コメントにいただきましたように、古典四重奏団のベートーヴェン全集は全曲新録音です。2017年1月の笠懸野文化ホールに於ける、ラズモフスキーの1番に始まり、2019年1月の同じく笠懸野文化ホールの作品132と作品135がこの会場を使った録音で、そのあとは会場を浜松市天龍壬生ホールに移し、2019年7月から2022年7月までの9回、全11回のセッション録音で完成された、貴重な未出音源の製品化でした。
収録順は以下のように、作曲された順に従っていて、第13番作品130もオリジナル第1稿の大フーガをフィナーレとする形で収録され、最後に弟ヨーハンのクナイクセンドルフの屋敷で書き上げた第2稿のアレグロ・フィナーレが単独で収載されています。ベートーヴェンの心と体の軌跡に沿うことで、限りなく彼の作曲心情に近づこうとするアプローチです。ですので、わたくしども聴き手も、ベートーヴェンの人生航路を追体験できるかのようです。こういう潔い収録順は全集だから可能なことで、分売ですと、売れ行きを考えて、著名曲と地味めの曲を組み合わせてしまうことが多くなりますから。
Disc 1 第1番・第2番
Disc 2 第3番・第4番
Disc 3 第5番・第6番
Disc 4 第7番
Disc 5 第8番・第9番
Disc 6 第10番・第11番
Disc 7 第12番
Disc 8 第15番
Disc 9 第13番《大フーガ》付き
Disc 10 第14番
Disc 11 第16番・第13番第6楽章
もう一つご指摘のあったように、古典四重奏団はカルテットとしては珍しい対向配置をとっていらっしゃいます。
つまり、両翼が、第1、第2ヴァイオリン、そして、チェロが内側下手、ヴィオラが内側上手です。理由は何となく想像されますが、今度、田崎さんにうかがってからきちんと整理して書かせていただこうと存じます。
さて、まだラズモフスキーの3曲を何度聴いてもこれで充分聴いた、という気がせず、あともう一回、1番だけ、いや2番も、それなら3番もの繰り返しで、ほかを聴くことができずにおります。
2番の第2楽章後半、第1ヴァイオリンがホ長調音階によるフレーズをゆったりと上下行するところ、川原さんの深遠な美音にうっとりし、第3楽章の主部からロシア主題が湧きおこるところ、古典四重奏団のみなさまの絶妙の準備、間合い、ロシア主題の瑞々しい音の饗宴に惚れ惚れとしております。
2023年6月17日記
収録順は以下のように、作曲された順に従っていて、第13番作品130もオリジナル第1稿の大フーガをフィナーレとする形で収録され、最後に弟ヨーハンのクナイクセンドルフの屋敷で書き上げた第2稿のアレグロ・フィナーレが単独で収載されています。ベートーヴェンの心と体の軌跡に沿うことで、限りなく彼の作曲心情に近づこうとするアプローチです。ですので、わたくしども聴き手も、ベートーヴェンの人生航路を追体験できるかのようです。こういう潔い収録順は全集だから可能なことで、分売ですと、売れ行きを考えて、著名曲と地味めの曲を組み合わせてしまうことが多くなりますから。
Disc 1 第1番・第2番
Disc 2 第3番・第4番
Disc 3 第5番・第6番
Disc 4 第7番
Disc 5 第8番・第9番
Disc 6 第10番・第11番
Disc 7 第12番
Disc 8 第15番
Disc 9 第13番《大フーガ》付き
Disc 10 第14番
Disc 11 第16番・第13番第6楽章
もう一つご指摘のあったように、古典四重奏団はカルテットとしては珍しい対向配置をとっていらっしゃいます。

さて、まだラズモフスキーの3曲を何度聴いてもこれで充分聴いた、という気がせず、あともう一回、1番だけ、いや2番も、それなら3番もの繰り返しで、ほかを聴くことができずにおります。
2番の第2楽章後半、第1ヴァイオリンがホ長調音階によるフレーズをゆったりと上下行するところ、川原さんの深遠な美音にうっとりし、第3楽章の主部からロシア主題が湧きおこるところ、古典四重奏団のみなさまの絶妙の準備、間合い、ロシア主題の瑞々しい音の饗宴に惚れ惚れとしております。
2023年6月17日記
コメント
コメント一覧 (2)
写真によれば、ヨアヒムSQまではこの配置がむしろ主流のようですね。ヨアヒムはシュパンツィッヒとともに楽聖の弦楽四重奏を演奏したヨゼフ・ベームに学び、少年時代師匠と並んで第2ヴァイオリンを弾いたこともあったそうです。おそらくベートーヴェンもこのかたちを前提にしていたと考えられます。ブッシュSQ、カペーSQ以降は、第1、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラの配置が一般的となってきますが、なぜこのような変化が生じたのかはわかりません。(オーケストラでもほぼ同様。たとえばニキシュやトスカニーニは対向配置です)
この配置によって初めて明確になる音楽的な意味や仕掛けがあるようにも思わますし、田崎さんの見解が分かればぜひご紹介ください。いずれにせよ、古典四重奏団があえて対向配置を採用しているのには一つの見識を感じます。
曲の配置の順が、全集ならではのメリットを生かした配慮がみられるというご指摘はまことにごもっともです。ただ、後期はいいのですが、作品18の作曲順は、第3、1,2,5、4,6とされるのが通説ですので、何か新しい見解がでたのか興味のあるところです。
yukiko3916
が
しました
作品18に関しては、番号が必ずしも作曲順でないにしても、若き日の比較的短期の一時期の一ブロックの作品群、という捉え方をなさり、あえて、ややこしい事をおっしゃらず、わかりやすく番号順の収録かな、と、勝手に理解しております。作品18も、きちんと向き合いたいものでございます。
ともあれ、フィデリオさまのおかげで、あらためて、古典四重奏団の対向配置の意義に、目が向きました。田崎さんにお聴きしたら、必ずここにあげます。この全集、たいへんに価値のあるものです。ありがとうございました。
yukiko3916
が
しました