ベルギーで開催されているエリザベート王妃国際音楽コンクール・ピアノ部門の第一次予選が10日に終わり、60名の出場者が24名に絞られました。先日お伝えいたしましたように、60名中、日本人は6名おられ、何と、6名全員が予選を通過なさいました。もう一度お名前をあげ、予選演奏曲目も記します。
 第一次予選の演奏曲は、次の条件を満たすように各自が選んだ25分以内のプログラムです。
①モーツァルト、ハイドン、ベートーヴェン(18番より前)のソナタ第1楽章
②自由曲
③エチュード4曲
ショパン、リスト、リゲティのエチュードを各1曲と、その他の作曲者のエチュードを1曲

 6名のみなさま、まことにおめでとうございます。次のラウンドでのご健闘をお祈りいたします。

◎亀井聖矢さん
  ベートーヴェン:ソナタ第13番 変ホ長調 Op.27-1 より アンダンテ、バラキレフ:イスラメイ(東洋風幻想曲)、ショパン:エチュード イ短調 Op.25-11 「木枯らし」、リスト:超絶技巧練習曲第12番 「雪あらし」 S.139-12、リゲティ:エチュード第9番 「めまい」、アルカン:短調による12のエチュード Op.39 より第12番「イソップの饗宴」

◎久末航さん
  ベートーヴェン:ソナタ第5番 ハ短調 Op.10-1 より アレグロ・モルト・エ・コン・ブリオ、シマノフスキ:「仮面劇」Op.34 より第1曲「シェヘラザード」、ショパン:エチュード 変イ長調 Op.10-10、リスト:超絶技巧練習曲第5番 「鬼火」 S.139-5、リゲティ:エチュード第7番 「悲しい鳩」、ドビュッシー:エチュード「3度のための」

◎桑原志織さん
 ハイドン:ソナタ 変ホ長調 Hob.XVI:28 より アレグロ・モデラート、ブラームス:パガニーニの主題による変奏曲 Op.35 第2巻、ショパン:エチュード イ短調 Op.25-11 「木枯らし」、リスト:超絶技巧練習曲第8番 「狩」 S.139-8、リゲティ:エチュード第7番 「悲しい鳩」、ラフマニノフ:エチュード「音の絵」 ハ短調 Op.39-1
  
◎中川優芽花さん 
 モーツァルト:ソナタ第3番 変ロ長調 KV 281 より アレグロ、ショパン:スケルツォ第3番 嬰ハ短調 Op.39、ショパン:エチュード ヘ長調 Op.10-8、リスト:超絶技巧練習曲第5番「鬼火」 S.139-5、リゲティ:エチュード第3番 「妨げられた打鍵」、ラフマニノフ:エチュード「音の絵」 ニ長調 Op.39-9

◎太田糸音さん
 ハイドン:ソナタ ト長調 Hob.XVI:6 より アレグロ、ラヴェル:「夜のガスパール」より「スカルボ」、ショパン:エチュード 嬰ハ短調 Op.10-4、リスト:パガニーニによる大練習曲 S.141 より第6番 イ短調、リゲティ:エチュード第6番 「ワルシャワの秋」、プロコフィエフ:4つのエチュード Op.2 より第1番 ニ短調

◎吉見友貴さん
  ハイドン:ソナタ ハ長調 Hob.XVI:50 より アレグロ、ショスタコーヴィチ:24の前奏曲とフーガ Op.87 より第15番 変ニ長調、ショパン:エチュード イ短調 Op.10-2、リスト:超絶技巧練習曲第12番 「雪あらし」 S.139-12、リゲティ:エチュード第10番 「魔法使いの弟子」、スクリャービン:エチュード 嬰ハ短調 Op.42-5

 ところで、このコンクールは、ベルギーの生んだ偉大なヴァイオリニスト、ウジェーヌ・イザイの功績を記念して、イザイの弟子であった同国のエリザベート王妃(当時はすでに皇太后)が、1937年にイザイ・コンクールの名称で創設されたのが前身です。のちに、現名称となり、部門も増えました。
 こちらが、エリザベート王妃。
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 お名前が、オーストリア最後の皇帝フランツ・ヨーゼフ1世の妃、シシィの愛称で親しまれたエリザベート王妃と同じなのは、同じくバイエルンの名門ヴィテルスバッハ家のご出身でシシィの姪にあたられ、叔母様にあやかってお名前をいただかれたからだそうです。
 現在のベルギー国王、フィリップ陛下は、エリザベート王妃の曽孫にあたられます。
 ベルギー王室は、代々、エリザベート王妃がそうであるように、ヨーロッパのさまざまな国の王室や上級貴族から妃を迎えてきましたが、フィリップ陛下の妃、マティルド王妃は、
同国の伯爵家から嫁がれた初のベルギー人王妃です。
 大学で言語聴覚士の資格を取得されて結婚前にはそれを生かした専門職に就いておられ、公用語のフランス語とオランダ語の他、イタリア語と英語を流暢に話されるという才女です。
 ご夫妻の間には二人の王女と二人の王子がおられますが、第一子のエリザベート王女が「性別を問わず長子が王位を継承する」というベルギーの法の定めるところにより、そのあとに2人の弟王子が生まれても揺るぎなく、将来のベルギー女王となられることがご誕生時から決まっているそうです。 
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 写真の奥の赤いワンピース姿がエリザベート王女。 

 日本の敬宮愛子さまと同年のお生まれです。
                                    2025年5月12日記