萩谷由喜子のブログ

音楽評論家・萩谷由喜子が音楽話題や日々の所感を綴っています。

2022年11月

 11月最後の晩の今宵、サントリーホールで開催された「スーパーソリストたちによる秋の特別コンサート2022」の一環として「藤田真央・協奏曲の夕べ」が開かれ、今、国際的ピアニストの道をまっしぐらに進んでいる藤田真央さんが、前半にラフマニノフのピアノ協奏曲第2番ハ短…
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 もうすぐ師走、第九の季節がやってまいりました。この交響曲が日本の地で初演されたのは1918年(大正7年)6月1日のことですが、それは当時徳島県坂東にあったドイツ人捕虜収容所内でドイツ人捕虜たちが、有り合わせの楽器を修理して使い、ソプラノまで男声で賄って実現した…
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 宮谷理香さんから、卓抜なアイディアと珠玉の美音に溢れた最新アルバムが、温かなメッセージの書かれた美しいカードとともに届きました。理香さんといえば、1995年のショパン国際コンクールで第5位に輝かれた名ピアニスト。2001年から2010年まで10年にわたるコンサートシリ…
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 本日15時より、すみだトリフォニーホールで開催された群馬交響楽団 第583回定期演奏会 東京公演を拝聴してまいりました。同団は2019年に落成なった高崎芸術劇場を拠点として、この響きの良いホールで定期演奏会を開いていますが、年に一度は同じプログラムを東京へもって…
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 本夕、サントリーホールでジョナサン・ノット指揮東京交響楽団 第706回定期演奏会を聴いてまいりました。前半は胸に迫る痛切な2曲、シューマンの劇音楽『マンフレッド』序曲とヴァイオリン協奏曲という取り合わせです。なぜ、この2曲の取り合わせが胸に迫るのかと申します…
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 昨11月24日の晩、東京オペラシティコンサートホールで開催された内田光子さんとイギリスのテノール、マーク・パドモアさんのリート・コンサートは、前半がベートーヴェンの『希望に寄せて』(第2作)op.94、『あきらめ』WoO.149、『星空の下の夕べの歌』WoO.150、それに6曲か…
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 勤労感謝の日の昨日、日生劇場で東京二期会、オッフェンバックのオペレッタ『天国と地獄』初日を拝見してまいりました。管弦楽は原田慶太楼指揮、東京フィルハーモニー交響楽団、演出は鵜山仁さん。ダブル・キャストで、わたくしの拝見した初日&26日組は、プルート=渡邉公…
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 拙著への温かなご感想をお寄せ下さりブログにもご紹介いただいたことをご縁に、時たまメール交換させていただいている、音楽に造詣のお深いドイツ文学者、早坂七緒先生から、「細幅鍵盤ピアノで『キーウの英雄門』を演奏してみました」というお知らせをいただきました。 …
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 「音楽家、作曲家、ピアニストとして、最近までバッハのゴルドベルク変奏曲は私のコンサートレパートリーやディスコグラフィーの中で、叶わぬ野望として長い間待ち望まれていたものです」と語るファジル・サイさんが、今年の2月から3月についにこの曲のレコーディングを果…
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 本夕、浜離宮朝日ホールで、佐藤俊介さん(ヴォイオリン)、鈴木秀美さん(チェロ)、佐藤俊介夫人のスーアン・チャイさん(フォルテピアノ)によるブラームスの室内楽公演を拝聴いたしました。弦楽器のお二人はガット弦を用いておられます。  佐藤俊介さんはモダン・ヴァイオ…
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 11月17日のスエズ運河開通記念日に、小学一年生か二年生の頃に父に買ってもらって読んだ『世界れきしの光 三年生』偕成社 のレセップスの章を思い出し、その本を旧居から探し出してきた話を書かせていただきましたが、今日はその続きでございます。 本を手に取り、目次…
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 本夕、サントリーホールでランランさんの『ゴルドベルク変奏曲』を拝聴してまいりました。19時開演、最初にシューマンの『アラベスク』があってから『ゴルドベルク変奏曲』が演奏されました。その間の休憩はなく、一気に約110分に近い長大な一幕公演で、さらに続けて、アン…
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 本日(11月18日)、19:00よりミューザ川崎シンフォニーホールにおきまして、同ホールの主催公演、東京交響楽団のリヒャルト・シュトラウス『サロメ』演奏会形式上演を拝聴させていただきました。近年はこの、演奏会形式上演オペラ、あるいは楽劇の名ステージに接することが…
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「地中海から紅海へ、とおりぬけることができたら、いままでよりずっとはやくアジアへいけるんだがなあ。なんとかして、二つの海をつなぎたいものだ」 こうかんがえて、スエズにうんがをつくろうとした人は、むかしからたくさんいました。とおいむかしのエジプトの王さまた…
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 小平楽友サークル(since2009)は、1年間に各10回の2つのシリーズ講座を継続しておりますが、現在は、第26シリーズ「名指揮者たちへの旅」が進行中です。今のシリーズでは、フルトヴェングラー、ミュンシュ、(番外編として深沢亮子先生、中村静香先生のライヴ・コンサート)…
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 11月14日の晩はサントリーホール、アンドリス・ネルソンス指揮ボストン交響楽団公演の第2夜で、前半のベートーヴェン、ピアノ協奏曲第5番『皇帝』のソリストとして内田光子さんが登場されました。内田さんは少しくすんだブルーのインナーに同系色のオーガンジーの薄物を羽…
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 昨11月13日早めの夕刻、珍しい16:00開演でアンドリス・ネルソンス指揮 ボストン交響楽団 サントリーホール公演の初日がございました。演奏曲目は、9日に横浜みなとみらいホールで聴かせていただいたのと同じく、マーラーの交響曲第6番でした。ホールが異なったことと、前…
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 11月8日~12日まで『サントリーホール スペシャルステージ 五嶋みどりデビュー40周年~ベートーヴェンとアイザック・スターンの捧ぐ~』が開催され、その最終日の協奏曲公演を昨晩聴かせていただいてまいりました。指揮者はみどりさんがアメリカからお連れになった、ライ…
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 本日午後、瀬﨑明日香さんが王子ホールでヴァイオリン・リサイタルを開催なさいました。と一言で言ってしまえば、通常のヴアイオリン・リサイタルのようにお思いになられるかも知れませんが、実は、共演のピアニスト、マルコ・グリサンティさんは、明日香さんが15歳だった…
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 昨晩、オペラシティコンサートホールで開催された東京シティフィルハーモニック管弦楽団第356回定期演奏会では、今年が生誕150年にあたるレイフ・ヴォーン・ウィリアムズと、生誕160年にあたるクロード・ドビュッシーにちなんだプログラムがそれぞれ前半と後半に演奏されま…
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