萩谷由喜子のブログ

音楽評論家・萩谷由喜子が音楽話題や日々の所感を綴っています。

2023年11月

 今回のベルリン・フィルの来日に伴い、その副産物のような、楽員によるいくつかの室内楽公演が開催されました。11月27日には、オペラシテイコンサートホールで、樫本大進さんやシュテファン・ドーアさんらによる、ベルリン・フィル八重奏団のシューベルト:八重奏曲他の公…
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 「エルプ・フィルハーモニー管弦楽団」、といってもまだあまり耳馴染みのない名称ですが、旧名は「ハンブルク北ドイツ放送交響楽団」です。「ハンブルク」をつけずに、「北ドイツ放送交響楽団」といったかもしれません。  第二次大戦終結直後のドイツには、各放送局傘下…
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 ベルリン・フィルが、世代を超えたアウトリーチ・プロジェクトとして、アマチュア音楽家を募った「Be Philオーケストラ」公演を日本ツアーの最終日(11月26日)に成功させました。音大生は対象とせず、音楽を本業としない、れっきとしたアマチュアであることが応募条件です…
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 昨日、全体の所感を綴りましたが、今日は少し個々の曲について書かせていただきます。今回のベルリン・フィル来日公演Aプログラムは、モーツァルトの交響曲第29番、ベルクの3つのオーケストラ小品、そして、ブラームスの交響曲第4番でした。編成の小さなモーツァルトを敢え…
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 本日11月26日は、キリル・ペトレンコ指揮の、ベルリンフィル・モニー管弦楽団2023日本ツァーの最終日でした。14:00より、サントリーホールで開催された最終日公演、Aプログラムを拝聴しました。この公演には、開演時から天皇陛下がおみえになられ、珍しいことに休憩後の第…
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 昨晩(11月24日)、トッパンホールでティル・フェルナーさんのピアノ・リサイタルを拝聴いたしました。フェルナーさんは1972年オーストリアのウィーン生まれ。ヘレーネ・セド=シュタトラーのもとで学び、その後アルフレッド・ブレンデル、マイラ・ファルカス、オレグ・マイ…
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 本日11月24日が「オペラ記念日」とされていることを、朝のNHKラジオで初めて知りました。明治27(1894)年のこの日に、東京音楽学校奏楽堂で、明治以来初めてのオペラとして、グノー『ファウスト』が演じられたことをもって、この日を「オペラ記念日」としたそうです。   …
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 11月22日19時より、アンドリス・ネリソンス&ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団、サントリーホール公演の第2夜が開催されました。昨晩とは打って変わって、編成の大きな2作を採り上げたので、対向配置は変わりませんが下手の第1ヴァイオリン16、時計回りにチェロ10、…
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 昨11月21日の晩、サントリーホールで開催されたライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団コンサートの第1夜を拝聴してまいりました。指揮は、同団のカペルマイスター、アンドリス・ネルソンス。今回の来日では、いずれもこのオーケストラに縁の深い2種のプログラムが携えら…
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 本日の午後、新国立劇場の新制作、ヴェルディ『シモン・ボッカネグラ』の中日(3/5)を拝見してまいりました。フィンランド国立歌劇場/テアトロ・レアルとの共同制作で、指揮は新国立劇場オペラ・芸術監督の大野和士さん。演出は、レバノン出身、オランダ、イギリス、アメ…
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 グスタフ・マーラーの交響曲第1番は、現在では彼の交響曲のうち、最も親しみやすい作品として広く愛されています。この交響曲は1889年11月20日に、マーラー自身の指揮、ブダペスト・フィルハーモニー交響楽団によって初演されました。でも、この初演は成功しませんでした。…
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 2021年11月14日に、初めて、下村泰斗さんのピアノ・リサイタルを拝聴し、多岐に亘るレパートリーによく手をいれられて、充実した演奏を聴かせてくださるのに驚きました。それから早くも2年、前回と同じ神楽坂の音楽の友ホールで、本日、リサイタルをお開きになられたので、…
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 本日、東京藝術劇場で、井上道義マエストロのマーラー『復活』公演が開かれました。今年1月、ご自作オペラの初演のあと、突然、おなかの激痛に見舞われて、尿管結石の診断、それが一段落してコンサートを重ねておられたところ、全身にさまざまな症状が出てしばらく指揮台か…
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 昨晩(11月16日)は、東京文化会館所小ホールで、「Trio Solla」の演奏会を聴きました。ニューヨークで活躍するピアノの谷川かつらさん、ベルリンを拠点とするチェロの水谷川優子さん、パリ住まいのヴァイオリンの瀬川祥子さんが、三都から集まって、トリオ活動を継続なさっ…
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 昨11月15日の晩、トッパンホールで、ブラジル生まれの世界的チェリスト、アントニオ・メネセスさんのリサイタルを拝聴いたしました。バッハの無伴奏組曲から、1番、3番、6番をお弾きになったのですが、各曲に先だって、それぞれのイントロダクション的な、バッハへのオマー…
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 今年のウィーン・フィルの来日公演の指揮者は、ニューイヤー・コンサートを大成功に導いたフランツ・ウェルザー=メストさんの予定でした。ところが、9月になって、ウェルザー=メストさんが病気の治療のため、12カ月から14カ月間も、指揮活動を休止なさるという発表があり、…
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 明日、11月15日の小平楽友サークル講座では、クリスティアン・ツィメルマンの弾き振り、及び、バーンスタインとの協演によるベートーヴェンのピアノ協奏曲を鑑賞いたします。継続中のシリーズ「20世紀の名演奏家たち」の中で、前々回に交響曲指揮者としてのバーンスタイン…
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 1957年の初来日以来、これまでに23回の来日公演を実現させてきたベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(BPO)が、2019年のシーズンから首席指揮者・芸術監督に就任したキリル・ペトレンコに率いられて、4年ぶりに来日しました。明日11月14日の香川県民ホールを皮切りに、名古…
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 1884年、レニングラード生まれのユダヤ人ピアニスト、レオニード・クロイツァーは、当時ロシア国内に吹き荒れたポグロム(ユダヤ人無差別大量虐殺)の難を逃れてドイツに亡命し、ベルリン高等音楽院のピアノ科主任教授として多くのピアニストを育てますが、1933年にナチス…
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 大理石の階段に緋色の絨毯のいかにもオペラティックな日生劇場は、帝国ホテルの北側の通りを挟んだ日比谷寄りにそびえています。1963年にベルリン・ドイツ・オペラ『フィデリオ』を招いて、こけら落し公演を打った、この劇場が開場60年の記念公演として、沼尻竜典指揮、読…
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