萩谷由喜子のブログ

音楽評論家・萩谷由喜子が音楽話題や日々の所感を綴っています。

2021年03月

 モーツァルトに『6つの前奏曲とフーガ』K.404aという弦楽三重奏曲6曲セットがあることは、あまり知られていないかも知れません。  1781年5月からウィーンでフリーランスの音楽家生活を開始したモーツァルトは、ゴットフリート・ヴァン・スヴィーテン男爵(1734~1803)とい…
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 蝶の羽のように軽やかにして、芳醇なヴィンテージ・ワインの香りも漂ってくるかのような、洒脱の極みのピアノをお弾きになられた、遠山慶子先生が昨日、2021年3月29日に幽明境を異にされました。87年のご生涯でした。 わたくしが2005年に上梓した4冊目の著書『音楽史を彩…
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 昨年12月1日に『セロ弾きゴーシュの音楽会』をいたしましたとき、ゴーシュとしてチェロを弾いてくださった大切な恩師、竹林良先生からピアノ伴奏のご褒美として愛らしいブーケをいただき、長く大切に水替えしてきたのですが遂にお花たちはしおれ、最後にグリーンが一本残り…
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 行く手にコロナ禍が待ち受けていようとは夢にも知らぬ2019年春に、拙著「『蝶々夫人』と日露戦争」関連コンサートをさせていただきましてから、もう2年。同じ文京シビック小ホールで、本日、「文京区ゆかりの作曲家・詩人たち」コンサートが開催されました。佐々木信綱、吉…
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 本日はトッパンホールで辻本玲さんのチェロ・リサイタルを拝聴してまいりました。昨日がベートーヴェンのご命日でしたのを受けるかのように、幕開けが『魔笛の主題による12の変奏曲』だったのはとても嬉しいことでした。続くグリーグのソナタは、この作曲家特有の濃厚な民…
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 194年前、1827年の本日午後5時45分、ベートーヴェンは56歳と3カ月の生涯を閉じました。最後のピアノ・ソナタの完成が1822年、最後の交響曲『第九』初演、並びに最大傑作とも目される『ミサ・ソレムニス』のウィーン初演が1824年5月。このときから、彼の1,000日砂時計が落ち…
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 子どもの頃、学級文庫にあった『ひろすけ童話集』に親しんで育ちました。『泣いた赤鬼』『むくどりの夢』など、今もその一節が頭に残っております。「ひろすけ」というのは人のお名前らしいけれど、どんな方だったのかしら、と漠然と思ううちにいつしか大人になり、「ひろ…
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 3月23日、イリーナ・メジューエワさんご夫妻がお忙しいスケジュールの合間を縫って、いらしてくださいました。ベートーヴェンの32曲のピアノ・ソナタについていろいろお話をうかがった中で、最も印象的だったのは、20歳の頃にはまだ32曲全部を弾いていらっしゃらなくて、そ…
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 『モストリークラシック』3月19日発売号(2021May号)は「ロマン派の師弟・ブラームスとシューマン」特集号です。 この稀有な音楽家二人の生き方、作品から周辺事情、時代背景を詳しく掘り下げた、ロマン派ファン必読、保存版の雑誌になっておりまして、かくいうわたくしも…
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 本夕は 読響ソロ・コントラバス石川滋さんがプロデュースなさり、同響の弦・管の名手たちが顔を揃えた、滅多に聴けないアンサンブルを拝聴してまいりました。出演者と曲目は下記の通りです。   《石川滋プロデュースの室内楽》 【出演】 コントラバス、プロデュース…
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 春の雨嵐のもなんのその、本日のサントリーホールのマチネ公演「日本フィル第390回名曲コンサート」は傘立てがまるで足りないほど多くの来聴者で賑わいました。コンサートの指揮者は日フィル桂冠名誉指揮者の小林研一郎マエストロ。ベートーヴェンのピアノ協奏曲5番『皇帝…
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 3月20日、15:00より上野学園石橋メモリアルホールで開催された「荘村清志ギター&藤木大地カウンターテナー」公演を聴いてまいりました。 絶品のギターと底知れぬ深みを持つカウンターテナーの協演が今も耳を離れません。  カウンターテナーの藤木大地さんの歌声を初めて…
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 「ドイツ最大の作曲家」と申し上げたらヨハン・セバスティアン・バッハを思い浮かべられるでしょうか。J.S.バッハ大先生も3月のお生まれですが、お誕生日は19日ではなく31日です。1873年の本日3月19日に生まれたこのマックス・レーガー先生こそ、2メートルの身長と100キロ…
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 昨日の続きです。デビュ―当時のショパンが、この人を凌駕した、と評された作曲家・ピアニストというのは当時の人気音楽家フンメルでしたけれど、このフンメルの妻こそ、ベートーヴェンからピアノ小品『エリーゼのために』を贈られたエリーゼさんその人だったことが2009年…
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 1830年の本日3月17日は、20歳のショパンがワルシャワの国民劇場で公式デビューを飾った日です。この日彼は完成したばかりの『ピアノ協奏曲ヘ短調』と2年前に書いた『ポーランド民謡による幻想曲』他を弾きましたが、ヘ短調協奏曲には初恋の人コンスタンツィア・グワドコフス…
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 1997年から日本を本拠に国際的活躍を続けるロシア生まれの卓越したピアニスト、イリーナ・メジューエワさんから、最新アルバム『モーツァルト作品集』が届きました。イリーナさんはモスクワのグネーシン特別音楽学校と同音楽大学で極めて高度なピアノ教育を受け、1992年のE…
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 3月15日19:00より紀尾井ホールで開催された、鈴木雅明さん、鈴木優人さん父子による2台チェンバロリサイタルを聴いてまいりました。 お父さまの雅明さんは1990年にバッハ・コレギウム・ジャパンを創設されて以来、バッハ演奏の最前線で国際的な活躍を続けてこられたバッハ…
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 本日は東京芸術劇場に出掛け、読売日本交響楽団第235回日曜マチネシリーズを拝聴してまいりました。指揮は山田和樹マエストロ。今月は4日の第606回定期演奏会、9日の第640回名曲シリーズ、そして本日とすべて山田マエストロの指揮で読響を3公演聴かせていただき、それぞれ…
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 弦楽器音楽を愛奏、愛聴なさるすべての方々のための月刊誌『サラサーテ』2021年4月号に、「ウジェーヌ・イザイの生涯』、『イザイの作品表』を執筆いたしました。 日本語で読める、イザイの最も詳細な伝記、及び、作品表ではないかと自負しております。力の及ぶ限り調べ、…
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萩谷由喜子の著書・執筆活動★萩谷由喜子の著書17冊 + 楽譜の解説書3冊=20冊   該当の著書の画像又は書名をクリックしてくださいませ。 ■『クララ・シューマン』はクララの生誕200年の2019年出版。  2002年に上梓した最初の単著単行本『五線譜の薔薇』は12人の女性…
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