萩谷由喜子のブログ

音楽評論家・萩谷由喜子が音楽話題や日々の所感を綴っています。

2022年05月

 昨年の本日にもこの話題を取り上げましたが、5月31日はヨーゼフ・ハイドン大先生のご命日です。1809年5月、ナポレオン軍のウィーン侵攻のさなか、ハイドン大先生はご病床にありましたが、砲弾の音に立ち向かうかのようにクラヴィーアに向かい、自作『神よ、皇帝フランツを…
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 アリス=紗良・オットさんがコロナ禍に遭遇なさった中で悩まれた末に手探りで到達なさったのは、オットさんがもっとも心を惹かれる現代作品を、ショパンの『前奏曲集』作品28の随所に織り込み、それに映像をコラボレーションさせた「ECHOES OF LIFE」と名づけたリサイタル・…
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 本日午後、サントリーホールで開催された、仲道郁代さんのピアノ・リサイタルを拝聴してまいりました。仲道さんは、ベートーヴェン、ショパン、リスト、ムソルグスキーの4人の作曲家をおとりあげになられ、彼らが人の生と死にどのように向き合われたか、仲道さんなりの受け…
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 本日午後、東京文化会館小ホールで、わたくしの尊敬するピアニストのお一人、深沢亮子先生のピアノ・リサイタルを拝聴してまいりました。長年にわたって、いつも溌溂として気品にあふれるピアノを聴かせてくださる先生が、本日弾いてくださったのは以下のプログラムでござ…
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 今から117年前の明治38年5月27日午前2時45分、五島列島中通島西方約50マイル付近を警戒していた日本海軍の哨戒艦『信濃丸』は、南東方向の洋上に不審な燈火を発見します。艦長の成川揆(はかる)大佐は静かに接近して確認に努めるうち、備砲がないことなどから、どうやら病…
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 日本人歌手として初めてプッチーニのオペラ『蝶々夫人』主役を歌って大成功を収め、作曲家本人からも「理想の蝶々さん」と絶賛されたソプラノ、三浦環さん(1884~1946)は、終戦の翌年、昭和21年の本日、入院中の帝大病院で腹部のがんのため、62歳の生涯を閉じられました。…
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 アンジェラ・ヒューイットさんによるバッハの鍵盤楽器作品全曲演奏会シリーズ『バッハ・オデッセイ』東京公演が、今宵の第12回『フーガの技法』&コラール『われ汝の御座の前に進みいで』をもって完結いたしました。2016年秋に発表されたこのシリーズは、ロンドン、ニューヨ…
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 ベルギーの生んだ大ヴァイオリニスト、ウジェーヌ・イザイ(1856~1931)の功績を記念して、彼のヴァイオリのお弟子さんであられた同国のエリザベート王妃が1937年に創設した「イザイ・コンクール」は戦前に二度開かれて一旦中断されたのち、戦後の1951年から「エリザベート…
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 本夕はこれから、紀尾井ホールに出掛けまして、アンジェラ・ヒューイットさんの「バッハ・オデッセイ」第11回を拝聴させていただきます。ヒューイットさんと言えば、数少ないカナダのピアニストで、バッハを十八番とされていることと、現代イタリアの名器Fazioliのピアノを…
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 昨日、初台の新国立劇場で鈴木優人マエストロ指揮、東京フィルのピットで、グルックのオペラ『オルフェオとエウリディーチェ』を拝見したばかりですが、本日午後はお隣のオペラシティ・コンサートホールで、バッハ・コレギウム・ジャパンのに「初夏のカンタータ~昇天祭オ…
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 本日は、新国立東京劇場で上演されたグルックのオペラ『オルフェオとエウリディーチェ』を拝見したあと、サントリーホールへ移動し、東京交響楽団の定期公演を拝聴いたしました。前者は、鈴木優人マエストロが東京フィルを振っての公演で、後者は、東京交響楽団のシェフ、…
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  1896年5月20日午後4時21分にクララ・シューマンが76歳と8カ月のご生涯を閉じられてから今日で126年が経ちました。19世紀に生まれ、20世紀の扉すら開くことなく19世紀のうちに生を終えたクララは、現代のわたくしたちからは想像もつかない、女性としての困難を経験しなけれ…
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 昨5月18日の夜は、サントリーホールで、チョン・ミュンフン指揮、東京フィルハーモニー交響楽団の定期シリーズを拝聴いたしました。フォーレの組曲『ペレアストメリザンド』、ラヴェル『ダフニスとクロエ』第2組曲、ドビュッシー『海』、ラヴェル『ラ・ヴァルス』というオ…
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 昨日5月17日の晩、Hakuiu Hallで開催された、澤クワルテットのベートーヴェン中期&後期全4回シリーズ最終回を拝聴させていただきました。コロナ禍とメンバーのお怪我のために2度の延期を経ての実現とのことで、リーダーの澤和樹先生はじめ、第2ヴァイオリンの大関博明さん…
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 5月16日の晩、東京オペラシティコンサートホールで、別府アルゲリッチ音楽祭の東京公演「オーケストラ・コンサート」が開かれました。アルゲリッチさんはシューマンのピアノ協奏曲をチョン・ミン指揮の東京音楽大学オーケストラ・アカデミーと協演されたのち、チェロのマイ…
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 昨日の最終日コンサートは、昨年亡くなられた尾高惇忠先生の「音の旅」抜粋から始まりました。ピアノ連弾曲からのご自身によるオーケストラ版です。オーケストラの各楽器の巧みな組み合わせにより、やさしいメルヘンティックな世界がゆたかな表情を帯びて次々と現出するの…
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 本日は宮崎国際音楽祭2022の最終日です。宮崎県立劇場のメインホールである「ISAAC STERRN HALL」を会場として、広上淳一マエストロが宮崎国際音楽祭管弦楽団を指揮するオーケストラ・プログラムを繰り広げます。 この写真は昨日、このホールでばったりお会いした、ピア…
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 昨日から取材にきております宮崎国際音楽祭2022、昨日は大雨でしたが、本日は雨が上がり、ホールエントランスのデッキで、南国の花々とともに写真を撮らせていただくことができました。 そしてまず、付随するアカデミーの優秀生たちによる「新星たちのコンサート」を聴か…
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 宮崎国際音楽祭の取材に伺っております。本夕は、若手実力派ヴァイオリニスト・三浦文彰さんが超ベテランの巨匠、お三方と組んだ室内楽コンサートを拝聴いたしました。巨匠お三方とは、ヴァイオリンのライナー・キュッヒルさん、チェロのミッシャ・マイスキーさん、そして…
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 東京音楽大学学長でピアニストの野島稔先生が5月9日、肺がんのため、ご逝去されました。今月23日の77歳のお誕生日を目前にした満76歳でいらっしゃいました。井口愛子先生の秘蔵っ子と言われた少年時代を経て、桐朋学園卒業後モスクワ音楽院に留学されてレフ・オボーリンに…
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