本日、サントリーホールで開催された東京交響楽団第715回定期演奏会は、たいへん興味深いプログラムでした。指揮は音楽監督のジョナサン・ノット。前半に、マエストロ・ノット自身が編作した、交響的組曲『ペレアスとメリザンド』、後半にヤナーチェクの『グラゴル・ミサ』という組み合わせです。
IMG20231015134538_20231015205417
『ペレアスとメリザンド』の交響組曲というのは、ドビュッシー唯一の大作オペラから、15場面の音楽を選び、マエストロ自身も加筆して、オーケストラ組曲にまとめ上げたものです。あの模糊とした音楽が続き、登場人物たちの関係性もあえてぼかされている長大なオペラから、よくぞ組曲版をつくりあげたものと感心いたしました。もちろん、原曲のオペラに親しんでから聴けば、より、深く理解できるのでしょうけれども、そうでなくても、ドビュッシーのオーケストラ音楽の聴きどころを楽しむ意義があると感じ、なかなか面白く拝聴射させていただきました。
 ヤナーチェク晩年の『グラゴル・ミサ』はこの作曲家の本質が色濃く表れた音楽で、一般的なミサ曲とは大いに異なって、オーケストラも4人の声楽ソリストも合唱も、声高に、この地に古くから根付いた言語で、汎スラブ主義の主張をこれでもかと歌いあげる圧倒的な作品でした。
 オーケストラも荒々しいまでの素朴な強音からしみじみと心に通う弱奏まで、多彩な表現力をみせ、ソリスト4名もご立派でした。
 もっとも感嘆いたしましたのは、チェコ語(グラゴル語?)のテキストを暗譜で朗々と歌われた、東響コーラスのみなさまでした。このコーラスは、いつもまことに驚くべきよいお仕事をなさいます。ヤナーチェクが聴いたら、さぞ、喜ばれるのではないかと存じました。
                                2023年10月15日記