TOPPAN Hallが、エベーヌ弦楽四重奏団とベルチャ弦楽四重奏団という世界的な弦楽四重奏団2団体による三夜連続公演の幕を開けました。その第一夜、エベーヌ弦楽四重奏団公演を昨3月26日の晩、拝聴してまいりました。エベーヌ弦楽四重奏団は1999年、フランスに創設されたカルテットで、エベーヌとは黒檀の意。弦楽器の指板に用いられるあの黒くて硬い木の名前です。
 エベーヌ弦楽四重奏団は2004年ARDミュンヘン国際コンクール優勝。06年には英BBCの「新世代アーティスト」に選ばれたほか、多くの賞を受賞しています。
 カルテット創立20周年とベートーヴェン生誕250年を記念し、19年から20年にかけてワールドツアーを敢行してその模様をライブ収録した「ベートーヴェン弦楽四重奏曲全集」のCDも高い評価を受けています。
 2024年1月、創立メンバーのチェロ奏者、ラファエル・メルランが退団して、後任に日本の若い世代のホープ、岡本侑也さんが加わったことでさらに躍進中です。
Quatuor_Ebene
                         
©Julien Mignot 
 3月26日の公演では、前半にベートーヴェンの作品18-1、ブリテンの『3つのディヴェルティメントを、後半にベートーヴェンの第13番変ロ長調作品130+大フーガが演奏されました。
 配置は、第一ヴァイオリン、第二ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ。
 この配置だと、チェロが三者と向き合うようにもみえて、岡本さんの軽やかで清新なチェロが、お兄さん、お姉さんたちをやさしくリードしているかのようで、大変印象的でした。もちろん、3人のお兄さん、お姉さん方も、力技の弦ではなく、隅々まで神経を通わせながら表現のベクトルとグラデーションの広い個々人の集積体としての稀有のアンサンブルでした。
 作品18-1の第2楽章は、はじめのうち、細やかで繊細な音楽が紡がれましたが、後半、一転してメンバーたちの秘めた烈しいテンペラメントが燃え上がったのに息を飲みました。
 最終楽章を大フーガとした作品130は、個々の楽章の起承転結の鮮やかさと、大フーガの大胆な音楽表現に目と耳を奪われました。
                                   2025年3月27日記