演奏会は16:05くらいに始まりました。1曲目、ト短調のソナタの冒頭アコードは、4弦をはっきりと分けた鳴らし方でした。特にG線とD線は長めに響かせておられました。しかし、気負いはなく、あるがままの自然体です。弓圧は軽めに感じましたが、必要かつ適正な圧によって、楽器が良く鳴っていました。いつものように、背筋の伸びた姿勢で弾き進まれ、ここぞという決め音のときには腰を落とされますが、大仰な身振りや立ち位置の移動など一切なく、すべてが日常動作の延長のように作為なく進みました。 
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 1番では、柔らかな音色で奏された変ロ長調の『シチリアーナ』が出色。あたりの空気が変わりました。
 次いでロ短調のパルティータです。ここでは、ソナタの時とは表情を変えて、短調ながら躍動感の表出に主眼が置かれました。それだけではなく、アレマンダ、コレンテ、サラバンダ、テンポ・デイ・ボレアの4舞曲のそれぞれの性格が、踊りの場面のイメージとともに浮かび上がってくるほど、生き生きと描き出されました。4つの舞曲にはすべて、ドゥーブル(変奏)が付随するので、全部で8楽章にも感じられる長大なパルティータですが、驚くべきことに、和波先生は楽譜に書かれているすべてのリピートを忠実に行われたので、ずいぶんと長い楽曲となりましす。ただし、さりげない装飾音で変化をつけておられたのはさすがベテラン。
 15分(20分だったかも知れません)の休憩後の第2部は、イ短調のソナタとニ短調のパルティータです。第2部でもやはり、絶対音楽であるソナタと、舞曲の組曲であるパルティータとの性格の違いは明瞭でした。イ短調ソナタの大フーガは、それがとてつもない大曲、難曲であることを感じさせずに、しかも、各声部は凛と際立っていました。
 ニ短調パルティータデハ、コレンテ、ジーガのような急テンポの舞曲よりも、アレマンダ、サラバンダ、シャコンヌがご立派で、ことにシャコンヌは、もっともよくお手のうちにはいっておられるごようすでした。
 ここで20分間の休憩です。
 ご自身もおっしゃられましたが、3番同士は明るく晴れやかです。
 例によって、全てのリピートを実行されて全6曲を踏破なさったのは、19:20分でした。

                                   2023年12月24日記