本日11月9日、日生劇場で、ドニゼッティのオペラ『連隊の娘』初日を拝見いたしました。このオペラは、19世紀初頭のナポレオン旋風下のチロル地方を舞台とします。ナポレオン戦争の大混乱のもと、孤児となった女の子マリーは、オーストリア軍の連隊の軍曹に拾われて、その連隊の兵士全員を父として、逞しい少女に成長します。ある日、マリーは、崖から転落したところを助けてくれた若者トニオと恋に落ちます。一方その頃、戦乱を避けて村に滞在中だった侯爵夫人がマリーの伯母であることがわかり、マリーは侯爵家の跡取り娘として侯爵夫人に引き取られるのですが、彼女の心はトニオと、連隊のお父さんたちにあります。侯爵夫人はマリーの公爵の御曹司との縁談を調え、マリーもすべてをあきらめて、泣く泣く伯母のおぜん立てにのろうとしたとき、侯爵夫人は実は伯母ではなく実母であると判明し、侯爵夫人は実の娘の真の幸せを思い、マリーとトニオの結婚を許します。
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 このハッピーエンドの物語のヒロイン、マリーを歌った、砂田愛梨さんは、東京音楽大学と新国立劇場オペラ研修所の出身、現在ミラノ在住のソプラノです。
 初めてお聴きしましたが、お声の伸びも声量も演技も御役柄にぴったりで、ミュージカル女優としても成功なさったのではないかと思えるキャラクターづくりに感心いたしました。トニオ役は、糸賀修平さんから代わられた、澤原行正さんが立派に代役を務められました。
 いつもながら、粟國淳さんの演出は卓抜で抱腹絶倒もの、原田啓太楼さん指揮の読響がいいお仕事をされていました。 
                                    2024年11月9日記