萩谷由喜子のブログ

音楽評論家・萩谷由喜子が音楽話題や日々の所感を綴っています。

2021年11月

 2009年スタート、創設12年になる小平楽友サークルの講座では昨年の生誕250年記念年以来、ずっとベートーヴェンを採り上げてまいりましたが、明日からいよいよ、後期弦楽四重奏曲の深遠なる森に分け入ります。後期の6作は聴き込めば聴きこむほど、調べれば調べるほどに奥が…
>>続きを読む

 久々にシャルル・デュトワ・マエストロを拝聴できると、指折り数えて楽しみに待っておりました新日本フィルハーモニー交響楽団の第638回定期演奏会は、デュトワさんに新型コロナウイルス陽性が確認されましたため来日不能となり、代わって、井上道義マエストロが出演されて…
>>続きを読む

 今から210年前、1811年の本日11月28日に、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番『皇帝』が公開初演されました。この一大傑作は、今日で210年の演奏歴に輝くことになります。  1808年までに4曲のピアノ協奏曲を作曲し、みずから初演していったベートーヴェンではありました…
>>続きを読む

 1948年、チューリヒ生まれのマリオ・ヴェンツァーゴ・マエストロは近年、5つのオーケストラを振り分けたブルックナー交響曲全集で「示唆に富んだ、斬新なブルックナー」との高い評価を得ている指揮者です。1988年にN響に客演なさったきり、わが国の土を踏んでおられなかっ…
>>続きを読む

 本日、日生劇場で、東京二期会オペラ劇場、ベルリン・コーミッシュ・オペラとの提携公演『こうもり』を拝見してまいりました。アンドレアス・ホモキ演出のこのプロダクションは、2017年に拝見したことのあるもので、ベルリンのコーミッシュ・オペラ制作のダイナミックな舞…
>>続きを読む

 本日、オペラシティのマチネ公演で、モーツァルトのイ長調、ブラームスのロ短調という、古今のクラリネット五重奏曲の双璧を聴かせていただいてまいりました。クラリネットは、世界最高峰奏者といってよい、1965年アルザス生まれのポール・メイエさん。弦楽四重奏は桐朋学…
>>続きを読む

 本日、大手町の日経ホールで『ジェラール・プーレ ヴァイオリン・リサイタル』を拝聴してまいりました。昼夜2公演ある、1回目の14:00開演のマチネのほうを聴かせていただきました。プーレ先生は1938年生まれのフランスのヴァイオリニスト。 2005年にパリ国立高等音楽院の…
>>続きを読む

 本日11月23日は、わが国の祝日「勤労感謝の日」です。いつの頃からか、祝日の在り方が変わってきて、旅行業界様支援のためか、週末から月曜日を連休とする祝日設定が多くなりましたが、「勤労感謝の日」は、今も独立したポジションを保っていて、それは大変結構なことと存…
>>続きを読む

 本夕は、東京文化会館小ホールに出掛け、佐藤久成さんのヴァイオリン・リサイタル『ザ・レジェンド』を拝聴してまいります。佐藤さんのリサイタルを最初に拝聴したのは、やはりこのホールでのことだったと思いますが、もう10数年前でしたでしょうか。魔性のものが乗り移っ…
>>続きを読む

 スターリン独裁政権時代の1936年1月、ドミトリー・ショスタコーヴィチ(1906-1975)はソヴィエト共産党の機関紙《プラウダ》紙上で、オペラ《ムツェンスク郡のマクベス夫人》及び、バレエ音楽《明るい小川》がブルジョア趣味と欺瞞に満ちた堕落作品であるとして厳しく糾弾さ…
>>続きを読む

  2006年スタートの12年間24回リサイタル・シリーズを2018年に完結させた小山実稚恵さんが、今度はベートーヴェンにフォーカスした「ベートーヴェン、そして…」シリーズを開始されたのは2019年6月でした。途中、コロナ禍の影響で延期を余儀なくされながらも、辛抱強く危機…
>>続きを読む

 昨日11月18日、新国立劇場の新制作『ニュルンベルクのマイスタージンガー』16:00開演~22:05終演+カーテンコール、延々6時間20分ほどの長時間公演を拝見してまいりました。演出はイェンス=ダニエル・ヘルツォーク。指揮は大野和士、オーケストラは新国立には珍しい、東京都…
>>続きを読む

 昨晩、3年ぶりにキーシンを拝聴いたしました。にこにこしながら登場、バッハの『トッカータとフーガニ短調」タウジヒ編はばりばりのヴィルトゥオーゾ・ピースに変貌していますが、それをダイナミックにお弾きになり、そのままモーツァルト『アダージョ ロ短調」を、姿勢も…
>>続きを読む

 神童キーシンが先月10日に50歳のお誕生日を迎えました。現在、50th Anniversaryの来日ツアーを展開中で、本夕はその最終日。これからサントリーホールへ出掛けて拝聴してまいります。 今年は初来日から35年の節目にも当たることと、彼を小さい時から育てていらしたただ一…
>>続きを読む

 ロジーナ・ストルキオ。のお名前をおききになって、あっ、プッチーニの『蝶々夫人』の初演ソプラノだ、とすぐにお分かりになられる方は、かなりのオペラ好きでいらっしゃるかもしれません。そして、1904年2月17日のミラノ・スカラ座初演が惨敗を喫し、涙に暮れるストルキオ…
>>続きを読む

 中央区民カレッジのシリーズ講座『音楽家カップル』が本日の第3回を持って、無事終了いたしました。このシリーズは区民企画講座というもので、区民ボランティアのプランナーの方の発案とお膳立てによって形になり、当日の運営裏方は中央区のスタッフの方たちが担ってくださ…
>>続きを読む

 本日、音楽の友ホールで、驚異的なピアノリサイタルを拝聴いたしました。ピアニストは1977年、山口県生まれの下村泰斗さん。まず、リサイタルのサブタイトル「音玉(おんぎょく)」とは? と思っておりましたら、配布プログラムに小さな猫の写真とともに、泣けるエッセイがご…
>>続きを読む

 本日、日生劇場で開催された、ベッリーニのオペラ『カプレーティとモンテッキ』を拝見してまいりました。タイトルからご想像された方もおありかと存じますが、これは16世紀以来多くの人々の声涙を絞ってまいりましたシェイクスピアの戯曲『ロメーオとジュリエット』を踏ま…
>>続きを読む

 以前に収録したことを書きました、東京FMラジオの番組ですが、放送日が近づいてまいりましたのでご案内させていただきます。近著『ウィーンに六段の調』がテーマで、スタジオにお筝を持参して「宮さん宮さん」と「六段調」を弾かせていただいております。 トランス・ワー…
>>続きを読む

 本夕、サントリーホールでウィーン・フィルを聴いてまいりました。コロナ禍が始まった昨春以来、ほぼありとあらゆる外来公演がキャンセルとなる中、ご関係各位の多大なご努力により、唯一、外来オーケストラ公演として同フィルの演奏会が実現したのは昨年11月のことでした…
>>続きを読む