昨晩6月22日のNHK交響楽団第1988回サントリーホール演奏会ではマエストロ・ジャナンドレア・ノセダの指揮で、バッハ=レスピーギ編の3つのコラール、レスピーギ『グレゴリオ風』協奏曲(庄司紗矢香独奏)、ラフマニノフの交響曲第1番ニ短調という、滅多に聴けないプログラムが採り上げられました。
『グレゴリオ風協奏曲』はいかにも古風な佇まいを持つ、この作曲家ならではの協奏作品で、大向こうをうならせるヴルトゥオーゾ・ピースでないところが、庄司さんにぴったりでした。
ラフマニノフの交響曲第1番は、この初演を酷評されたことで作曲家がスランプに陥った、といわれるいわく因縁の伝説の曲。
初演後、ご本人の存命中に再演機会はなく、アメリカ亡命時には着の身着のままだったためスコアもおいてきてしまい、改訂もできないままラフマニノフは世を去りました。
しかし没後、初演時のパート譜の発見から、1945年10月17日に再演が実現して、真価が見直されるようになってきました。
昨晩のN響の演奏は、郷古コンマス、辻本チェロ・トップらによるみずみずしさと勢いにみちたもので、22歳の若きラフマニノフの覇気と野心がひしひしと伝わってきて、たいへん好感が持てました。
初演大失敗の理由は、指揮のグラズノフが酒気帯び運転だったせいでありますとか、ペテルブルク音楽界の空気があきれるほど保守的で、若者の飛翔を快く思わなかったとか、いろいろ言われておりますが、これだけよく書けているものをこきおろすとは、大人げないふるまいではなかったかと思ってしまいました。
何の世界でも、往々にしてあることなのでしょう。
なんの奇縁か、この演奏機会のきわめてまれなラフマニノフの1番が、今夜をふくめて3公演ある東京フィルハーモニー交響楽団の今月の定期シリーズで、尾高忠明マエストロによって振られます。
わたくしは来週、昨晩と同じ会場で拝聴させていただく予定でございます。
急に良い風が日本から吹いてきて、よかったね、セルゲイ! 自信を持ってね、と褒めてあげたい気分でございます。
2,023年6月23日記
『グレゴリオ風協奏曲』はいかにも古風な佇まいを持つ、この作曲家ならではの協奏作品で、大向こうをうならせるヴルトゥオーゾ・ピースでないところが、庄司さんにぴったりでした。
ラフマニノフの交響曲第1番は、この初演を酷評されたことで作曲家がスランプに陥った、といわれるいわく因縁の伝説の曲。
初演後、ご本人の存命中に再演機会はなく、アメリカ亡命時には着の身着のままだったためスコアもおいてきてしまい、改訂もできないままラフマニノフは世を去りました。
しかし没後、初演時のパート譜の発見から、1945年10月17日に再演が実現して、真価が見直されるようになってきました。
昨晩のN響の演奏は、郷古コンマス、辻本チェロ・トップらによるみずみずしさと勢いにみちたもので、22歳の若きラフマニノフの覇気と野心がひしひしと伝わってきて、たいへん好感が持てました。
初演大失敗の理由は、指揮のグラズノフが酒気帯び運転だったせいでありますとか、ペテルブルク音楽界の空気があきれるほど保守的で、若者の飛翔を快く思わなかったとか、いろいろ言われておりますが、これだけよく書けているものをこきおろすとは、大人げないふるまいではなかったかと思ってしまいました。
何の世界でも、往々にしてあることなのでしょう。
なんの奇縁か、この演奏機会のきわめてまれなラフマニノフの1番が、今夜をふくめて3公演ある東京フィルハーモニー交響楽団の今月の定期シリーズで、尾高忠明マエストロによって振られます。
わたくしは来週、昨晩と同じ会場で拝聴させていただく予定でございます。
急に良い風が日本から吹いてきて、よかったね、セルゲイ! 自信を持ってね、と褒めてあげたい気分でございます。
2,023年6月23日記
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