本日(6月15日)、13:30より、日本製鉄紀尾井ホールを会場として、ヴァイオリンの原田幸一郎先生の「80歳記念コンサート」が開催されました。桐朋学園に学ばれたのち渡米、ジュリアード音楽院でポール・マカノヴィッキー、ドロシー・ディレイ、イヴァン・ガラミアンに師事され、1969年に東京クワルテットを結成、翌70年にミュンヘン国際コンクールに優勝され、1981年まで同クワルテットの第一ヴァイオリン奏者として活躍された原田先生は、その後、室内楽活動、指揮活動と共に、桐朋学園、マンハッタン音楽学校で教鞭をとられて、多くの世界的ヴァイオリン奏者を世に送られました。
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 今年80歳を迎えられたのを記念して、教え子の何名かが発起人となって、記念コンサートを企画したところ、第一線で活躍中の奏者たちが、我も我もと喜んで出演を快諾されて、中には海外から駆け付けた方もおられたとかで、下記のような超豪華な顔ぶれによる、原田先生縁のプログラムで、3部構成の贅沢なコンサートが実現しました。
■出演者
原田幸一郎、池田菊衛(Violin)、磯村和英(Viola)、毛利伯郎(Cello)

Violin
青木調、植村太郎、小川響子、神尾真由子、神谷美千子、小林玉紀、崎谷直人、
島田玲奈、周防亮介、鈴木愛理、関朋岳、髙橋宗芳、高宮城凌、
竹内鴻史郎、辻彩奈、坪井夏美、東條太河、林悠介(コンサートマスター)、外村理紗、前田妃奈、
正戸里佳、MINAMI、南紫音、ミニクッチ・ローサ幸、毛利文香、 吉江美桜、渡辺紗蘭

Viola
青木篤子、杉田恵理、鈴木学、鈴木康浩、中嶋美月、福田悠一郎、 山本周

Cello
上野通明、菅井瑛斗、富岡廉太郎、原田佳也、村井智、矢部優典、

Double bass
岡本潤、若生賢斗

Piano
ミロスラフ・クルティシェフ

Conductor
原田幸一郎                    (五十音順、敬称略)

■曲目
第1部
1. ハイドン:弦楽四重奏曲 ト長調 Op. 76-1, Hob.III:75(全曲)/レグルス・クァルテット:吉江美桜、東條大河(Vn)山本周(Va)矢部優典(Vc)
2. ブラームス:弦楽四重奏曲第2番 イ短調 Op. 51-2 第1楽章/原田幸一郎、池田菊衛(Vn)磯村和英(Va)毛利伯郎(Vc)
3. ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第13番変ロ長調 Op. 130 第5楽章/原田幸一郎、池田菊衛(Vn)磯村和英(Va)毛利伯郎(Vc)
第2部
4. ブラームス:弦楽六重奏曲第1番 変ロ長調 Op. 18 第2楽章/神谷美千子、南紫音(Vn)鈴木学、鈴木康浩(Va)上野通明、富岡廉太郎(Vc)
5. チャイコフスキー:弦楽六重奏曲 Op. 70 「フィレンツェの思い出」 第2楽章/辻彩奈、正戸里佳(Vn)鈴木学、鈴木康浩(Va)上野通明、富岡廉太郎(Vc)
6. メンデルスゾーン:弦楽八重奏曲 変ホ長調 Op. 20 第1&第4楽章/MINAMI(吉田南)、外村理紗、毛利文香、竹内鴻史郎(Vn)福田悠一郎、中嶋美月(Va)富岡廉太郎、矢部優典(Vc)
7.シューマン:ピアノ五重奏曲 変ホ長調 Op. 44 第1楽章/ミロスラフ・クルティシェフ(Pf)神尾真由子、周防亮介(Vn)鈴木学(Va)上野通明(Vc)
第3部
8.チャイコフスキー:弦楽セレナード ハ長調 Op. 48/原田幸一郎(Cond)Mostly Koichiro Special Ensemble
林悠介(コンサートマスター)、鈴木愛理/吉江美桜、青木調/小川響子、小林玉紀/南紫音、正戸里佳/辻彩奈、渡辺紗蘭/周防亮介、竹内鴻史郎/神尾真由子、植村太郎(第1ヴァイオリン)
﨑谷直人、坪井夏美/東條大河、関朋岳/島田玲奈、高宮城凌/毛利文香、髙橋宗芳/MINAMI、/外村理紗、神谷美千子/ミニクッチ・ローサ幸(第2ヴァイオリン)
鈴木学、青木篤子/鈴木康浩、福田悠一郎/杉田恵理、山本周/中嶋美月(ヴィオラ)
富岡廉太郎、上野通明/矢部優典、村井智/菅井瑛斗、原田佳也(チェロ)
岡本潤、若生賢斗(コントラバス)
原田幸一郎(指揮)

 第1部のブラームス:弦楽四重奏曲第2番 イ短調 Op. 51-2 第1楽章、及び、 ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第13番変ロ長調 Op. 130 第5楽章は、原田先生と、かつての東京クワルテットのメンバー、池田菊衛先生、磯村和英先生、東京トリオのお仲間、毛利伯郎先生によるクワルテットで、どなたも鍛えぬいたテクニックと崇高なまでの音楽性によって、往時の東京クワルテットもかくや、と思える、高次元の演奏を聴かせてくださいました。
 メンデルスゾーンの八重奏曲の第一ヴァイオリンは、昨年ベルリン・フィルの入団オーディションに見事合格なさり、この9月から正式な試用期間が始まるという、吉田南さん。「MINAMI」をステージネームとされています。張りのあるふくよかな音をたっぷりと聴かせてくださいました。
 他の皆様も全員ソリスト。火花の散る、オクテットです。
 原田先生が指揮者として登場されたチャイコフスキーの弦楽セレナードは、第一ヴァイオリン14、第二ヴァイオリン12、ヴィオラ7、チェロ6、コントラバス2という大編成。
 チャイコフスキーは、これを書いた時、弦楽器だけでフル・オーケストラに匹敵するほどの数がほしい、と言ったそうなので、まさに彼の希望通り。
 しかも、超のつく名ソリストばかりなので、音圧も桁外れ。豊麗、豊穣な響きがホールを満たしました。原田先生の指揮のきめ細やかなこと。よく鳴らす事。チャイコフスキーが聴いたら、さぞ大喜びなさることでしょう。
 アンコールに、モーツァルトのディヴェルティメントk.136の第3楽章が溌溂と演奏され、コンサートが終了した時は17:00を回っていました。
 原田先生、おめでとうございます。
 どうぞこれからも、お元気でご活躍下さいませ。
                                2025年6月15日記