きましたが、1929年大阪府豊中生まれ。東京音楽学校(現・東京藝術大学)ピアノ科とベルリン国立音楽大学に学ばれたピアニストで、1948年 第17NHK・毎日音楽コンクールピア ノ部門で第1位および特賞。1950, デビュー・リサイタル。同年, 文部省芸術祭賞受賞。NHK交響楽団定期演奏会にデビュー。1958, 日本代表として参加した第1回チャイコフスキー国際ヨンクールに入賞、1959, ロン=ティボー国際コンクールにて審査員・聴衆の満場一致で第1位グランプリを受賞されたピアニストです。東京藝術大学教授、大阪音楽大学教授なども務められました。日本のピアノ界の大先達でいらっしゃいます。

小川の流れを思わせる清冽な音と、そこに込められた豊富なニュアンスが松浦先生のピアニズムを特徴づけていて、ロマン派の旗手シューマン作品にはまことにぴったりです。『幻想曲』の瑞々しい演奏は次に聴くベートーヴェンへの期待を高めました。

これを踏まえて、ベートーヴェンの第28番と第29番『ハンマークラヴィーア』をダニエル・バレンボイムの1984年の映像で鑑賞し、さらに、『ハンマークラヴィーア』をヴィルヘルム・ケンプの1964年映像でしっかりと聴き入り、見入りました。

皆様とご一緒に聴きますと、音楽への想いを共有している喜びと心強さがありまして、一人で聴いているときとはまた異なる発見と興奮にわくわく致しました。

今回が大型連休のために1週延びましたため、次回は1週間後の519日です。いよいよ、最後の3つのソナタに到達いたします。ルドルフ・ゼルキン他の映像でじっくりと味わう予定です。ご関心のあられる方はどうぞお出かけくださいませ。小平楽友サークル講座は、原則として月2回、第一、第三水曜日の10:00~12:00  西武多摩湖線青梅街道駅徒歩5分の小平中央公民館で開催しております。どうぞ直接おいで下さいませ。

                                             2021512日記