一昨日のブログに、モルゴーア・クアルテットの過去演奏再演希望曲総選挙で、圧倒的な第一位に輝いたヒンデミットの高等? 高踏? パロディ作品のことを一言だけ書きました。原題は「 Ouvertüre zum "Fliegenden Holländer", wie sie eine schlechte Kurkapelle morgens um 7 am Brunnen vom Blatt spielt」。日本語訳は『早朝7時に湯治場で、二流のオーケストラによって初見で演奏された「さまよえるオランダ人」序曲』。
 他にもいくつかの訳があり、
モルゴーアの集計表では『序曲「さまよえるオランダ人」下手くそな温泉楽隊が朝7時に噴水の周りに集まって初見で演奏したような』となっています。
 モルゴーアの選挙結果を目にして、実演でただ一度聴いたきりのあのときの愉悦感が蘇ってまいりました。 
 そこで探しましたら、幸運にも、これだ、という動画を発見いたしました。たいへんおもしろいので、是非、ご鑑賞くださいませ。
 なお、わたくしが聴かせていただいた時の演奏メンバーには、チェロの笹沼樹さんが入っておられて、後で演奏のポイントをおうかがいしたところ、「ひたすら、楽譜に忠実に、忠実に、に尽きます」とおっしゃられたことも、ありありと思い出しました。
 つまり、演奏者は、作為的に外したり、ずれたりせず、ただただ、書いてある通りに演奏しさえすれば、こんなにも凄絶な『オランダ人』序曲が誕生するというわけで、そこが、ナチスを向こうに回したあの才人、パウル・ヒンデミットの突き抜けているところでしょう。
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 下記クリックで、是非、『早朝7時に湯治場で、二流のオーケストラによって初見で演奏された「さまよえるオランダ人」序曲』をお楽しみくださいませ。

Paul Hindemith - Flying Dutchman Overture as Played by Bad Spa Orchestra at 7 AM by the Well (1925) (youtube.com)

                               2024年1月25日記