昨年の夏、ヴァイオリニスト、HIMARIさんにお会いして、近況をうかがう機会がございました。そのインタビュー記事は『音楽の友』2024年8月号に掲載されておりますが、そのときの話題の一つに、2025年3月にベルリンフィルの定期演奏会にデビューが予定されている、というビッグ・ニュースがございました。
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 2011年6月24日生れの彼女はまだ14歳。その若さで、世界屈指の名門オーケストラのそれも定期演奏会ソリストに抜擢とは、いかに実力が高く評価されているかがわかります。わたくしも何度も演奏会をお聴きしてきて、「天才少女」などとお呼びするのは失礼と思える、独立した演奏家としての確固たる表現希求と類まれなテクニックに驚き入ってまいりました。
 インタビューから早や8か月、今月20日の定期演奏会で、HIMARIさんのデビューが大成功を収め聴衆を沸かせに沸かせたという報に接し、あー、ついに……と感無量の思いです。
 ベルリンからのニュースによりますと、チケットは早々とほぼ完売。当初指揮者は、大御所ズービン・メータさんの予定であったところ、直前にキャンセルとなり、代わって、読響ファンにとって嬉しいことに、読響常任指揮者のセバスティアン・ヴァイグレさんが指揮台に立たれたそうです。ベルリン生まれのヴァイグレさんは、ホルン奏者から指揮者に転じられた方で、指揮者としてすでに長い経験をお持ちですが、ベルリン・フィル定期へはこれが初登場、つまり、ヴァイグレさんにとっても、これがベルリン・フィル・デビューと、おめでたいことが重なりました。
 HIMARIさんの演奏曲目は、ヴィエニャフスキのヴァイオリン協奏曲第1番嬰ヘ短調。
 ベルリン・フィルの演奏会にこの曲が採り上げられたのは、1987年に五嶋みどりさんがレナード・スラットキンの指揮で独奏されて以来とのこと。
 深紅のドレスで登場されたHIMARIさんは堂々とこの曲を弾き切り、アンコールに、コリリアーノの超難曲『レッド・ヴァイオリン・カブリス』を演奏されたとのことでした。
 昨年のインタビュー時、目を輝かせてこの曲について色々話してくださり、12月7日に紀尾井ホールで開かれたリサイタルでは、強い集中力のもと、曲に命を吹き込まれるのを目の当たりにいたしました。
 それがつい、昨日のことのようなのに、もうベルリン・フィル・デビュー大成功とは、若木が燃え立つような緑の葉をあれよあれよという間に広げて、すくすくと伸びていくさまを見る思いがいたします。
 HIMARIさん、おめでとうございます。
                                  2025年3月25日記