1月23日の晩、サントリーホールで開催された「阪田知樹、リスト~ピアノ協奏曲の夕べ』を聴いてまいりました。フランツ・リストには、ピアノ協奏曲と冠された作品が2曲あり、その他、独奏ピアノとオーケストラのための作品が何曲かあります。阪田さんは、2つの協奏曲に『死の舞踏』、『ハンガリー幻想曲』を組み合わせ、リストの協奏作品のみによる『ピアノ協奏曲の夕べ』を企画、実現されました。
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 2つの協奏曲は、腕達者のリスト自身が、その桁はずれなピアニズムを広く知らしめる意図から書かれたオーケストラ協奏作品ですが、第2番はよりその傾向が強く、楽曲としての起承転結、構成の妙にはやや遠いものがあります。その点、1番は「トライアングル協奏曲」と揶揄されても、きちんとした構成感を踏まえた上で、超絶的な演奏技巧の披歴も実現した名作だと、わたくしは思っております。  
 なので、前半で第2番、後半で第1番という配置は的確でした。
 最後に、ハンガリー情緒たっぷりの幻想曲が置かれたことで、コンサートは親しみやすいものになっていました。
 アンコールは、ラフマニノフの歌曲からの阪田知樹編曲版『ここは素敵な場所』とガーシュウィン『Lady Be Good』。
 テクニックと音楽性の両者を具えた、おそらく、今のわが国ピアノ界最高峰の一人です。
                               2025年1月24日記