2023年04月30日 クザヴィエ・メストレ・ハープ・リサイタルの白眉はアンリエット・ルニエ『伝説』でした。 カテゴリ: 4月27日に紀尾井ホールで開催された、現代屈指のハープ奏者、クザヴィエ・メストレさんのハープ・リサイタルの白眉は、プログラムの最後に置かれたアンリエット・ルニエ『伝説』でした。アンリエット・ルニエ(1875~1956)は、ラヴェルと同年生まれのフランスの女性ハープ… >>続きを読む
2023年04月29日 ルイ・シュポーアの妻ドレッテ・シャイドラー カテゴリ: ドイツのヴァイオリニスト、ルイ・シュポーア(1784~1859)はベートーヴェンとも親交のあった、その時代を代表する音楽家の一人でした。彼は1805年に、ゴーダ大公の宮廷楽団の首席ヴァイオリニストに召し抱えられ、就任あいさつに同地の主だった音楽家を訪ねた時に、ゾフ… >>続きを読む
2023年04月28日 ソフィア・コッリ・デュセックさんはハープ奏者、かつ作曲家でした。 カテゴリ: 楽器演奏にはなんらかの身体的所作が伴いますが、女性奏者の体の動きを、好ましからざるものとみる風潮がかつてはありました。体のくねりや腕、指の蠕動をともなうヴァイオリンなどは最たるものでしたが、その中で、批判の目を逃れた数少ない楽器がピアノとハープでした。… >>続きを読む
2023年04月27日 ハープの貴公子、クサヴィエ・メストレさんのリサイタル カテゴリ: 「ハープの貴公子」と呼ばれる、1973年フランスのトゥーロン生まれのハーピスト、クサヴィエ・メストレのリサイタルを本夕、紀尾井ホールで拝聴してまいりました。 メストレさんは、とてつもない音量と表現技巧を兼ね備えた、その観点から言えば、間違いなく現代最高のハ… >>続きを読む
2023年04月26日 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団特別演奏会 飯守泰次郎のブルックナー カテゴリ: ここ6日間にわたり『プロコフィエフと二人の妻』を連載させていただきましたため、この間のコンサート鑑賞のご報告が滞りました。日にちのたってしまったものはあきらめ、4月24日にサントリーホールで拝聴した、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団特別演奏会『飯守泰… >>続きを読む
2023年04月25日 連載その6.セルゲイ、リーナ、ミーラ 三者三様の運命 カテゴリ: 1948年1月13日、プロコフィエフは、もう7年も前からいっしょに暮らしているミーラ・メンデリソンと「結婚」しました。ソ連邦の裁判所の裁定では、リーナとの結婚はそもそもなかったことになるので、二人は初婚同士の、花嫁、花婿というわけです。 彼の正式結婚が既定の事… >>続きを読む
2023年04月25日 連載その5.プロコフィエフの離婚申し立てに対し、裁判所は仰天の裁定を下しました。 カテゴリ: 1941年3月15日、スーツケース一つを手にしたプロコフィエフは、リーナと、17歳の長男スヴェトスラフ、13歳の次男オレグとともに暮らしていたアパルトマンを出たまま、二度とこの家に戻りませんでした。彼はそのまま、ミーラとその両親の一家三人のアパルトマンに寄寓して(… >>続きを読む
2023年04月23日 連載その4.ミーラ・メンデリソンはマクシム・ゴーリキー文学大学の研究生でした。 カテゴリ: ミーラ・メンデリソンは、1915年旧暦1月8日に、現在のウクライナ、キーウのユダヤ人家庭に生まれました。父親は経済学者で統計家、母親は共産党幹部となった人物です。 ミーラというのは通称で、アレクサンドロエーヴァ・メンデルスゾーンともいいました。メンデリソンと… >>続きを読む
2023年04月22日 連載その3.意気揚々とソ連邦に復帰したものの、厳しい現実の中で深まる夫婦の溝 カテゴリ: 当初、プロコフィエフは、自分はショスタコーヴィチの轍を踏むはずがない、とタカをくくっていたようです。でも、現実は甘くはありませんでした。彼が復帰記念作と位置付けて心血を注ぐ大作バレエ『ロメオとジュリエット』は、当初の依頼者、レニングラードのキーロフ劇場… >>続きを読む
2023年04月21日 連載その2.プロコフィエフの最初の妻リーナは夫のソ連邦復帰に反対しました。 カテゴリ: プロコフィエフの最初の妻リーナは1897年にマドリードで生まれました。スペイン人の父もウクライナ人の母も歌手という歌手一家に育ち、やがてリーナ・リューベラというステージネームで舞台に立つようになります。6歳年上のプロコフィエフとは、彼がアメリカとヨーロッパを… >>続きを読む
