今年も、初夏の爽やかな風とともに、サントリーホールチェンバー・ミュージック・ガーデンの季節がやってきました。この室内楽フェスティバルの呼び物は、毎年各国から迎える実力派カルテットによる、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲全曲シリーズです。
今回はドイツのシューマン・クァルテットが招かれました。第1ヴァイオリンのエリック(1982年生)、第2ヴァイオリンのケン(86年生)、チェロのマーク(88年生)のシューマン3兄弟に、ヴィオラのヘルテンシュタインの加わったこのクァルテットは、ソリストでもあるエリックを中心に2007年に結成され、ボルドー弦楽四重奏コンクール他に優勝を飾ってきました。今回は8年ぶりの来日。
以前はヴィオラが女性でしたが今では男性のヘルテンシュタインさんに替わっていて、現メンバーではこれが初となる来日です。
3兄弟はロベルトとクララ夫妻の子孫ではありませんが、夫妻の住んだデュッセルドルフのお隣ケルンの出身。お父さまはたぶんドイツ人のヴァイオリニスト。お母さまは日本人ピアニストです。エリックさんは日本語も堪能ですから、ケンさんも、マークさんもそうだと思われます。
6公演に亘るベートーヴェン・サイクルは、毎年、団体により、17曲をさまざまにシャッフルします。その組み合わせ方も聴きどころの一つ。シューマン・カルテットは、6公演すべての第1曲に作品18の1~6曲を置く、という基本ポリシーのもと、あとの曲をうまく配列しています。
わたくしは、2公演目の12日の第2夜で、作品18-2、ラズモフスキーの2番、そして、珠玉の作品132を聴かせていただきました。配置は、上の写真のヴィオラとチェロが逆の、第一、第二、チェロ、ヴィオラです。
両ヴァイオリンの盤石のアンサンブルを核として、チェロ、ヴィオラがそれぞれ伸びやかに歌います。リーダーのエリックのみならず、セカンドのケンも美音の持ち主。二人の阿吽の呼吸がカルテットを支えていました。
このほか、2公演を拝聴いたします。
本日、15日、17日、18日に残りの公演がございます。
2025年6月14日記
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