萩谷由喜子のブログ

音楽評論家・萩谷由喜子が音楽話題や日々の所感を綴っています。

2023年05月

 昨5月30日の晩、シューベルトの魂に導かれるようにして、世にも傑出したバリトン、大沼徹さんの『美しき水車小屋の娘』全曲演奏会を拝聴する幸運に恵まれました。先週の小平楽友サークル講座でハンス・ホッター、ジェラルド・ムーアの『冬の旅』をとりあげて、メンバーの皆…
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 只今継続中の、千代田区かがやき大学の名演奏家シリーズ、本日の講座では、チェコ・フィルの困難な時代を支えた名指揮者、ヴァーツラフ・ノイマン(1920-1995)を採り上げました。同フィルのヴィオラ奏者であったノイマンは、ある日、体調を崩したクーベリックに請われて、…
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 新国立劇場の新制作『リゴレット』の公演評を、只今執筆中ですが、わき道にそれて、偶然みつけた迫力満点な四重唱動画の虜になってしまいました。1950年代のアメリカで、テレビ放映されたものとのことで、珍しいことに、バスのチェーザレ・シエピがバリトンのリゴレットを…
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 マリア・カラスが復活させたことで知られる、ルイジ・ケルビーニ(1760-1842)の代表作『メデア』が昨日と本日、日生劇場で日本初演されました。指揮は園田隆一郎さん。演出は栗山民也さん。オーケストラは新日本フィルハーモニー交響楽団です。 歌手はダブル・キャストで…
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 本日5月27日は、東京藝術劇場のマチネ公演で、パシフィック・フィルハーモニア東京(旧名=東京ニューシティ管弦楽団)定期を聴きました。指揮は、年に一度だけご登場とのお約束の、外山雄三先生。1931年5月10日のお生まれの、92歳のマエストロです。 少し前までは、そここ…
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 このところ、3人の女性ヴァオリニストの方たちのご精進の成果を短期日に集中して拝聴いたしました。 まず、5月20日に、フィリアホールで、小林明代さんのリサイタルを聴かせていただきました。 お人柄そのものの、やさしい音色と、耳に心地よく馴染むナチュラルなフレー…
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 本日は新国立劇場で、エミリオ・サージ演出になる新制作、ヴェルディ『リゴレット』を拝見してまいりました。指揮は、同劇場に1998年『セビリアの理髪師』以来、25年ぶり、2度目の登場となる、マウリツィオ・ベニーニ。メトロポリタン歌劇場、パリ・オペラ座、ウィーン国立…
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 2023年度前期の、小平楽友サークル講座は「20世紀の名演奏家たち」シリーズを継続中ですが、本日はその第6回として、ハンス・ホッター独唱の、シューベルト『冬の旅』全曲、ドイツ、オーストリア各地の冬の情景映像と組み合わせた映像作品で、鑑賞いたしました。 ご存知の…
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 本日の、千代田区かがやき大学では、20世紀屈指のヴァイオリニストとして、ヤッシャ・ハイフェッツを採り上げました。ハイフェッツは、20世紀幕開けの年1901年の2月2日に、当時ロシア帝国領であった、リトアニアのヴィリニスのユダヤ人家庭に生まれました。父は同地のオー…
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 ヴァシリー・ペトレンコ指揮 ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団、2023年の日本公演は5月20日の福岡シンフォニーホールから始まり、21日の大阪フェスティバルホールと続いて、本日5月22日はサントリーホールで、福岡と同じAプログラムによる演奏会が開催されました。  …
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 昨晩、サントリーホール、東京交響楽団第710回定期演奏会で、マーラーの交響曲第6番『悲劇的』を、ジョナサン・ノットさんの指揮、グレブ・ニキティンさんのコンマスで拝聴いたしました。同団は、この春、首席クラス数名の交代がありましたので、少し心配いたしましたが、…
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 昨5月19日の晩、サントリーホールで開催された読売日本交響楽団の第662回名曲シリーズに出掛け、プログラムをめくっていて、数日前の5月13日、14日両日の東京芸術劇場、土曜、日曜マチネ公演(14:00開演)のページを見て驚きました。指揮は沖澤のどかさん、曲は、エルガーの…
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 シューマンのヴァイオリン協奏曲の話題の補足です。昨日ご紹介した、クーレンカンプの1937年のセッション録音はまことに胸打たれる名演だとつくづく思います。ことに、第2楽章にあふれる愛と慈しみにじんときてしまいますが、この主題こそが、ライン河投身直前のシューマン…
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 過日、5月11日、12日の記事で、五嶋みどりさんが、エッシェンバッハ指揮、ベルリンコンツェルトハウス管弦楽団とシューマンのヴァイオリン協奏曲を協演なさった話題を綴りました時、この曲の初演をめぐって争奪戦があったこと、その結果、クーレンカンプが初演したことだけ…
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 エリック・サティは1866年の本日、5月17日に、ノルマンディー地方の海運業者の息子として生まれました。6歳で母親を亡くした彼は祖父母に引き取られますが、12歳のとき、今度は母親代わりの祖母が海浜で事故死します。父親は彼を連れてパリに出て、ピアノ教師の女性と再婚…
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 本日5月16日19:00より、東京オペラシティコンサートホールで、標題のコンサートが開かれました。大分県の別府を本拠地とする、別府アルゲリッチ音楽祭の一環として、水戸室内管弦楽団との共同制作によるコンサートです。今年の別府アルゲリッチ音楽祭は4月26日から開幕して…
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 5月14日は宮崎国際音楽祭の最終日でした。毎回、最終日は音楽祭のハイライト、演奏会形式のオペラです。今回はヴェルディ『仮面舞踏会』が、リッカルド=宮里直樹さん、アメーリア=中村恵里さん、レナート=池内響さん,ウルリカ=福原寿美枝さん、オスカル=盛田真央さん他の…
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 宮崎国際音楽祭は、宮崎市の市街中心部から北へ3キロほど離れた、メディキット県民文化センター、宮崎県立芸術劇場の大小3つのホールをメインに開催されています。うち、大ホールは、同音楽祭の創世期に多大な貢献のあったアメリカの巨匠ヴァイオリニストのお名前をいただ…
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 第28回宮崎国際音楽祭が4月28日から開幕しています。第25回から27回までは規模を縮小し、さまざまな工夫を重ねて維持してきた音楽祭ですが、今年久々に、コロナ前の規模に戻っての開催です。 わたくしは最後の3日間、4公演を聴かせていただくべく、昨日、こちら宮崎に参り…
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 予告させていただいたように、昨晩、サントリーホールで開催された、クリストフ・エッシェンバッハ指揮、ベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団、ブラームス・ツィクルス最終夜で、五嶋みどりさんのシューマン、ヴァイオリン協奏曲ニ短調を聴かせていただいてまいりました…
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