今朝、ラジオで、佐藤しのぶさんの歌う、モーツァルト『フィガロの結婚』から、次の3曲を聴きました。
 伯爵夫人のカヴァティーナ、第2幕 第1景 第11曲 カヴァティーナ≪慰めの手を差し伸べてください、愛の神様≫ 、
 ケルビーノのアリエッタ、第2幕 第2景 第12曲 アリエッタ≪恋とはどんなものだか≫ (ケルビーノ)
 伯爵夫人のレチタティーヴォとアリア、 第3幕 第8景 第20曲 レチタティーヴォとアリア≪スザンナは来ないかしら≫ (伯爵夫人)

 1曲目と3曲目の、甘く柔らかで、感情移入ゆたかな歌唱は、大恋愛の末に結婚したというのに、夫の伯爵の心が自分から離れてしまったことを嘆く伯爵夫人のやるせない心情をあますところなく表現していましたし、2曲目は、まだ体験していない恋と美しい女性に憧れる少年小姓の、胸のときめきを代弁して、どれも絶品でした。
 そういえば今日は、日本を代表するブリマドンナであった佐藤しのぶさんが亡くなられた日だったのです。
 佐藤さんの突然の訃報がファンを悲しませたのは、コロナ禍の始まる前年、2019年9月29日でした。
 亡くなられた原因については、ご本人のご遺志により伏せられましたが、9月24日の時点で、「体調不良により10月以降の予定をすべてキャンセルします」との発表があったということですから、何か深刻な事情が急激に進行したのでしょうか。享年61。まだまだ、あの美声をオペラハウスに、コンサートホールに響かせていただきたかったところで、本当に残念なことでした。
OIP

 晩年はずいぶんとイメージが変わられましたが、お若い頃のこちらのふくよかなお写真、とてもおきれいだと存じます。
 『蝶々夫人』『トスカ』『夕鶴』などもお得意でした。
 『トスカ』の「歌に生き、恋に生き」がYouTubeにございました。2002年、44歳の頃でいらっしゃいます。
佐藤しのぶ 歌劇 「トスカ」 から 「歌に生き 恋に生き」 2002 (youtube.com)
 
 こちらはその10年後、2012年、N響との協演でドヴォルザークの『わが母の教えたまひし歌』
  
わが母の教えたまいし歌 Songs My Mother Taught Me" (youtube.com)
                                     2024年9月29日記