萩谷由喜子のブログ

音楽評論家・萩谷由喜子が音楽話題や日々の所感を綴っています。

2022年07月

 昨日に続いて、霧島国際音楽祭、現地からのレポートでございます。  本日は二つの公演を拝聴いたしました。  一つ目は、13:00開演のライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団コンサートマスター、フランク=ミヒャエル・エルベンさんが企画された『エルベン・プロデュー…
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 鹿児島県の霧島温泉郷で毎夏に開催されている霧島国際音楽祭は、草津と並んで、日本でもっとも歴史の古い音楽祭です。今年はその第43回が7月21日に開幕し、8月7日まで多彩な公演とマスタークラスが開かれます。ということで、本日9:05のANA便で鹿児島へ飛び、空港から車で3…
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 昨日はバッハ忌であることをお知らせいたしましたが、本日はロベルト忌にあたりまして、年こそ、106年を隔ててはおりますが、ドイツを代表する偉大なお二人が相次いでお旅立ちとは、不思議なえにしを感じるのでございます。 ロベルトさまの最後に近い作品のひとつに、1854…
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 今、7月28日午後7時15分になろうとするところでございます。272年前のこの時間に、ヨハン・セバスティアン・バッハは脳卒中により神に召されました。享年65。 あの偉大な音楽家が晩年は白内障に視力を奪われ、多くもない貯えを洗いざらいはたいて当時評判のジョン・テイラ…
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 本日7月27日19:00より、東京オペラシティリサイタルホールで開催された「豊田里夫チェロリサイタル2022」を拝聴してまいりました。ベルリン育ちの豊田里夫さんは、ヴァイオリンの豊田耕児先生のご次男で、お兄様はヴァイオリンの豊田弓乃さん、母上はピアニストの豊田元子…
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 7月26日の夕刻、読売日本交響楽団の第653回名曲シリーズを聴かせていただくためにサントリーホールに参りましたところ、プログラム2曲目のロドーゴ『アランフェス協奏曲』のソリストが、村治佳織さんから、弟さんの村治奏一さんに変更されていました。 村治ご姉弟はいずれ…
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1788年の夏、借金地獄にあえぐモーツァルトは家賃支出節減のためウィーンの市外へ引っ越しました。アルザーグルント、ヴェリンガーガッセ135番地の家です。不便な田舎ですが、広い庭が彼の気分を一新してくれました。「よし、新曲を書くぞ」さっそく五線紙に向かった彼は、わ…
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 昨年の今日、7月24日も、本日が芥川龍之介先生の忌日=河童忌である旨を書かせていただきましたが、お伝えしきれなかったことがあり、本日再び、この話題を綴らせていただきます。 昭和に入って7カ月後の今日、1927年の7月24日、芥川龍之介先生は35歳と5カ月を一期に、みず…
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 フェリックス・メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲といえば、泣く子も黙るあのホ短調の名曲でございますが、それとは別に、メンデルスゾーンにはもう1曲、少年時代に書いたニ短調のヴァイオリン協奏曲があることは、比較的知られているかもしれません。13歳の1822年に書…
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 2002年、66歳のときに脳溢血に見舞われ、右半身不随となられた舘野泉先生は、当初はいろいろな葛藤がおありだった、とうかがいましたが、やがてその運命を受容され、左手のみのピアノ演奏によって多くの聴き手に静かな感動を届け続けておられます。先生が先頃リリースされ…
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 本夕、7月21日19:00より、東京オペラシティコンサートホールで開催された「松田華音×牛田智大 2台ピアノコンサート』を拝聴してまいりました。2002年秋に、6歳でモスクワに渡って、ピアノはもとより一般学科、ロシア語の総合教育を受けて多くの国際コンクールに上位入賞…
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 今年3月~毎月2回、開催してきた小平楽友サークル講座のドビュッシー・シリーズが本日で終わりました。ドビュッシーのオーケストラ曲、ピアノ曲、室内楽曲、そしてもちろん唯一のオペラ『ペレアスとメリザンド』から周辺作曲家の作品までしっかりと聴いてまいりましたので…
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 今朝6時18分頃、ベッドの中でNHKラジオに耳を傾けておりますと、お気に入りの『今日は何の日』コーナーの一つとして「7月19日、1960年の今日、日本で最初の女性閣僚として、中山マサ衆議院議員が第一次池田内閣の厚生大臣に任命されました」というトピックが報じられました…
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 本日、めずらしいオペラを拝見してまいりました。新国立劇場オペラ研修所の第23~25期の皆様に賛助出演数名を得てのキャストで、メノッティのオペラ『領事』が昨日と本日の2公演、ダブル・キャストで試演されたのでございます。  1950年初演のこのオペラは、実話に基づい…
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 オルガニスト、チェンバリスト、そして指揮者として八面六臂の活躍ぶりをみせる鈴木優人さんが、首席指揮者を務めるバッハ・コレギウム・ジャパンの第150回定期演奏会を振って、ハイドンのオラトリオ『天地創造』を聴かせてくださいました。昨日7月16日、15:00から東京オペ…
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 昨日7月15日、2日前の13日にドビュッシー『ペレアスとメリザンド』を鑑賞させていただいたばかりの新国立劇場オペラパレスにまた出掛け、今度は、高校生のためのオペラ鑑賞教室2022 、プッチーニ『蝶々夫人』を拝見いたしました。「高校生のための」と冠されてはいても、一…
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 昨日7月14日は、東京二期会『パルジファル』を東京文化会館大ホールで拝見してまいりました。フランスのラン歌劇場との共同制作プロダクションで、東京二期会としては同作の日本初演である内垣啓一演出プロダクション、2012年のクラウス・グート演出に続く、3度目となる新…
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 昨日、『ペレアスとメリザンド』を実際に拝見してまいりました。結論から申しますと、全く想像もつかなかったほど、素晴らしいプロダクションでした。読み替えということで、いくらか身構えながら拝見したのですが、時代と場面の現代への置き換えはいささかも気にならず、…
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 本日はこれから新国立劇場のシーズン最後を飾る新制作、ドビュッシー『ペレアスとメリザンド』に出掛けます。大野和士オペラ音楽監督の気合の入った公演だということで楽しみにいたしております。ケイティ・ミッチェルの演出は、このオペラを「メリザンドの幻想、もしくは…
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 ヨハネス・ブラームスにも、唯一作ですが、恩師ロベルト・シューマンばりの連作歌曲がございます。1861年構想、着手し、途中『ドイツ・レクイエム』を挟んで68年にようやくにして書きあげた『ティークのマゲローネによるロマンス』がそれでございます。ちょっとややこしい…
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