萩谷由喜子のブログ

音楽評論家・萩谷由喜子が音楽話題や日々の所感を綴っています。

2023年09月

 梯剛之さんがベートーヴェンの後期三大ピアノ・ソナタをリリースされました。昨年(2022年)10月10日に東京文化会館小ホールで開催なさったリサイタルのライヴ録音盤です。リサイタル当日もお聴きして、梯さんの真摯でひたむきなアプローチに共感を覚えましたが、今、あらた…
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 昨晩、これが「歌」なのだ、と思わず涙してしまう「歌」を東京文化会館小ホールで聴かせていただきました。 日本人として初めて主役級でバイロイト・デビューを果たし、フリッカ、グンドリ、ブランゲーネ、ワルトラウテ、エルダの各役に扮し、9年連続出演を達成された、世…
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 一昨日でしたか、男声コーラスグループの草分け「ダークダックス」のメンバーで「ゾウさん」の愛称で親しまれた、バスの遠山一さんが、9月22日午後10時4分、慢性心不全と老衰のために都内の病院で亡くなられた、享年93、というニュースに接しまして、子どもの頃大好きだ…
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 昨9月25日の晩、1999年のパガニーニ国際コンクール優勝以来、確かな足取りで進化を続ける庄司紗矢香さんが、パリを拠点にもう20年近く活躍するモディリアーニ弦楽四重奏団、イギリスの代表的ピアニストの一人、ベンジャミン・グローヴナーさんと組んで、「フランスの風」と…
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 2日前の本ブログに、リトアニア出身のギエドレ・シュレキーテさんを聴いたことを書かせていただきましたが、昨日9月24日は、日本の女性指揮者として最前線で大活躍中の沖澤のどかさん指揮する、京都市交響樂団の東京公演を拝聴した件をご報告いたします。 沖澤のどかさん…
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 昨9月23日夕刻、サントリーホールで開催された東京交響楽団第714回定期演奏会は、イタリアの若きマエストロ、ロレンツォ・ヴィオッティさんが指揮台に立たれ、2つの『英雄』を演奏なさいました。前半はベートーヴェンの交響曲第3番『英雄』、後半はリヒャルト・シュトラウ…
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 昨晩、サントリーホールで開催された読響第666回名曲シリーズに、リトアニア出身のギエドレ・シュレキーテさんが登場され、幕開けに、チャイコフスキー幻想序曲『ロメオトジュリエット』を颯爽と振られた後、フルートのパユさんとシャミナードのコンチェルティーノ他2曲を…
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 9月17日に、阪田知樹さんが1回のコンサートで成し遂げた、ラフマニノフ ピアノ協奏曲全曲演奏会を、ミハエル・プレトニョフさんが、13日と昨21日の晩の2夜に分けた形で達成されました。会場は、阪田さんがサントリーホールであったのに対し、プレトニョフさんは東京オペラ…
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 本日は、浜離宮朝日ホールランチタイム・コンサートで、ヴィオラの田原綾子さん&ピアノの實川風(かおる)さんのリサイタルを聴かせていただき、午後の時間は、としま区民センター小ホールで開かれた、古典四重奏団『ショスタコーヴィチの時代2023』を拝聴してまいりました…
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  魂の震える音を聴きました。昨日9月19日の晩は、東京文化会館小ホールで開かれた、ハインツ・ホリガーさんのリサイタルにうかがったのですが、1曲目、ラヴェルの『ハバネラ形式の小品』、ピアノの導入に続いて、あのけだるいハバネラの旋律が流れ出したとき、えっ、えっ、…
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 昨日、東京文化会館小ホールで開かれた、瀬﨑明日香さん、デビュー30周年記念リサイタルにつきまして、少し詳しくご報告いたします。明日香さんは藝大附属高校に入学されたばかりの15歳のとき、この同じホールで、日本演奏連盟主催・演練コンサートにご出演されたのがデビ…
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 本日は、14:00より東京文化会館所小ホールで、ヴァイオリンの瀬﨑明日香さんのデビュー30周年記念リサイタルが開かれ、17:00から、サントリーホールブルーローズで、大ベテラン・チェリスト、松波恵子さんのリサイタルが開催されました。 世代こそ異なれ、日本を代表する…
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 今年は、帝政ロシア生まれ、革命後に亡命して後半生をアメリカで暮らした作曲家、セルゲイ・ラフマニノフ(1873-1943)の生誕150年、没後80年の記念年です。それにちなみ、大躍進中の若手で、リスト国際コンクール優勝他、いくつもの国際コンクールにタイトルを持つピアニス…
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 本日、東京芸術劇場で開催された読売日本交響楽団のマチネ・シリーズは、先日の定期演奏会でブルックナーの4番を振ってくださったマエストロ・ヴェルツァーゴが登場され、読響との息の合ったところを見せてくださいました。作品のテクスチュアが可視化されるような明せきな…
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 イリーナ・メジューエワさんが、ショパンのエチュード全曲を再録音なさいました。前回から14年ぶりです。やはり、ピアニストにとって、ショパンエチュード全27曲(作品10の12曲、作品25の12曲、新練習曲3曲)がいかに大きな存在であるか、ある時点でここまで弾いた、これを…
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 トルコ出身の鬼才ピアニストにして作曲家のファジル・サイさんが日本に上陸して、一大旋風を巻き起こしたのは、もう10年以上も前のことだったと記憶します。当時は立て続けに何年か聴かせていただいたのですが、近年はコロナ禍の影響から拝聴機会がなく、今宵、久しぶりに…
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 またまた国際コンクール、日本人入賞ニュースでございます。共同通信の記事をご紹介します。おめでとうございます。 本選でお弾きになったのは、イギリスの作曲家ウィリアム・ウォルトン(1902-1983)が1929年に作曲したヴィオラ協奏曲だったそうです。同国の名手来オネル…
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  一昨日、北村陽さんのブラームス国際コンクール優勝のニュースをお伝えした記事で、昨今の日本人チェリストの活躍が目覚しいことに触れましたので、今日はその主な方々をご紹介いたします。  わたくしの記憶によりますと、まず、ともに1986年生まれの宮田大さんと横坂…
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 9月9日と10日の両日、初台の新国立劇場オペラパレスで、藤原歌劇団公演、ヴェルディ『二人のフォスカリ』がダブルキャストで上演されました。本日の公演を拝見して、出演者のみなさまのご精進に、心から拍手を送ってまいりました。 1844年にローマのアルジェンティナ劇場…
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