2023年04月20日 連載その1.プロコフィエフの二人の妻 カテゴリ: 昨日、上野優子さんのプロコフィエフ・ピアノソナタ全曲演奏会シリーズ第4回を聴かせていただきましたところ、上野さんご自身による、ソナタ第6番の曲目解説に、祖国復帰後のプロコフィエフの人生とその中で書かれた後期のソナタへの記述がございました。ほんの少し前まで… >>続きを読む
2023年04月19日 上野優子さん ピアノ・リサイタル プロコフィエフ・ソナタ全曲シリーズ第4回カワイ カテゴリ: 本夕、すみだトリフォニー小ホールで開催された、上野優子さんのピアノリサイタルを拝聴してまいりました。上野さんは、イタリアのイモラ音楽院と、パリのエコール・ノルマルに学ばれたピアニストで、ご自分の守備範囲というものをしっかりともっていらっしゃり、その領域… >>続きを読む
2023年04月18日 森谷真理ソプラノリサイタル カテゴリ: 本日の浜離宮ランチタイムコンサートは、ニューヨークのメトロポリタン歌劇場、ウィーンのフォルクスオーパー、リンツ州立歌劇場など、世界のひのき舞台で躍進を続けるソプラノ歌手、森谷真理さんのリサイタルでした。森谷さんはまず前半に、ヘンデルのオペラ・アリア6曲を… >>続きを読む
2023年04月17日 ラズモフスキー第1番に引用された『ロシア民謡』とは カテゴリ: 昨日、「中山良夫プロデュース・音楽工房カルテット」のコンサートで、ラズモフスキーの第1番の名演を聴かせていただいて、今もその演奏が頭の中になっております。まことに、このような壮麗巨大にして、実験性にも富んだ野心作を、ベートーヴェンはどのようなところから発… >>続きを読む
2023年04月16日 中山良夫プロデュース 室内楽工房 その43/カルテット名曲選Part.12~ベートーヴェンのカルテット1 カテゴリ: 本日14:00より、代々木上原駅至近の「ムジカーザ」で開催された、「中山良夫プロデュース 室内楽工房 その43/カルテット名曲選Part.12~ベートーヴェンのカルテット1」を聴かせていただいてまいりました。東京都交響楽団に長らく在籍された名ヴィオリスト、中山良夫氏が… >>続きを読む
2023年04月15日 東京交響楽団 第709回定期演奏会 クシシュトフ・ウルバンスキさんが指揮台に。 カテゴリ: 本日は、昼公演のパシフィック・フィルハーモニア・トウキョウ(東京芸術劇場)と、夕刻公演の東京交響楽団第709回定期演奏会(サントリーホール)を聴かせていただきました。前者では太田弦さんが、モーツァルトの『ドン・ジョヴァンニ』序曲、フルート協奏曲第1番、ぺートー… >>続きを読む
2023年04月14日 ヴァイオリニスト、トーマス・ツェトマイヤーさんが、練達の指揮者になっておられました! カテゴリ: 本日、4月14日、19:00より、武蔵野市民文化会館大ホールで開催された、フランス国立オーヴェルニュ管弦楽団の来日公演を聴いてまいりました。1981年創設のこの団体のことは、オーヴェルニュ室内管弦楽団として認識させていただいておりましたが、2021年より、国立オーケス… >>続きを読む
2023年04月13日 ブリン・ターフェルさんのスカルピアに圧倒されました!! カテゴリ: イギリスの名バス・バリトン、プリン・ターフェルさんが、東京・春・音楽祭の招きで来日され、4月5日のオーケストラ伴奏リサイタル「opera night」、及び、本日と16日の演奏会形式『トスカ』にスカルピア役で出演されました。16日公演はこれからですが、 本日の『トスカ』… >>続きを読む
2023年04月12日 坂本龍一氏の小池百合子都知事宛ての手紙「この樹々は一度失ったら二度と取り戻すことができない自然です。あなたのリーダーシップに期待します」 カテゴリ: 3月28日に、71歳で亡くなられた音楽家・坂本龍一氏が、神宮外苑の再開発計画を巡って、小池百合子東京都知事、都倉俊一文化庁長官ら5氏に、計画の見直しを求める手紙を、2月24日付で送っておられたとのことが報じられ、5氏へのお手紙の全文が東京新聞ウェブページに掲載さ… >>続きを読む
2023年04月11日 佐渡裕マエストロ、転落事故を乗り越えて、溌溂としたアルペン・シンフォニーを振られました。 カテゴリ: 3月の24日でしたか、佐渡裕マエストロがウィーンでリハーサル中に、楽友協会のステージから転落されたというニュースが報じられました。ご本人がインスタグラムに綴られたところによれば、「全くかばうことが出来ず、思いきり床に体を打ちつけてしまいました。ニールセンの… >>続きを読む