昨1月19日の晩、サントリー・ホールで開催された辻井伸行さんのピアノ・リサイタルをお聴きしました。モーツァルトのハ短調幻想曲と、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第23番《熱情》を前半に置き、後半に、グリーグの《抒情小曲集》より、アリエッタ、トロルドハウゲンの婚礼の日等数曲、チャイコフスキーのバレエ音楽《くるみ割り人形》のプレトニョフ編ピアノ独奏組曲、という色とりどりのプログラムです。ベート―ヴェン、グリーグ、チャイコフスキー=プレトニョフが大変結構でした。
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 振り返ってみますと、辻井さんのキャリアはもうずいぶんとお長くなられました。
 毎回、サントリー・ホールを満席にされるリサイタル実績もご立派です。
 いつも、心からピアノがお好きでたまらない、というオーラを全身から発散されて弾かれるので、きいているわたくしどもは勇気と新鮮な気分をいただけます。
 アンコールは下記の4曲、これらも嬉々として演奏されました。
 ショパン:ノクターン嬰ハ短調 遺作
 ラフマニノフ:ここは素晴らしい場所
 辻井伸行:川のささやき
 ベートーヴェン:月光ソナタより第3楽章

 2曲目の「川のささやき」は、お父さまと川沿いを散歩されていたときに耳にされたという、表情豊かな川の流れの音から着想して書いた自作とのことでした。親しみやすい調性音楽で、左手が川の流れのアルペジオを刻むのにのせて、右手がロマンティックな旋律を歌います。
 着想時、ごいっしょに散歩されていらした父上も、客席で目を細めて聴いておいででした。
                               2026年1月20日記