萩谷由喜子のブログ

音楽評論家・萩谷由喜子が音楽話題や日々の所感を綴っています。

2023年06月

 ワーグナーの楽劇『トリスタンとイゾルデ』は1865年の本日、6月10日にミュンヘンのバイエルン宮廷歌劇場で、ワーグナーの最高協力者、ハンス・フォン・ビューローの指揮によって初演されました。この初演は、いくつもの角度から注目さるべき事件であったように思います。 …
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 大藤莞爾さんは2005年東京生まれ。もうすぐ18歳になられるそうですが、現在まだ、満17歳のチェンバリストです。それだけでもうびっくり。半信半疑で、昨晩『紀尾井明日への扉』という若手発掘シリーズに伺いました。 ご経歴を引用いたしますと、「6歳よりピアノを始め、8…
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 今日はロベルト・アレキサンダー・シューマンの213歳のお誕生日。何か、ささやかなお祝いをしたいと思い、朝のひと時、ピアノに向かって『子どもの情景』の中から少しだけ弾かせていただきました。子どもの世界へ聴き手を誘うメルヘンティックな幕開け曲『見知らぬ国々』、…
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 予告させていただいたように、本日の小平楽友サークル講座では、グレン・グールドを採り上げ、彼がなぜ、キャリア半ばでコンサート会場を去って録音に特化したのか、1957年のソ連訪問の意味は何だったのかを探り、そして、1955年録音の旧盤、1981年録音の新盤、二つの『ゴ…
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 1891年生まれのシャルル・ミュンシュが1962年に単身来日して、発足6年の若いオーケストラ、日本フィルハーモニー交響楽団を振ったことは、日本のオーケストラ史の一ページを刻む出来事だったと思います。アルザス・ロレーヌ地方出身、出生当時はドイツ人、カール・ミュンヒ…
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 ただいま「20世紀の名演奏家たち」シリーズ進行中の小平楽友サークルの今週の講座では、カナダの生んだ不世出のピアニスト、グレン・グールド(1932.9.25~1982.10.4)を採り上げます。 所持しているはずのこれらのCD、DVDがどうしても見当たらず、これも建て替え転居の際…
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 毎年6月は、サントリーホール・ブルーローズを初夏の庭に見立て、バラエティゆたかな室内楽演奏会の数々を花々に見立てた「チェンバー・ミュージック・ガーデン(CMG)」が開催されます。その中でも恒例となった大きな企画は、毎年、世界各国から腕達者なカルテットを招いて…
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 お誕生日秒読みとなった本日も、まったく意図せずに出かけた、仲道郁代さんのコンサート、後半がシューマンでした。仲道さんは今回、「劇場」というキーワードのもと、前半にベートーヴェン、後半にシューマンを採り上げられ、後半のシューマンでは、彼に内在する二つの人…
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 ロベルト・シューマンは1810年6月8日、ドイツ中東部の鉱山都市ツヴィカウに教養ゆたかな出版商の末っ子として生まれました。ですので、もうすぐ、213歳のお誕生日がきます。6月という季節が呼ぶのか、このところ、彼のピアノ協奏曲に何かとご縁がございました。 ひとつは…
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 イリーナ・メジューエワさんから、進行中の「シューベルト作品集」の第3集をお送りいただき、本日、じっくりと謹聴させていただきました。収録曲は、即興曲集op.142 D935の4曲、ディアベリのワルツの主題による変奏曲、アレグレットハ短調、ピアノ・ソナタ第14番イ短調です…
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