世界史の授業で、グーテンベルクの活版印刷技術の発明、は、人類の一大事件であったことを、わたしたちは習いました。ドイツのマインツに、上流階級の商人の息子として生まれたヨハネス・グーテンベルク(1398~1468)は、1439年頃にヨーロッパで初めて、活字を用いた印刷を試みた人です。
 この活字による印刷技術の発明が、いかに多方面の文化、芸術、教育、情報普及に貢献し、人類の文化レベルを上げていったか、わたくしはこれまで、ごくごく漠然としか理解しておりませんでした。
 ところが昨日の昼、トッパンホールのランチタイムコンサート、『本堂竣哉ピアノ・リサイタル』をお聴きしたあと、同じ建物内、隣接の印刷博物館で開催中の企画展『黒の芸術~グーテンベルクとドイツ出版印刷文化』に入場し、懇切丁寧で優れた展示、グーテンベルク博物館、クリングシュポール博物館など本場ドイツから提供された貴重なオリジナル出版機材、復元された出版工程などを拝見したことで、この人類史上三大発明の一つの意義を、実感することができました。
 これは、非常に実践的で、あれこれの創意にも富み、おしみない手間暇、費用のかけられた、滅多に出会えない展示会です。 
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 7月21日まで、月曜休館、10:00~18:00、入館料、1,000円です。アクセスは、メトロ有楽町線の江戸川橋、徒歩15分。メトロ、JRの飯田橋駅からですと、それより少し歩きます。
 それでも、印刷出版文化にいささかなりともご関心にとってにとっては、一日いても飽きない企画展です。
 ところで、グーテンベルク大先生の偉業と並んで、と申しますか、その発展継承文化の一つとして、凸版印刷株式会社が開発した、マイクロブックの展示と詳しい制作行程のビデオがあり、それは驚くべき、印刷技術の華でした。
 マイクロブックの大きさは、0.74ミリ×0.75ミリ。20ページほどあって表紙も裏表紙もついて、きちんと製本された『四季の草花』というご本です。
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 拡大展示で実物もみられます。
 ギネスブックで世界最小の認定を受けた『四季の草花』は、現物と拡大本にルーペ付きで発売されたところ、完売ということでした。
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 日本にこれほどの技術力を持つ印刷会社が存在することを、日本人の一人として誇らしく思いました。
                             2025年6月13日記