昨12月21日の晩、紀尾井ホールでレジデントシリーズの一環として開催された、青木尚佳さんのりヴァイオリン・リサイタル、イザイの無伴奏ソナタ全6曲を拝聴してまいりました。J.S.バッハの同種曲群に啓発されて、ベルギー出身の大ヴァイオリニスト、ウジェーヌ・イザイ(1858-1931)はこれら6曲の無伴奏ヴァイオリン作品群を書きました。直接のきっかけとなったのは、ヨーゼフ・シゲティのバッハ演奏だったということです。イザイは自身の6曲のソナタのうちの第1番をバッハのソナタ1番と同様のト短調で書き、やはりバッハに倣ってその第2楽章にフーガも置き、バッハへのオマージュ・カラーをもっとも濃厚にしていますが、そのバッハ・エッセンスのたっぷり詰まった第1番をシゲティに献呈していることからも、彼がシゲティの演奏にどれほどインスパイアされたかがわかります。
イザイの6曲のうち、第3番、第6番は単一楽章ソナタであることもあって、全曲の演奏時間はバッハよりもずっと短く、ちょうど1回のリサイタルにぴったりの尺ですが、この6曲セットをプログラムとして一夜のリサイタルを開かれるヴァイオリニストはそうそうはおられないようです。やはり、それにはたいへんなエネルギーと、孤独に耐える強靭なメンタルと、たゆまざる自己研鑽を必要とされるからでしょうか。
昨晩はその珍しい機会で、このほど、ドイツの名門ミュンヘン・フィルにコンサート・マスター(ミストレス)として招かれた青木尚佳さんが、その就任記念として紀尾井ホール、レジデント・シリーズでこの珠玉の作品群を採り上げられました。
この難曲群には、名ヴァイオリニストの方々の録音があり、それぞれ気迫のこもった演奏を聴かせています。しかし、ライヴの全曲は久しぶりでしたので、青木さんの演奏はいかにと、固唾を飲んで拝聴いたしました。
この方は、非常にフレキシブルな音楽表現と高度なテクニックをお持ちの方で、曲に深く没入されながら、つきつめすぎて鋭角的に奏されることがなく、甘美に歌う心も決して忘れない、ゆとりの心をお持ちのヴァイオリニストであられると感じました。
そして、イザイがこの6曲を捧げた、シゲティ、ティボー、エネスク、クライスラー、クリックボーム、キロガの6巨匠たちのスタイルにも思いを馳せて、イザイが彼ら6人の個性をしっかりと曲に反映させていることが聴き手に伝わる、丁寧で解釈の行き届いた演奏であったように感じました。
青木さんのミュンヘン・フィルでのご活躍を、心よりお祈り申し上げます。
2023年12月22日記
イザイの6曲のうち、第3番、第6番は単一楽章ソナタであることもあって、全曲の演奏時間はバッハよりもずっと短く、ちょうど1回のリサイタルにぴったりの尺ですが、この6曲セットをプログラムとして一夜のリサイタルを開かれるヴァイオリニストはそうそうはおられないようです。やはり、それにはたいへんなエネルギーと、孤独に耐える強靭なメンタルと、たゆまざる自己研鑽を必要とされるからでしょうか。
昨晩はその珍しい機会で、このほど、ドイツの名門ミュンヘン・フィルにコンサート・マスター(ミストレス)として招かれた青木尚佳さんが、その就任記念として紀尾井ホール、レジデント・シリーズでこの珠玉の作品群を採り上げられました。
この難曲群には、名ヴァイオリニストの方々の録音があり、それぞれ気迫のこもった演奏を聴かせています。しかし、ライヴの全曲は久しぶりでしたので、青木さんの演奏はいかにと、固唾を飲んで拝聴いたしました。
この方は、非常にフレキシブルな音楽表現と高度なテクニックをお持ちの方で、曲に深く没入されながら、つきつめすぎて鋭角的に奏されることがなく、甘美に歌う心も決して忘れない、ゆとりの心をお持ちのヴァイオリニストであられると感じました。
そして、イザイがこの6曲を捧げた、シゲティ、ティボー、エネスク、クライスラー、クリックボーム、キロガの6巨匠たちのスタイルにも思いを馳せて、イザイが彼ら6人の個性をしっかりと曲に反映させていることが聴き手に伝わる、丁寧で解釈の行き届いた演奏であったように感じました。
青木さんのミュンヘン・フィルでのご活躍を、心よりお祈り申し上げます。
2023年12月22日記

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