2015年、ウィグモアホール国際弦楽四重奏コンクールに優勝、並びに最優秀ベートーヴェン賞、ハイドン賞を受賞した、ヴァン・カイック弦楽四重奏団が来日しました。このコンクールは、会場をいくつか移していますが、過去に、タカーチ弦楽四重奏団やハーゲン・クァルテット、カザルス弦楽四重奏団などを輩出した、カルテットの名門コンクールです。
ヴァン・カイック弦楽四重奏団は、2019年に、日本にも一公演だけお目見えしたそうで、今回は5月28日鶴見のサルビアホール、29日東京の浜離宮朝日ホールの2公演を開催しました。そのうちの、昨晩の浜離宮朝日ホール演奏会のプログラム解説を担当したご縁もあって、わくわくしながら拝聴してまいりました。
グループ名は、第1ヴァイオリンのカイックさんのお名前から採られています。第2ヴァイオリンはシルヴァン・ファーヴル=ビュルさん、ヴィオラはエマニュエル・フランソワさん、チェロはアンソニー・コンドウさん。4人ともフランス国籍の奏者で、グループ内の会話はすべてフランス語。チェロの黒髪のコンドウさんは日本人とフランス人のご両親を持っておられるそうです。
《 Program 》
・シューベルト:弦楽四重奏曲 第12番 ハ短調 《四重奏断章》 D 703
・ドヴォルザーク:弦楽四重奏曲 第12番 ヘ長調 《アメリカ》 Op.96
・メンデルスゾーン:弦楽四重奏曲 第6番 ヘ短調 Op.80
シューベルトが始まった途端、音量こそ抑えられながら、音の密度の高い、クリアで洗練された音色に驚きました。あか抜けた、知的な音作りは、まさに都会派のカルテット。
でも、都会派一色ではなくて、ドヴォルザークでは、鄙びた味わいも感じさせてくれました。
メンデルスゾーンの最後の完成作となった6番はわたくしの大好きな曲で、彼の死の半年前に急逝した姉ファニーを悼む挽歌です。その成立事情を踏まえるならば、エレガントなシティ・ボーイ、メンデルスゾーンらしからぬ、なりふり構わない慟哭、身を捩るような悲嘆の叫びがあってもよいのでは、とわたくしは思っておりますけれども、彼らの演奏はどちらかと言えば、抑制と洗練の勝る解釈だったように思いました。
アンコール曲については、第2ヴァイオリンのシルヴァンさんが、英語で一生懸命説明してくださいました。よくわからなかったのですが、1曲目は、自分たちはフランスの作曲家たちの美しい小品をカルテットで演奏することもやっています。その中から、プーランクを弾きます、みたいなことをおっしゃり『愛の小径』を演奏なさいました。
2曲目については、揺れる感じの曲です。との身振り交えてのご紹介で、フォーレ『ゆりかご』。
NHKのカメラが入っていましたので近いうちにテレビ放映があるようです。
2024年5月30日記
ヴァン・カイック弦楽四重奏団は、2019年に、日本にも一公演だけお目見えしたそうで、今回は5月28日鶴見のサルビアホール、29日東京の浜離宮朝日ホールの2公演を開催しました。そのうちの、昨晩の浜離宮朝日ホール演奏会のプログラム解説を担当したご縁もあって、わくわくしながら拝聴してまいりました。
グループ名は、第1ヴァイオリンのカイックさんのお名前から採られています。第2ヴァイオリンはシルヴァン・ファーヴル=ビュルさん、ヴィオラはエマニュエル・フランソワさん、チェロはアンソニー・コンドウさん。4人ともフランス国籍の奏者で、グループ内の会話はすべてフランス語。チェロの黒髪のコンドウさんは日本人とフランス人のご両親を持っておられるそうです。
《 Program 》
・シューベルト:弦楽四重奏曲 第12番 ハ短調 《四重奏断章》 D 703
・ドヴォルザーク:弦楽四重奏曲 第12番 ヘ長調 《アメリカ》 Op.96
・メンデルスゾーン:弦楽四重奏曲 第6番 ヘ短調 Op.80
シューベルトが始まった途端、音量こそ抑えられながら、音の密度の高い、クリアで洗練された音色に驚きました。あか抜けた、知的な音作りは、まさに都会派のカルテット。
でも、都会派一色ではなくて、ドヴォルザークでは、鄙びた味わいも感じさせてくれました。
メンデルスゾーンの最後の完成作となった6番はわたくしの大好きな曲で、彼の死の半年前に急逝した姉ファニーを悼む挽歌です。その成立事情を踏まえるならば、エレガントなシティ・ボーイ、メンデルスゾーンらしからぬ、なりふり構わない慟哭、身を捩るような悲嘆の叫びがあってもよいのでは、とわたくしは思っておりますけれども、彼らの演奏はどちらかと言えば、抑制と洗練の勝る解釈だったように思いました。
アンコール曲については、第2ヴァイオリンのシルヴァンさんが、英語で一生懸命説明してくださいました。よくわからなかったのですが、1曲目は、自分たちはフランスの作曲家たちの美しい小品をカルテットで演奏することもやっています。その中から、プーランクを弾きます、みたいなことをおっしゃり『愛の小径』を演奏なさいました。
2曲目については、揺れる感じの曲です。との身振り交えてのご紹介で、フォーレ『ゆりかご』。
NHKのカメラが入っていましたので近いうちにテレビ放映があるようです。
2024年5月30日記
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