萩谷由喜子のブログ

音楽評論家・萩谷由喜子が音楽話題や日々の所感を綴っています。

2023年01月

 本日、新国立劇場『タンホイザー』を鑑賞してまいりました。2007年の初演以来、今回で4回目の上演となるハンス・ペーターレーマン演出のプロダクションで、入りのよさといい、カーテンコールでスタンディング・オベーションをなさる少なからぬお客様といい、すっかり同劇場…
>>続きを読む

 昨日の朝、NHKラジオに「貴族とは何か」の著者、君塚直隆さんが出演され、ご著書の説くところを明快に話してくださいました。そのお話とは、貴族という言葉には栄耀栄華を謳歌する特権階級、というイメージがあるが、本来の貴族とは決してそういうものではなく、大多数の幸…
>>続きを読む

 イリーナ・メジューエワさんから最新アルバムが届きました。生誕150年の作曲家へのオマージュの込められたソナタと小品によるラフマニノフ・アルバムです。録音日は2022年8月3日~5日、会場はよくお使いになる、富山県魚津市の新川文化ホール。 ピアノ・ソナタ第2番には、…
>>続きを読む

 本日、東京文化会館で藤原歌劇団公演、ジャコモ・プッチーニ『トスカ』ニュープロダクションを拝見してまいりました。演出は松本重孝さん、指揮は鈴木恵里奈さん、管弦楽は東京フィル。明日29日との2公演、ダブル・キャストですが、本日はこのポスター掲載のキャストでの上…
>>続きを読む

 本日1月27日はモーツァルトのお誕生日でございます。1756年1月27日、オーストリア中北部の古都ザルツブルクに生まれた彼は、本日267歳のお誕生日を迎えました。一方、いかなる奇しきご縁からか、1月27日は1901年にジュゼッペ・ヴェルディがミラノのホテルで脳卒中か何かの…
>>続きを読む

  未曽有の?大寒波襲来の昨日1月25日、寒さにも屈せず、お集まりいただいたメンバーの皆様に加え、体験受講の方までいらしてくださり、小平楽友サークル講座第26シリーズの最終回(第10回)を無事に終えることができました。会場予約から資料の印刷、機材準備、あとかたずけ…
>>続きを読む

  1990年、あの64年のカラヤン、フレーニの大失敗以来、26年ぶりにスカラ座で『ラ・トラヴィアータ』の幕があがる日が来ました。ムーティさんは、いつものように歌手たちの楽屋に挨拶に行き、ファブリッチーニさんにはこう告げたといいます。「もし必要なら、超高音を出す合…
>>続きを読む

 今年、生誕100年を迎えた伝説的ディーヴァ、マリア・カラス(1923~1977)は1955年と56年にスカラ座で『ラ・トラヴィアータ』を歌って未曽有の大成功を収めました。ヴィスコンティの演出、指揮はカルロ・マリア・ジュリーニでした。スカラ座のお客たちの目と耳にはカラスの…
>>続きを読む

 マエストロ・ムーティの日本経済新聞連載『私の履歴書』のおもしろいお話をご紹介するうち、かなり際どい内容に踏み込んでまいりましたが、マエストロ・ムーティは、近年、日本の「東京春・音楽祭」へのご出演を感慨深く振り返られ、同音楽祭の主催者、鈴木幸一氏の音楽愛…
>>続きを読む

「彼ほど音楽に関する広い知識を持った指揮者を知りません」。マエストロ・ムーティがこう語るマエストロ・カルロス・クライバー(1930-2004)と初めて会ったのは、1981年、Milan・スカラ座でムーティさんが『フィガロの結婚』を振ったときでした。別のオペラの指揮に来ていた…
>>続きを読む

 1969年6月1日、フィレンツェ五月音楽祭歌劇場の専属指揮者という職を得たリッカルド・ムーティは、ヴェルディ音楽院時代に知り合った新進歌手、クリスティーナと、彼女の生まれ故郷である古都ラヴェンナで結婚式を挙げました。恩師のアントニーノ・ヴォット先生が花婿側の…
>>続きを読む

 ヴェルディ音楽院時代、師事したアントニーノ・ヴォット先生が、リハーサルから暗譜で指揮し、ベテラン歌手やオーケストラを見事に統率する姿をまのあたりにしたムーティ青年は指揮者の仕事に恐れをなし、「わたしは到底、先生のようにはなれません」とヴォット先生に不安…
>>続きを読む

 1962年11月、21歳のムーティ青年はヴェルディ音楽院に学ぶためにミラノに到着しました。音楽院で師事することになったのは、当時スカラ座の中心的指揮者としてデル・モナコ、テバルディ、カラスらと協演していたアントニーノ・ヴォット先生でした。 この写真は、マリア・…
>>続きを読む

 「ニーノ・ロータ」というお名前をおききしますと、ルネ・クレマン監督の『太陽がいっぱい』、ゼッフェレッリ監督の『ロミオとジュリエット』、コッポラ監督の『ゴッド・ファーザー』などの胸を打つ映画音楽が瞬間的に浮かびますが、ロータ先生のご本業は、あくまでも、ク…
>>続きを読む

 日本経済新聞の老舗連載「私の履歴書」2022年12月の語り手は、イタリアの大指揮者リッカルド・ムーティ氏でした。声楽家の森郁恵先生が、ご親切にもそのすべての連載分をまとめてコピーなさってご恵与くださいましたので、おかげさまでたいへん面白くよませていただいてお…
>>続きを読む

旧名を「ハンガリー国立交響楽団」といったハンガリー国立フィルハーモニー管弦楽団が今年の外来オーケストラのトップを切って来日し、今宵、サントリーホール公演の第1夜を開催しました。  このオーケストラは1923年に指揮者のデジュー・ボルが音楽愛好市民を集めて結成し…
>>続きを読む

 本日、新宿文化センター大ホールで関西二期会『ドン・ジョヴァンニ』を拝見させていただきました。2022グランドオペラフィスティバルin Japanとして制作され昨年3月に初演されたプロダクションの東京進出公演でございます。東京にいながらにして関西二期会の質の高い公演を…
>>続きを読む

 本日はサントリーホールで、東京楽所(がくそ)第16回雅楽定期公演「春鶯囀一具 六人舞」を鑑賞させていただきました。東京楽所の定期公演は第1回に聴かせていただいてたいへん感銘を受けました。うかがえない回も多いのですが、前回に続いて今回も鑑賞させていただけ、非…
>>続きを読む

 1976年創業のクラシック音楽事務所の老舗、ジャパンアーツが、本日都内のホテルで3年ぶりに新春レセプションを開催なさいました。長年、新春恒例となっていたこの催しも、2020年1月を最後に、21年、22年と自粛が続きましたが、今年は招聘外来公演のラインナップ、所属アー…
>>続きを読む

 本夕、東京文化会館小ホールにて、「石井啓子アンサンブルシリーズⅩⅩⅩⅡ」を聴かせていただいてまいりました。これほどまでに、質の高い、音楽的な、アンサンブルシリーズが脈々と32回も継続されてきたことに感嘆し、嬉しい畏敬の念を覚えました。ずいぶんと前にも2回ほ…
>>続きを読む