ブラハ交響楽団が来日中で、1月5日の札幌公演から、14日の東京公演まで全国8公演を開催しています。プログラムは3種あり、首席指揮者のトマーシュ・プラウネルが、後半の『新世界』交響曲をメインとして、前半に同『伝説』より第3曲とラフマニノフのピアノ協奏曲第2番を演奏するAプログラム、『新世界』は同じで前半がドヴォルザーク、チェロ協奏曲のBプログラム、そして、小林研一郎マエストロが指揮棒をとって、スメタナ、『わが祖国』全曲を振るCプログラムが随時、演奏されました。
 昨晩、1月11日の夜は、そのうちの、小林研一郎「わが祖国」プログラムがサントリーホールで上演されましたので、謹んで聴かせていただきました。
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 チェコ国民音楽の父、と呼ばれるスメタナの、今年は生誕200年。  
 オーストリア支配下のチェコにあって、国民音楽復興の使命感に目覚めたスメタナの苦節の生涯は、いつ思い返しても、胸が痛みます。
 晩年、ベートーヴェンと同様、聴力を失った彼が、音のない世界の中で、祖国チェコの歴史と風物に限りない愛着を込めて書き上げた6曲の連作交響詩を、昨晩はしみじみと聴かせていただきました。
 プラハ交響楽団の素朴で一人一人の個性が豊かに反映された演奏は、この作品にふさわしい、民族の心の叫びというべき真実味にあふれていました。
 ことに、学問と宗教の自由を守ろうとして、火刑に処された15世紀プラハ大学の学長、フスを擁護する人々のフス戦争を描写した最後の2曲は胸に迫りました。
                                    2024年1月12日記