萩谷由喜子のブログ

音楽評論家・萩谷由喜子が音楽話題や日々の所感を綴っています。

2024年03月

 昨3月30日の18:00よりサントリーホールで開催された、東京交響楽団第718回定期演奏会は、前半に藤倉大さんの新作「Wavering World』とシベリウスの交響曲第7番、後半に、ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番という、協奏曲を後半にもってくるプログラムでした。確かに、シベリ…
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 昨晩、3月29日の聖金曜日に、バッハ・コレギウム・ジャパンの『マタイ受難曲』を拝聴してまいりました。この団体による、『マタイ受難曲』は、かれこれ、20年近く前から聴かせていただいてまいりまして、どんどん新しい演奏家の方々が育つありさまに、ただただ敬服しており…
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 キリスト教では、過ぎ越しの聖なる3日間の前の金曜日を「聖金曜日」として大切にしているわけでございますが、本日が、今年の聖金曜日にあたります。過ぎ越しとは、死から生へと移る、キリストの神秘のことで、聖金曜日は受難と死を記念する日だそうでございます。それを尊…
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 本日、銀座のヤマハホールで開催された『宮田大 チェロ・コンサート―箏奏者、LEOと共に―』を拝聴してまいりました。宮田大さんはスイスとドイツで勉強なさり、2009年ロストロポーヴィチ国際チェロコンクールに日本人として初めて優勝なさったチェリストで、その他にも「…
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 いかなる大芸術家といえども、コップ一杯の水を飲み下すが如くに難なく作品を生み出したと喧伝される天才作曲家といえども、やはり、本人にしてみればそんなことはなく、どの作品の完成にも、いうにいえない苦悩と、完成に向けての自らへの強く厳しい叱咤があったことでし…
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 昨日3月25日がマエストロ・トスカニーニのお誕生日であることをブログに書きましたところ、「フィデリオ」さまから、過去記事にたしかトスカニーニにちなんだ珈琲の話題があったはず・・・とのコメントをいただきました。そうおっしゃられれば、書いたような気がいたしまし…
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 アルトゥーロ・トスカニーニは1867年の今日3月25日、イタリア北部のパルマに生まれました。父クラウディオは仕立屋さん、母パオラは裁縫師さんという手仕事一家です。楽器も指揮も、手仕事ですから、ご両親の血は彼にまちがいなく受け継がれたのでしょう。 アルトゥーロは…
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 ポリーニさんの訃報をメディアが報じました。非常に衝撃を受けました。ポリーニさんと言えば、1960年の第6回ショパン国際コンクールに18歳で優勝なさったことで有名ですが、すぐに国際舞台に登場されることなくイタリア国内限定で小さな演奏会に出演なさるにとどめ、、Mila…
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 本日3月23日、東京文化会館大ホール15時開演で、小澤征爾音楽塾 オペラ・プロジェクトⅩⅩ モーツァルト『コジ・ファン・トゥッテ』のフル・オペラ公演がございました。皆様、ご存知のように、今年2月6日に、小澤征爾氏は88歳で他界されましたが、2000年から小澤氏が育て…
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 サントリーホールには、プロ・オペラ歌手養成機関として、「サントリーホール・オペラ・アカデミー」という生学びの場があり、ジュゼッペ・サッバティーニ先生他の一流指導陣のもと、若手歌手の方たちが真摯に勉強されておられます。このアカデミーが30周年を迎えたことを…
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 昨日の小平楽友サークル講座では、『みんなでめぐるワーグナーの指環物語』第2回として、「ニーベルングの指環とき何か?」のお話をさせていただき、指環4部作に登場する、いくつもの「族」のご紹介を切り口として、全体の概観をおおまかに探りました。その中で、「ヴァルキ…
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 本日、九州交響楽団70周年記念東京演奏会サントリーホール公演を拝聴いたしました。 小泉和裕マエストロの音楽監督退任記念となるこの演奏会では、ベートーヴェンの2番とシュトラウスの『英雄の生涯」感銘深く演奏されました。                     …
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 春のお彼岸に入りました。明日20日はお彼岸の中日で祝日ですが、第3水曜日の原則どおり、小平楽友サークル講座は開講いたします。前回から始まった『みんなでめぐるワーグナーの指環物語』の第2回といたしまして、『ニーベルングの指環」とは何か?というテーマのもと、まず…
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 新国立劇場に、13年ぶりの『トリスタンとイゾルデ』がただいまかかっております。3月14日、17日、20日、23日、26日、29日の6公演のうち、昨日3月17日の2回目を拝見してまいりました。前回は、2010年12月~11年1月の6公演だったそうですが、わたくしはそれを拝見しませんで…
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 一昨日の夕刻でした。来宅してくださった友人とワイン歓談中、ピンポンが鳴りましたので応答いたしますと、「国際宅急便が届いています」。えっ、国際宅急便?? 心当たりがないので驚いて出てみましたら、見慣れないパッケージのブックサイズの荷物を渡されました。差出人の…
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 オーストリアの超ベテラン・ピアニスト、ルドルフ・ブッフビンダーさんが東京春音楽祭でベートーヴェンのピアノ・ソナタ・ツィクルスを開始されました。東京文化会館小ホールを会場として、32曲を7回の演奏会で完奏されるシリーズです。本日、その第2回を聴いてまいりまし…
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 3月15日、新日フィル演奏会で、アンヌ・ケフェレックさんの独奏による、ベートーヴェンの1番を聴きました。華奢で気品あふれる容姿、洗練されたシックなお召し物、楚々とした挙措動作はまさに伯爵夫人。音は大きくはありませんが、繊細な美音で弾き進まれました。ことにソ…
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 カナダのチェリスト、ジャン=ギアン・ケラスさんの無伴奏チェロ リサイタルを3月14日夕べ、浜離宮朝日ホールをで聴いてまいりました。以前の来日の時も聴かせていただき、これほどのチェリストと同じ時代に生きる幸せを噛みしめたものですが、今回のリサイタルでも、つく…
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 1番と1番。短調作品同士の組み合わせで、昨晩、ブラームスを聴いてまいりました。ブラームスの2曲のピアノ協奏曲は、青春の真摯な人生探求の煩悶がにじみ出たニ短調の第1番と、円熟の大家が苦悩を超越しておおらかに仕上げた変ロ長調の第2番というように、対照的な性格を持…
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 昨3月12日の晩、紀尾井ホールで開催された「ロン=ティボー国際音楽コンクール ガラ・コンサート」を聴いてまいりました。御存じのように、このコンクールの冠タイトルは、フランスの名ピアニスト、マルグリット・ロンと、彼女とともにロン=ティボー財団を創設した同国が誇…
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