本夕、愛犬ウルフと散歩に出ましたら、東の空にややオレンジがかった大きなお月さまを発見し、わくわくいたしました。しばらくして22時少し前に観察いたしますと、だいぶ高い位置に昇って夕刻よりも小さくなり、色も白っぽくなっていましたが、プロポーションのよさは紛れもなく満月と思い、調べてみますと、やはり本日427日は満月で、正確に言えば1233が満月だったということです。

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なんでも、4月の満月はネイティブアメリカンの俗称で「ピンクムーン」と呼ばれるのだそうです、といっても、月がピンク色になるのではなく、ピンク色の花々が咲き誇る季節の満月であるゆえに、この愛称があるのだとか。人の心を妖しい物思いに誘う月。そういえば、音楽作品にも「月」に因んだものは多々ございます。

ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第14番嬰ハ短調の愛称『ムーンライト』は、彼の没後に詩人のレルシュタープが曲の第1楽章のことを「月光に照らされたルツェルン湖の湖面のさざ波を思わせる」と評したことに由来しますから、ぺートーヴェン自身のあずかり知らぬ愛称とはいえ、曲の特徴をよく捉えていると言えるでしょう。

ドビュッシーの『月の光』は本人の命名です。彼には他にも、前奏曲集第2巻の第7曲『月光の降り注ぐテラス』や、『映像』第2集の第2曲『荒れた寺にかかる月』もありますから、彼は間違いなく、月の魔性に魅せられた芸術家の一人でした。

謹厳実直な宮廷楽長ハイドンも、ゴルドーニの台本によるオペラ『月の世界』を書いているのは面白いことです。シューベルト歌曲にも『旅人の月に寄せる歌』『月に寄す』があり、たしか、シューマンの『リーダークライス』作品39の中にも『月の夜』を見いだせます。シェーンベルクのメロドラマ『月に憑かれたピエロ』はもちろん「月」がタイトルに入っていますし、タイトルに「月」が含まれずとも、他の男の子どもを宿していると告白した恋人を男が何も言わずに子どもごと受け容れる、というストーリー進行を持つ弦楽六重奏曲『浄夜』も、出来事の一部始終を照らし、見届けている真の主役は「月」なのでした。そして日本にも、名歌『荒城の月』『朧月夜』『月の砂漠』などなどがございます。
 まことに、月の生み出した芸術は数知れません。
 最後に、極め付きのこの曲をお聴きくださいませ。

  
(447) Renata Tebaldi - Vaga luna che inargenti (Bellini) - YouTube

                           2021年月27日記