昨9月25日の晩、Hakuju-Hallで、 「渡辺玲子 プロデュース レクチャーコンサート vol.9 スペイン音楽の引力 」を拝聴しました。毎回、興味深いテーマに沿って、ヴァイオリンの渡辺玲子さんと、ピアノの江口玲さんがレクチャー付きで案内してくださるこのシリーズ、今回は「スペイン音楽の引力」がテーマでした。
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ステージの上方にスペインの地図が映し出され、各地域ごとにどんな文化が発達し、いかなる作曲家が輩出されてきたか、玲子さん、江口さんのお話を交えて、次のようなプログラムが演奏されました。

第1部 舞踏、多様性の魅力

A.コレッリ:ヴァイオリン・ソナタ ニ短調 op.5-12 「ラ・フォリア」(短縮版)
A.Corelli : Violin Sonata in d minor op.5-12 ‘La Folia’

M.ファリャ(P.コハンスキ編):「スペイン民謡組曲」 より
M. de Falla (arr. P.Kochanski) : from Suite Populaire Espagnole

E.グラナドス(F. クライスラー編):「スペイン舞曲集」 op.37 より 第5曲 ホ短調 “アンダルーサ”
E.Granados (arr. F.Kreisler) : No.5 in e minor “Andaluza” from ‘Spanish Dance’  op.37

I.アルベニス(L.ゴドフスキ編):「スペイン」 op.165より 第2曲 ニ長調 “タンゴ”(ピアノ独奏版)
I. Albéniz (arr. L.Godowsky) : No.2 in D major “Tango” from ‘España’ op.165

M.ラヴェル:ハバネラ形式の小品 
M.Ravel : Pièce en Forme de Habanera

J.トゥリーナ:ヴァイオリン・ソナタ 第2番 op.82「スペイン風」
J. Turina : Violin Sonata No.2 op.82 ‘Spanish’

第2部 器楽の名作、サラサーテとロドリーゴ

J.ロドリーゴ:ソナタ・ピンパンテ 
J.Rodrigo : Sonata Pimpante

P.サラサーテ:ツィゴイネルワイゼン op. 20 
P.Sarasate : Zigeunerweisen op. 20

 スペインに、イベリア半島民族の独自文化が発展してきたのは、7世紀から15世紀末まで゛奇しくも、スペイン出身のコロンブスがアメリカ大陸を発見した1492年をもって、その時代は終焉を迎え、以後、イスラム、アラブ、ロマなどなど、他民族の文化が流入して多彩な個性が交じり合いました。
 踊りの盛んな土地柄ですが、その舞曲も中南米のそれとルーツを1つにしたり、影響し合ったりして、複雑な諸相を表しています。
 その実例として、アルベニスの「タンゴ」と、ラヴェルの「ハバネラ形式の小品」の弾き比べもございました。タンゴとハバネラがじつは同根であること、玲子さんはヴァイオリンだけではなく、口ずさむことによっても示してくださいました。
 そのリズム感抜群で、アルトの魅力いっぱいの口歌いが絶品でした。
                                2024年9月26日記