本日19:00より市ヶ谷ルーテルホールを会場として、昨年が生誕150年記念年であったモーリス・ラヴェルの歌曲とピアノ曲のコンサートが開かれました。今年に少しずれ込みましたが、昨年のラヴェル生誕150年のアニバーサリーのコンサートです。
 プログラムはよく吟味され、厳選されぬいたもので、ちょっと他では聴けない佳品が並び、出演者も練達の名手が揃いました。というのも、企画者の明田重樹氏が、筋金入りのラヴェル精通者でいらっしゃり、出演諸氏とも長いご縁のある方だったからです。

■プログラム
愛に死せる王女のためのバラード

亡き王女のためのパヴァーヌ 

ハイドンの名によるメヌエット

博物誌

クジャク

コオロギ

白鳥

カワセミ

 ホロホロチョウ
マ・メール・ロワ

 眠りの森の美女のパヴァーヌ:ゆったりとした抒情的なパヴァーヌ舞曲。

 親指小僧:森に捨てられた親指小僧が目印にまいたパンくずを小鳥に食べられて困ってしまう物語。不安感漂う曲調の最後に小鳥の声がします。

 パゴダの女王レドロネット:パゴダとは中国製の陶器人形。小さなパゴタの人形たちが中国風音楽を奏でて女王を慰めます。

 美女と野獣の対話:中音域の美女と低音域の野獣が対話します。

 妖精の庭:ファンタジーにみちた華やかな終曲。 

【休憩】

 水の戯れ
5つのギリシャ民謡

 花嫁の目覚め

私と比べられる男前はだれなんだ?

 乳香を集める女たちの歌

 何と楽しい

ボレロ(連弾)
トリパトス

 魔法の笛

ドゥルシネア姫に心を寄せるドン・キホーテ

 空想的な歌

 「もしも、私の血があなたのものでなく私のものとおっしゃるなら、私は不名誉に打ちひしがれて死にましょう。おお、ドゥルシネア姫よ」

 英雄的な歌

 「おお、偉大なる聖ジョルジュ様、聖ミカエル様、聖母マリアよ。私のやさしい姫はあなたにそっくりです。アーメン」

 酒の歌

 「愛と古い葡萄酒は私の心と魂の悲しみに服させるとあいつは言った。私は陽気に飲む。陽気さこそが唯一のお目当てだ」

 ■出演者
 加藤楓(ソプラノ) 大島幾雄(バリトン) 廣田響子 村上寿昭 (以上ピアノ)

 この、まことにコアな、ラヴェル・プログラムに、ご依頼を受けて、楽曲解説を書かせていただいたご縁で、本夕はラヴェルの音楽シャワーを全身に浴びてまいりました。

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 大島幾雄先生は名バリトンとして知られた方で、第九のソリストとしてもお聴きしたことがあります。
 本日はその、いささかも若き日とそん色のない名唱をお聴きして、思わず、居住まいを正しました。
 ピアニストとして登場された村上寿昭さんは、小澤征爾さんの右腕だったマエストロで、小澤征爾オペラ塾でも活躍なさり、昨年は、成城学園で開かれた小澤さんを偲ぶ会のフォーレ『レクイエム』に小澤さん仕込みの名タクトを発揮された指揮者です。
 ラヴェルの、若き日から晩年まで、時代を追って創作人生を辿ったこのような企画は、滅多に遭遇出来ないものではないでしょうか。
 企画者、出演者の皆様に、心より、エールを送らせていただきます。
                                   2026年1月14日記