昨10月25日より、熊本市に来ております。熊本市の今朝はまずまずの秋晴れ、ここ数日来好天が続いたそうで、空気は澄んで爽やかです。ホテルの窓からのぞむ山並みはまだほとんど深緑色ですが、目を凝らすと、黄褐色に色づきかけたあたりも見いだせました。
本日から、ジュディッタ・パスタ記念熊本復興国際オペラ歌手コンクールの第一次予選が始まります。
この国際コンクールは、イタリア、ロンバルディア州のサロンノで開かれている、ジュディッタ・パスタ国際コンクールの姉妹コンクールとして、昨年から熊本市で始まった催しで、今年はその第2回となります。
ジュディッタ・パスタのお名前は、オペラ・ファンならよくご存じと思いますが、この方はシューベルトと同年の1797年にサロンノで生まれたオペラ史上屈指のソプラノ歌手でした。
1830年にはミラノで、ドニゼッティの『アンナ・ボレーナ』のタイトルロールを、31年にはやはりミラノで、ベッリーニの『夢遊病の女』のアミーナ、『ノルマ』のタイトルロールを創唱した後も各地で歌ってこれらのオペラの評価を不動のものとし、ほかにもパエール、ジンガレッリら当時の人気作曲家たちのオペラの初演に貢献しました。
モーツァルト・オペラでは、『ドン・ジョヴァンニ』エルヴィーラがお得意だったということです。
ヴェルディ(1813-1901)の初の成功作『ナブッコ』の初演が1842年3月9日ですから、パスタは、ヴェルディ・オペラには間に合いませんでした。それに、『ナブッコ』のアビガイッレを創唱したのは、のちにヴェルディ夫人となるストレッポーニでしたから、ヴェルディにはパスタとの接点はなかったのでしょう。
パスタはその頃か、少しあとには引退され、後半生は後進の育成に携わられて、1865年、満67歳で亡くなっています。
つまり、ヴェルディ以前、ベルカントの時代の最大のソプラノといってよく、その点において、マリア・カラス(1923-1977)はしばしば、パスタと比べられました。
満堂を楽々と満たす声の響きと、驚異的に広い音域を持っていることで他の歌手の追随を許さず、下はAから上はC#までは完璧に歌え、Dの少し上までさえ出せたという音域は、稀にみる幅広さでした。ソプラノとされていますが、メゾソプラノでもあって、アルトからコントラルトまで表情豊かに歌うことができたのだそうです。
そんな彼女の偉業を讃えて、生まれ故郷のサロンノで開かれているジュディッタ・パスタ国際声楽コンクールの推進役のお一人が熊本ゆかりの方であったことから、熊本シティ・オペラ協会代表として同地にオペラを根付かせたバス歌手、佐久間伸一氏の協力を得て創設したのが、ジュディッタ・パスタ記念熊本復興国際オペラ歌手コンクールです。
また、熊本は2016年4月14日と16日に大きな地震に見舞われて、直接間接合計273人もの死者を始め、多くの負傷者、被災者を出し、熊本城や各種施設、建物、個人住宅なども大打撃を受けて、今も復興の途上にありますので、その復興支援の意味も込めて、この長い名称が冠されました。
昨年の第一回で優勝されたテノールの前川健生さんは、つい先ごろの東京二期会とシュトゥッツガルト州立歌劇場との提携公演、レオナルド・シーニ指揮東フィル、ロッテ・デ・ベア演出の新制作オペラ『ドン・カルロ』で、レノマ伯爵と王室の布告者を好演されました。
今年はどんな逸材がこのコンクールから巣立つか、楽しみにしながら、審査に加わらせていただきます。
2023年 10月26日記 熊本にて
本日から、ジュディッタ・パスタ記念熊本復興国際オペラ歌手コンクールの第一次予選が始まります。
この国際コンクールは、イタリア、ロンバルディア州のサロンノで開かれている、ジュディッタ・パスタ国際コンクールの姉妹コンクールとして、昨年から熊本市で始まった催しで、今年はその第2回となります。
ジュディッタ・パスタのお名前は、オペラ・ファンならよくご存じと思いますが、この方はシューベルトと同年の1797年にサロンノで生まれたオペラ史上屈指のソプラノ歌手でした。
1830年にはミラノで、ドニゼッティの『アンナ・ボレーナ』のタイトルロールを、31年にはやはりミラノで、ベッリーニの『夢遊病の女』のアミーナ、『ノルマ』のタイトルロールを創唱した後も各地で歌ってこれらのオペラの評価を不動のものとし、ほかにもパエール、ジンガレッリら当時の人気作曲家たちのオペラの初演に貢献しました。
モーツァルト・オペラでは、『ドン・ジョヴァンニ』エルヴィーラがお得意だったということです。
ヴェルディ(1813-1901)の初の成功作『ナブッコ』の初演が1842年3月9日ですから、パスタは、ヴェルディ・オペラには間に合いませんでした。それに、『ナブッコ』のアビガイッレを創唱したのは、のちにヴェルディ夫人となるストレッポーニでしたから、ヴェルディにはパスタとの接点はなかったのでしょう。
パスタはその頃か、少しあとには引退され、後半生は後進の育成に携わられて、1865年、満67歳で亡くなっています。
つまり、ヴェルディ以前、ベルカントの時代の最大のソプラノといってよく、その点において、マリア・カラス(1923-1977)はしばしば、パスタと比べられました。
満堂を楽々と満たす声の響きと、驚異的に広い音域を持っていることで他の歌手の追随を許さず、下はAから上はC#までは完璧に歌え、Dの少し上までさえ出せたという音域は、稀にみる幅広さでした。ソプラノとされていますが、メゾソプラノでもあって、アルトからコントラルトまで表情豊かに歌うことができたのだそうです。
そんな彼女の偉業を讃えて、生まれ故郷のサロンノで開かれているジュディッタ・パスタ国際声楽コンクールの推進役のお一人が熊本ゆかりの方であったことから、熊本シティ・オペラ協会代表として同地にオペラを根付かせたバス歌手、佐久間伸一氏の協力を得て創設したのが、ジュディッタ・パスタ記念熊本復興国際オペラ歌手コンクールです。
また、熊本は2016年4月14日と16日に大きな地震に見舞われて、直接間接合計273人もの死者を始め、多くの負傷者、被災者を出し、熊本城や各種施設、建物、個人住宅なども大打撃を受けて、今も復興の途上にありますので、その復興支援の意味も込めて、この長い名称が冠されました。
昨年の第一回で優勝されたテノールの前川健生さんは、つい先ごろの東京二期会とシュトゥッツガルト州立歌劇場との提携公演、レオナルド・シーニ指揮東フィル、ロッテ・デ・ベア演出の新制作オペラ『ドン・カルロ』で、レノマ伯爵と王室の布告者を好演されました。
今年はどんな逸材がこのコンクールから巣立つか、楽しみにしながら、審査に加わらせていただきます。
2023年 10月26日記 熊本にて

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