萩谷由喜子のブログ

音楽評論家・萩谷由喜子が音楽話題や日々の所感を綴っています。

2024年06月

 昨日の続きでございます。瀧廉太郎の最後の完成作品『憾』の雛型は、ショパンの『プレリュード第24番』とみてよろしいかと思われます。もちろん、極めて、肯定的な意味での雛型であって、廉太郎はこの先人の傑作に思いを馳せつつ、彼独自の音楽性を投入してこの曲を仕上げ…
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 瀧廉太郎は、明治36(1903)年の本日、6月29日午後5時、大分県大分市稲荷町339番地(残材の大分市府内町)の自宅で世を去りました。生まれたのは、すでに新暦に改まっていた明治12(1879)年の8月24日ですから、23年と10カ月と5日の生涯でした。 お国から、栄えあるドイツ留…
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 昨日、6月27日の晩は、サントリーホールでヤニック・ネゼ=セガン指揮 METオーケストラ、Aプログラムを聴かせていただいてまいりました。これはコンサートではございますが、まさにオペラと申しますか、METオーケストラの面目躍如たる公演でした。  1曲目はワーグナー『さ…
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 メトロポリタン歌劇場オーケストラが、音楽監督のヤニック・ネゼ=セガンに率いられて来日中です。6月22日、23日に兵庫県立文化センターでA、B二つのプログラムを演奏した後、東京へ移動し、25日~本日27日までの3夜、サントリーホールで、順にAプロ、Bプロ、Aプロを演奏し…
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 昨日6月25日、夕刻、紀尾井ホールで、ダン・タイ・ソンさんのピアノ・リサイタルをお聴きしました。タイ・ソンさんは1958年ヴェトナムのハノイ生まれ。少年期からピアノを学ばれますが、当時はヴェトナム戦争の真っただ中。防空壕の中、紙鍵盤で、必死に練習されたというエ…
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 イリーナ・メジューエワさんの最新盤、ショパン『プレリュード集』をじっくり聴かせていただきました。昨年3月と12月の2回のセッションで録音された力作で、会場は富山県魚津市の新川文化ホール。ピアノは、このところずっと愛奏されている、1925年製のニューヨーク・スタ…
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 本夕(6月24日19:00~)、サントリーホールで、チョン・ミョンフン指揮東京フィルハーモニー交響楽団のメシアン『トゥーランガリア交響曲』を聴いてまいりました。フランスのオリヴィエ・メシアンが、クーセヴィツキー財団からの委嘱により、終戦の翌年1946年7月17日~、48…
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 本日6月23日は、沖縄慰霊の日です。昭和20年のこの日、旧日本軍は無辜の島民の犠牲を前提とした組織的な沖縄戦をついに断念しました。旧日本軍の軍人たちは、島民から洞窟や防空壕など避難場所を奪って自分たちがまず逃げ込み、あとから逃げ込むことができた島民の方たちは…
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 調布市のグリーンホールをメイン会場として開催されている「調布国際音楽祭」のラスト前日公演「鈴木雅明の幻想交響曲」を、本日拝聴いたしました。タイトルは「幻想交響曲」ですが、それは後半のメイン曲目で、前半には、ヴィヴァルディの『4つのヴァイオリンのための協奏…
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 昨晩の山形交響楽団さくらんぼコンサートは瑞々しいエネルギーに溢れた、聴き応え満点の演奏会で、プログラム全てが大変結構でした。最後に演奏されたのは、ブラームスの『ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲』でしたが、これは、指揮者とオーケストラ、ヴァイオリニ…
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 毎年この時期恒例の、山形交響楽団の東京公演「さくらんぼコンサート」を今宵(6月20日)、東京オペラシティ等コンサートホールで拝聴してまいりました。指揮は、常任指揮者の阪哲朗さんです。 前半は、モーツァルト『魔笛』序曲、ミサ曲ハ長調『戴冠式』、後半は、アルト…
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 本日の小平楽友サークル講座では、楽劇『ヴァルキューレ』の第3幕を鑑賞いたしました。勇壮な『ヴァルキューレの騎行』の音楽から幕があき、岩山に、ヴァルキューレたちが集まってきますが、一人足りません。ジークムントとフンディングの決闘に立ち会っていたブリュンヒル…
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 本日6月18日、午後1:30~3:00の1時間半、 千代田区かがやきプラザ4階、広間にて、お筝のリサイタルをさせていただきました。かがやき大学の講座のヒトコマを、身の程知らず、大胆不敵、厚顔無恥 傲岸不遜 にも、『萩谷由喜子 山田流筝曲リサイタル』と題して、拙い芸を…
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 昨日6月16日は、ここ2週間にわたって開催されたサントリーホール・チェンバーミュージック・ガーデンのフィナーレ・コンサートでした。若手から大ベテランまで、多彩なお顔触れが贅沢なプログラムを聴かせてくださいましたが、その中に、三味線の本條秀慈郎さんの出演プロ…
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  2021年マルコ国際指揮者コンクールに優勝された若手指揮者、ドミトリー・マトヴィエンコさんが、昨晩(6月15日)のサントリーホール、東京交響楽団第721回定期演奏会で日本デビューを飾られました。曲目は前半がラヴェル『道化師の朝の歌』、『マ・メール・ロワ』、後半が…
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 ヴァイオリニストの岡本誠司さんが、浜離宮朝日ホールを会場として続けていらっしゃるリサイタル・シリーズの第4回を、昨日6月14日の晩にお聴きしました。ピアノは、岡本さんの表現希求を充分すぎるほどに満たしながら、自身の主張もひたひたと聴き手に投げかけてくる、北…
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 昨晩(6月13日)、サントリーホール・チェンバーミュージック・ガーデン、ウェールズ弦楽四重奏団のベートーヴェン・ツィクルスⅤを拝聴しました。前半が、第1番作品18-1、第11番「セリオーソ」。ヘ長調とヘ短調のセットで、どちらもユニゾン開始。心憎い組み合わせです。 …
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 昨6月12日の晩、サントリーホールで、チョ・ソンジンさんのピアノ・リサイタルをお聴きしました。ソンジンさんと言えば、2015年の第17回ショパン国際ピアノ・コンクールの優勝者。コンクールのときのショパン演奏も技と心の両輪を具えた、一頭抜きんでたものでしたが、…
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 昨日6月11日の、千代田区かがやき大学クラシック音楽講座では、リヒャルト・シュトラウスの『アルプス交響曲』を採り上げました。シュトラウスが1915年に書き上げた『アルプス交響曲』は、アルプス登山の一日をテーマとして、登山路を忠実に追いながら、目にしたもの、耳に…
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 メンバー4名が同じ音楽的目的地を目指し、そこへ到達するための各自の表現方法と技術が高い次元の一定範囲のうちに美しく収まって、ときに破綻すれすれの爆発的表現も辞さないカルテットを聴いた時の喜びは大きなものがございます。昨晩、サントリーホール、チェンバー・ミ…
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