萩谷由喜子のブログ

音楽評論家・萩谷由喜子が音楽話題や日々の所感を綴っています。

2022年12月

 土曜日の大晦日、郵便は配達されないものと思っておりましたら「ピンポン」が鳴り、配達の方が大きい方のレターパックに5~6冊ぎっしり入った『音楽の世界』2023新春号を届けてくださいました。コンサートレビューを執筆しておりましたので、定価800円の貴重な雑誌を数冊ま…
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 12月28日は、ヨーゼフ・ハシッドさまのお誕生日でした。当日に彼のことを書こうと思いながら他の話題を取り上げてしまい、お誕生祝いが本日になったことをまず、ハシッドさまにお詫び申し上げます。 ヨーゼフ・ハシッドは1923年12月28日にポーランドの片田舎、ロシア国境…
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 本日、紀尾井小ホールで、4名の邦楽演奏家の方たちのグルーブ「SATZ」の第2回公演を聴かせていただきました。SATZとは、胡弓の髙橋翠秋さんS、三絃と筝と歌の藤本昭子さんA、太棹の鶴澤津賀寿さんT、尺八の善養寺惠介さんZの頭文字から名づけたグループ名だそうでございま…
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 本夕、東京文化会館大ホールで、飯守泰次郎先生指揮する東京シティ・フィルハーモニックの第九を聴かせていただいてまいりました。今年の第九は小林研一郎先生指揮の日本フィル、サントリーホール公演、尾高忠明先生指揮の東京フィルのオーチャードホール公演を拝聴しまし…
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 昨12月26日の晩、王子ホールで開催された、「長原幸太&田村響 デュオ・リサイタル』を拝聴いたしました。1981年広島県呉市生まれの長原幸太さんは東京藝術大学とジュリアード音楽院(全額スカラシップ受給)に学ばれ、1998年、日本音楽コンクールに最年少優勝された逸材で…
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 2日連続で「コルトー=ティボー=カザルス トリオ」に関して書かせていただいたのは、わたくしの中で、この3名の方々に関するやむにやまれぬ希求があったからだと気づきました。とりわけ、マエストロ・カザルスに関しましては、2007年6月10日にヤマハ・ミュージックメディア…
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 昨日、神田神保町の北沢ビル2階「ブックハウスギャラリー」で開催された、富士レコード社主催の第38回SPレコードコンサートの前半を聴かせていただいたことをご報告いたしました。実は本日もその続編が同会場で開かれて、このトリオの白眉、ベートーヴェンの『大公』が採り…
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 本日は、クリスマス・イブがちょうど土曜日となった、めずらしい巡り合わせの週末ということで、街も商業施設も賑わいを見せました。そんな中、神田神保町の北沢ビル2階ブックハウスギャラリーで開催された、第36回SPレコードコンサート「20世紀最高のトリオ・コルトー=テ…
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 12月23日、金曜日、19:00より浜離宮朝日ホールで開かれた、マルセル田所さんの日本デビュー。リサイタルを拝聴いたしてまいりました。マルセル田所さんは、日本人のお父さまとフランス人のお母さまの間に日本にお生まれになられたピアニストで、ピアノ歴も日本で開始され、…
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 1808年の本日12月22日、ウィーンのアン・デア・ウィーン劇場を会場として、ベートーヴェンの作品だけを演奏する個展コンサートが彼自身の指揮によって開催されました。しかも、そのうちメイン4曲はこの日が初演という、音楽史上特筆されるべき記念碑的コンサートでした。こ…
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 千代田区のかがやき大学後期講座「モーツァルトとは誰だったのか」が昨日で終了いたしました。モーツァルトの生涯と折々の作品を追ってまいりまして、最終回の昨日は未完の絶筆『レクイエム』までたどり着きました。オーケストラと混声合唱、独唱歌手4名という編成はベート…
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  2021年に中央公論新社より発刊した拙著『ウィーンに六段の調 戸田極子とブラームス』では、オーストリア=ハンガリー特命全権公使としてウィーンに赴任した戸田氏共伯爵の妻・極子が、ブラームスの前で六段の調を弾いたいきさつをご紹介いたしました。 ブラームスは、戸…
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   パンデミックが始まってコンサートが激減したこの2年間、庄司紗矢香さんはモーツァルトをはじめとする18世紀音楽に関する文献を丹念に研究され、その成果を録音作品の形で世に問われました。2009年から14年にわたってベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタのツィクルス…
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 本日、和光市文化会館「サンアゼリア」で、同地のオペラ制作団体「オペラ彩」による、池辺晋一郎先生作曲のオペラ『秩父晩鐘』を拝見いたしました。このオペラは、明治17年(1884年)11月1日に、ときの為政者に対して秩父の人々の底辺的窮状を訴えて捨て身で決起し、数日後…
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 本日(12月17日)、オペラ『ショパン』を東京文化会館小ホールにて拝見、拝聴いたしてまいりました。タイトルからは、フレデリック・フランソワ・ショパンの生涯に材をとったオペラのように思えますが、そうではなく。ショパンをモデルとして、彼の周辺人物を象徴化した創作…
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  一昨年2020年が生誕250年ということで、大ブレークするはずでございましたベートーヴェンさまですが、あいにくの流行りものに見舞われ、多くの記念行事、コンサートが中止、延期となりました。ところがそんな逆風もなんのその、かえって存在感を増され、本日は252歳のお誕…
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 アントニン・ドヴォルザーク(1841-1904)の交響曲第9番『新世界より』は1893年の本日、12月15日にベルリンのジムロック社より出版され、翌日12月16日にニューヨークのカーネギー・ホールで、アントン・ザイドル指揮のニューヨーク・フィルハーモニックによって初演されて大…
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 ブラームス最後のピアノ・ソナタは1853年に作曲されました。最後のピアノ・ソナタ と申しましても、人生の終わりに近い頃の作ではなく、弱冠二十歳の時の所産です。コッセル先生というよき師に恵まれて少年時代からピアノの腕を上げた彼は、カフェやレストランでピアノを…
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 本日、千代田区かがやき大学のモーツァルト・シリーズ、第3回がございまして、『モーツァルトのオペラとピアノ協奏曲」というタイトルでお話いたしました。この二つのジャンルは、一見、まったく別のもののようにみえますが、どちらもモーツァルトがもっとも力を注いだジャ…
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 昨日、東京文化会館小ホールで「舘野泉バースデー・コンサート2022」が開催されました。舘野先生は1936年11月10日のお生まれですから、1カ月遅れのお誕生日祝いです。最初の曲は、今年10月に永眠された一柳慧先生の「左手のためのFANTASIA」でした。舘野先生はほぼ同年の一…
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