本夕、4月28日19:00よりサントリーホールで、読売日本交響楽団 第657回定期演奏会 アイヴァー・ボルトン指揮 エルガー:ラトリオ『ゲロンティアスの夢』を拝聴いたしました。マエストロ・ボルトンの指揮では先日22日、ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンの古典派3人衆プログラムを聴かせていただいたばかりで、それも結構でしたが、今宵のエルガーのオラトリオは、この作品に漂う濃厚なワーグナー・カラーと深い死生観の表出により、一段と聴き応えがございました。
IMG20260428185112_20260428230248

 『ゲロンティアスの夢』は、19世紀イギリスの文学者ジョン・ヘンリー・ニューマン(1801-1890)の同名長編詩をテキストとする、エルガー畢生のオラトリオ大作です。
 瀕死で病床に横たわる男ゲロンティアス(テノール=トーマス・アトキンス)が、来るべき「死」を恐れながらも、司祭(バリトン=クリストファー・モルトマン)の励まし、友人たちの祈り(合唱)に送られて旅立つまでの第1部、今や天国に足を踏み入れたゲロンティアスが、やさしい天使の導きで審判の場にいたり審判結果を得るまでを、独唱3名、混声四部合唱、オーケストで描く大規模オラトリオです。
 ゲロンティアス役のアトキンスさんは、申し分のない最高の歌唱で、高音になると素早くファルセットに切り替えておいででした。
 司祭役と、第2部の苦悶の天使役のクリストファー・モルトマンさんは豊かな声量と深みのある声質のバリトンで、あまりにもゆたかな第一声からして魅了されました。
 天使役のメゾ・ソプラノ、ベス・テイラーさんは第2幕からのご出演。存在感抜群のお声で、主人公を落ち着かせながら、天上界によく案内なさいました。
 エルガーがニューマンの原作に魅了されていたこと、それをもとに人の生と死、死んでからの世界について極めて深い思いを巡らせておられたことに、本日のコンサートを聴いて思いを深めました。
 人は誰しも向き合うことを回避できない、深くて重いテーマを名演で伝えてくださった、マエストロと読響に感謝いたします。
                                2026年4月28日記