萩谷由喜子のブログ

音楽評論家・萩谷由喜子が音楽話題や日々の所感を綴っています。

2021年07月

 昨7月30日の晩は19:15開演という新日トリフォニー・タイムの始まる、トパーズ・シリーズの演奏会を拝聴いたしました。式は今上昇気流に乗りに乗っている、三ツ橋敬子マエストロ。2010年、第9回アルトゥーロ・トスカニーニ国際指揮者コンクールで女性としての初の準優勝を遂…
>>続きを読む

 かねて、読みたいと申しますか、読まねばならぬと思っていた、久米邦武『米欧回覧実記』全5巻をついに購入いたし、昨日届きました。明治4(1871年)11月10日に横浜港を旅立ち、アメリカとヨーロッパ視察旅行に出かけた、岩倉使節団の随行者のお一人、久米邦武さまが綿密に書…
>>続きを読む

 太平洋戦争開戦の年、昭和16年に作曲された、伊福部昭の大作を昨晩聴いてまいりました。『ピアノと管弦楽のための協奏風交響曲』は翌昭和17年3月に松隈陽子のピアノ、マンフレッド・グルリット指揮の東京交響楽団(現在の東京フィル)によって初演されたあと、スコアもパート…
>>続きを読む

 今朝、小山実稚恵さんから、拙近刊『ウィーンに六段の調~戸田極子とブラームス』に対する、お心のこもった温かなご感想メールを頂戴し、嬉しくありがたく思うと同時に、今夜、演奏会がおありなのに、寸暇を割いてメールしてくださった、お心根のやさしさ感涙にむせびまし…
>>続きを読む

 『モストリークラシック』の9号(7月19日発売号)に『ウィーンに六段の調~戸田極子とブラームス』の書評が掲載されておりました。同誌には、毎号執筆させていただき、この号にも4ページにわたる小論『ドヴォルザークの宗教観と家族愛 スターバト・マーテル、レクイエム』…
>>続きを読む

 7月22日から、ミューザ川崎シンフォニーホール恒例の「フェスタサマーミューザ」が始まっております。わたくしは最初の4日間は都合がつかず、本日26日の「東京都交響楽団」公演から聴かせていただくことができました。 昨今、めざましい活躍ぶりをみせている1986年シンガ…
>>続きを読む

 本日13:00~15:00近くまで、米欧亜回覧の会 i-Caféにズーム出演させていただき、『ブラームスに箏を聴かせた、岩倉具視の娘戸田極子』のお話をして、参加者の皆さま方と有意義な意見交換を多々させていただき、わくわくする時間を過ごさせていただきました。米欧亜回覧の…
>>続きを読む

 昭和2(1927)年7月24日は、まだ梅雨のさなかでした。短編小説の不世出の名手、芥川龍之介が東京田端の自宅で、多量の睡眠薬を飲んで自ら命を絶ったのは、雨の降りしきるこの日でした。晩年作の一つ「河童」に因み、この日は「河童忌」と呼ばれています。お墓は染井墓地北に…
>>続きを読む

  日本で最初にオペラが完全上演されたのは、明治36年7月23日のことでした。出し物はグルック作曲の『オルフォイス』、会場は東京音楽学校の奏楽堂、主催者は音楽学校ではなく、同校と帝国大学の有志からなる「歌劇研究会」でした。 なにしろ、オペラ上演は莫大なお金がか…
>>続きを読む

 今朝、「ニュースでも」と思いNHKラジオをつけますと、めずらしく落語が流れてまいりました。落語に明るくないわたくしの耳にも、名人のお噺であることがすぐわかりましたので、続けて聴かせていただくことにいたしました。長屋の人情噺らしく、おつむのめぐりはよくないけ…
>>続きを読む

 本日、小平楽友サークル講座で「モーツァルトのレクイエム、ミステリアスな依頼から230年の謎解き」を開講させていただきました。メンバーの他、美人フルーティストのSAYAKAさまの飛び入り参加もあり、皆でしっかり、アーノンクール指揮ウィーンコンツェルトゥスムジクス19…
>>続きを読む

 ナミ・レコードのライヴノーツ・レーベルから、一連の日本歌曲CD製作に地道な足跡を刻んでこられた、アルトの小川明子さんとご夫君のピアニスト・指揮者、山田啓明さんが『海ゆかば~信時潔歌曲集』2枚組CDリリースされました。ご夫妻は、かつて『荒城の月~国楽を離陸させ…
>>続きを読む

現在、小平楽友サークルでは「ベートーヴェン・シリーズ」を継続中ですが、明後日7月21日の講座では、ベートーヴェンがウィーンへ出る前年に未完の『レクイエム』を残して亡くなったモーツァルトを偲びます。モーツァルトが謎の男から『レクイエム』作曲依頼を受けたのが亡く…
>>続きを読む

 昨年からの延期組も含め、今年はほとんど未曽有と言ってよいほど数多くの国際音楽コンクールが開かれています。10月に予定されているショパン・コンクールの予備予選が現在ワルシャワで進行中である事は、おとといのブログに綴りましたが、7月13日に予備予選に出場したばか…
>>続きを読む

 7月17日、東京文化会館にて、東京二期会公演『ファルスタッフ』を拝見しました。ロラン・ベリーの演出・衣裳がたいへんスタイリッシュで、舞台装置も垢ぬけています。黒田博さんのタイトルロール、小森輝彦さんのフォード、山本耕平さんのフェントン、澤崎行正さんのカイウ…
>>続きを読む

2020年10月に開催されるはずだった第18回ショパン国際ピアノ・コンクールは1年延期され、今年の10月に開催予定となっています。10月の本大会に出場できるのはおよそ80名。その選考のための予備予選も延期続きでしたが、ついに実現して、7月12日からワルシャワで始まっていま…
>>続きを読む

 「今年(2019年)もエリックから「ケイコ―! ボンヌ・アンネ」と元気な声がパリから届きました。お正月の挨拶です」と始まる、遠山慶子先生の巻頭言を掲載して、エリック・ハイドシェックの、バッハ、フランス組曲第2集がOFFICE AMSの「SAKURA」レーベルからリリースされま…
>>続きを読む

 昨日予告させていただきましたように、本日は中央区民カレッジの講座にわが国が誇る名ヴァイオリニスト、瀬﨑明日香さんをお迎えいたしました。テーマは、バッハとイザイの無伴奏ヴァイオリン楽曲です。そもそも、無伴奏ヴァイオリンのための楽曲とはどういうジャンルなの…
>>続きを読む

  明日は、中央区民カレッジのカレッジ・デビュー・コースの第2回です。年に一度くらいは、ゲスト演奏家をお迎えしてライヴ・コンサートを開きたいと思い、仲良しのヴァイオリニスト、瀬﨑明日香さんに出演を打診させていただきましたところ気持ちよくお引き受けくださいま…
>>続きを読む

 昨日、アウシュヴィッツの女子オーケストラのリーダーとしてレベル向上に貢献した、グスタフ・マーラーの姪アルマ・ロゼの話を書きました。この「アルマ」というお名前は、伯父マーラーの美貌の妻、アルマにあやかって名づけられたものでした。伯父マーラーももちろんユダ…
>>続きを読む