本日は小平楽友サークル講座の開催日。現在ベートーヴェンのソナタ・シリーズを継続中で、今回は『熱情』に焦点を当て上記3人のピアニストの映像をじっくりと鑑賞いたしました。最後に意見交換をいたしましたところ、まず、80代の歴史的巨匠二人の矍鑠たる演奏に、皆様一様に驚嘆された上で、楽譜に忠実なアラウに共感された方、スタイリッシュで輝かしいルービンシュタインに魅了された方、弾き方が丁寧でしかもよく歌っていた杉谷昭子さんを好きとおっしゃられた方、それぞれポイントを押さえたご意見を伺うことができ、たいへん充実した講座となりました。下はルービンシュタインです。

OIP

3人のピアニストをご紹介いたしましょう。

 

●クラウディオ・アラウ               1903.2.6-1991.6.9

Claudio Arrau

チリのチャーン生まれ。ピアノ教師の母親から手ほどきを受けて5歳で初リサイタルを開催、神童と呼ばれます。8歳で政府奨学金を受給してベルリンへ留学し、ベートーヴェンの弟子ツェルニーの弟子リストの高弟マルティン・クラウゼに師事、生涯クラウゼ一人を師としました。11歳のベルリン・デビュー以後、ニキシュ、フルトヴェングラーといった歴史的大指揮者たちと共演を重ね、1927年にジュネーヴ国際コンクール優勝。41年カーネギー・ホール・リサイタルの大成功を機にニューヨークに定住。正統的なドイツ音楽の継承者としてベートーヴェン、ブラームスなどに高い評価を獲得する一方、リスト、ショパンも得意としました。65年以来、6回来日。鑑賞映像は、198326日の80歳誕生日Concertのライヴです。

 

●アルトゥール・ルービンシュタイン             1887.1.28-1982.12.20

Artur Rubinstein

ポーランドのウッチ生まれ。10歳でベルリンに出てリスト門下のカール・ハインリヒ・バルトに入門。1899年、12歳でデビュー、その後各地で演奏活動を展開、1906年にはニューヨーク・デビューも成功させました。楽譜にさほど忠実ではなく、直感力にまかせた演奏は聴衆からは熱烈に支持されjましたが批評家からは攻撃されたため、しばらく演奏活動を中止して技術と音楽を磨いたのち活動を再開、以前にも増した人気を獲得しました。スペイン、南米、北米と非常に広範な地域に冒険旅行ともいえる演奏活動を展開し、各地でさまざまな逸話を残しています。1935年に初来日。アメリカ滞在中の1939年、第二次世界大戦が始まったためそのままアメリカに留まり、1946年にアメリカ市民権を獲得しました。戦後はアメリカとヨーロッパを行き来して演奏活動を続け1976年に引退を宣言、82年ジュネーヴに没。95歳の大往生でした。鑑賞映像は、1975年イスラエルでのラスト・コンサートでの88歳のライヴ『熱情』です。

 

●杉谷昭子                     1943.2.25-2019.5.8

Sugitai Shoko

 和歌山県和歌山市生まれ。東京藝術大学で井口秋子らに学び卒業後渡独、ケルン音楽大学大学院修了。ブルーノ・ゲルバー、クラウディオ・アラウらの教えを受けていて、ご自身はことに、アラウの弟子であることを生涯誇りとして、折りに触れては口にしていらっしゃいました。

 ブラームスの協奏曲第1番を弾いて旧西ドイツ国家演奏家試験に合格し、デュッセルドルフ・デビュー、1971年エッセンフォルクヴァング・コンクール優勝、72年マリア・カナルス国際コンクール第2位。ベートーヴェンを得意とし、海野義雄とヴァイオリン・ソナタの全曲演奏会も開催したほか、ピアノ・ソナタ32曲、ピアノ協奏曲5曲の全曲録音も達成しました。長らく日独を往復して活動されましたが、晩年は日本で生活され、201958日、肺の病のために76歳で逝去されました。

 この映像は1989127日、今は閉館してしまった御茶ノ水の室内楽の殿堂カザルスホールでのリサイタルのライヴです。46歳になられる1か月前、弾き盛りでいらしたころの演奏です。

 わたくしはまだこの時期には存じ上げておりませんでしたが、のちにご主人様の岡田裕先生(デュッセルドルフ日本人学校の校長先生をなさった方です)ともども、お付き合いさせていただくようになり、何度も、気迫のこもった生演奏を拝聴させていただきました。

 201958日のご逝去のときは、暗澹たる思いがいたしました。

 もうすぐ、2年になりますから、今日は楽友サークルの皆様と共に演奏を拝聴出来、巨匠二人に伍すお褒めの言葉もいただけて、わがことのようにうれしく存じました。

 ありがとうございました。

 小平楽友サークル、次回は512日水曜日、10001200、小平中央公民館ホールにて開催いたします。ヴィルヘルム・ケンプの映像で『ハンマークラヴィーア・ソナタ』を鑑賞いたします。『ハンマークラヴィーア・ソナタ』とは何か。このピアノ・ソナタのどこが、世のあまたのピアノ・ソナタとはもちろんのこと、ベートーヴェンの他のソナタとも一線を画しているのか、このソナタを得意とするピアニストにはどんな顔ぶれが見いだせるのか、などレクチャーさせていただき、皆さまのご感想も自由に発表していただきたいと思っております。小平楽友サークルに見学、入会、ご希望の方は直接会場にお越しいただくか、このブログのコメント欄より、ご連絡くださいませ。会場は西武多摩湖線青梅街道駅徒5分、小平中央公民館です。

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