昨日お知らせいたしましたように、本日は小平楽友サークル講座、ベートーヴェン・シリーズVol.2の第4回を無事に開催させていただくことができました。今回のテーマは、ピアノ・ソナタ第28番作品101と第29番作品106『ハンマークラヴィーア』でしたが、第28番作品101については、シューマンの『幻想曲ハ長調』作品17のモデルとなったソナタであることをお話をいたしました。例えば、第1楽章同士を比べますと、和声進行が酷似しております。そして、第2楽章はどちらも勇ましい付点リズムのマーチとなっていて、雰囲気がよく似通っております。
それをご理解いただくために、まず、シューマンの『幻想曲』を聴きました。この曲の録音は多々ございますけれども、かねてから非常に優れたシューマン演奏だと敬服していた、『松浦豊明の世界第1集/シューマン・ライヴ集』に収録されている、1990年、武蔵野市民文化会館大ホールにおける松浦豊明リサイタルのライヴ録音CDを、皆様に聴いていただきました。

小川の流れを思わせる清冽な音と、そこに込められた豊富なニュアンスが松浦先生のピアニズムを特徴づけていて、ロマン派の旗手シューマン作品にはまことにぴったりです。『幻想曲』の瑞々しい演奏は次に聴くベートーヴェンへの期待を高めました。
これを踏まえて、ベートーヴェンの第28番と第29番『ハンマークラヴィーア』をダニエル・バレンボイムの1984年の映像で鑑賞し、さらに、『ハンマークラヴィーア』をヴィルヘルム・ケンプの1964年映像でしっかりと聴き入り、見入りました。
皆様とご一緒に聴きますと、音楽への想いを共有している喜びと心強さがありまして、一人で聴いているときとはまた異なる発見と興奮にわくわく致しました。
今回が大型連休のために1週延びましたため、次回は1週間後の5月19日です。いよいよ、最後の3つのソナタに到達いたします。ルドルフ・ゼルキン他の映像でじっくりと味わう予定です。ご関心のあられる方はどうぞお出かけくださいませ。
2021年5月12日記
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