世界屈指の弦楽四重奏団、ベルチャ・クァルテットと、エベーヌ弦楽四重奏団が日本で顔合わせをして、ダブル・クァルテットによる弦楽八重奏公演を相次いで開催しました。3月28日のトッパンホール公演と3月29日の神奈川県立音楽堂公演を両日拝聴して、この8名の方々の音楽への強くて深い希求と、そり手段たる技術研鑽に怠りのない姿勢、その結果生まれる緊張度の高い、しかし、ゆとりも湛えた名演にただただ打たれました。
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 3月28日にトッパンホールでおこなわれた両カルテットの顔合わせ公演は、メンデルスゾーンの弦楽八重奏曲変ホ長調作品20と、エネスコの弦楽八重奏曲ハ長調作品7ノ2曲が正規プログラムで、アンコールとして、フォーレの『レクイエム』より「楽園にて」の弦楽八重奏版が演奏されました。
 3月29日の神奈川県立音楽堂公演では、このホールに両カルテットが出演するのは一回限りであることを考慮してか、二つのオクテットのそれぞれの頭に、前半エベーヌによる、ウェーベルン『弦楽四重奏のための緩徐楽章』、後半ベルチャによる、ショスタコーヴィチ、弦楽四重奏曲第3番第3楽章まで聴かせていただけるという、超豪華版でした。
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 トッパンホール公演でも、アンコールとして、フォーレ『レクイエム』終曲『イン・パラディスム』が演奏され、神奈川県立音楽堂公演でもそれが演奏されました。
 両公演をお聴きして、ホール規模、キャハシティ、音響の違いを、興味深く楽しませていただけたのもさることながら、この方たち8名の室内風魂とそれを実現するための技術の高さに打たれて、言葉もございませんでした。音楽的表現希求とテクニックがいかに両輪であるかを痛感いたします。曲の最高潮に於いては、メンバーの皆様に、メンデルスゾーンが、エネスコが憑依しているかのようでありながら、でも、一個の表現者でもあられたことに深い敬意の念を抱きました。
                                    2025年3月29日記