萩谷由喜子のブログ

音楽評論家・萩谷由喜子が音楽話題や日々の所感を綴っています。

2021年02月

 ベートーヴェン唯一のヴァイオリン協奏曲がボン時代からの親友シュテファン・フォン・ブロイニングに献呈されていることは、この曲の解説に必ず言及されていますのでご存知の方も多いことでしょう。でも、シュテファンへの好意は実はそれだけではありませんでした。ベート…
>>続きを読む

  昨晩、彩の国さいたま芸術劇場音楽ホールで開催された、藤田真央くんのリサイタルを拝聴してまいりました。このところ、ラフマニノフの3番、ベートーヴェンの3番の両協奏曲を聴く機会に恵まれたのに続き、今回はリサイタリストとしての彼の妙味を堪能させていただきました…
>>続きを読む

 1880年にポーランドのダンツィヒに生まれ、1967年にスイスで没したカール・シューリヒトは、20世紀を代表する指揮者の一人です。戦前はドイツで活躍し、ライプツィヒ交響楽団(現中部ドイツ放送交響楽団)、ドレスデンフィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者、ベルリン・フィ…
>>続きを読む

 このところ、日本演奏連盟主催の都民芸術フェスティバル参加の在京オーケストラ公演を順に拝聴しています。1月20日の高関健指揮、東京シティフィルから始まって、2月2日の原田慶太楼指揮、東京交響楽団、2月4日の沼尻竜典指揮、読売日本交響楽団、2月10日の渡邊一正指揮、…
>>続きを読む

 タイトルからは、3つの世紀にわたってその作品が根強く愛好された作曲家を想像されますでしょうか? いいえ、ストレートな意味で3つの世紀にわたってこの地上に留まった稀有な作曲家のお話です。 お名前はレオ・オーンスタイン( Leo Ornstein、1893年12月2日 - 2002年2月2…
>>続きを読む

 庭のミツマタが満開です。家を建て替えました時に庭もそっくり造園し直しましたが、その際、庭師さんが から池のほとりに、前の庭にはなかった見知らぬ低木を植えていきました。枝分かれ部分が規則正しく、必ず3つに分岐する「造化の妙」とでも呼びたくなる律儀なこの低木…
>>続きを読む

 2月13日15:00から東京文化会館小ホールで開催されたテノール歌手フランチェスコ・メールのリサイタルを拝聴いたしました。メーリは今、イタリアで一番人気のテノールで、先頃プッチーニ『トスカ』カヴァラドッシ役の新国立劇場初出演でも話題を呼んだ方です。こちらが新国…
>>続きを読む

 最初に木瓜の鉢売りを見かけましたのが松のとれる頃で、でも自制心を発揮して買わずに我慢し、あまりの売れ行きに吾を忘れてまだ蕾ばかりの白の品種『ニイバリス』を買ったのが睦月11日。それだけでは寂しくなり、硬い蕾の紅も手中にしたのが同月26日。白の開花に安堵する…
>>続きを読む

  建国記念日の昨日、指揮者なしのフル・オーケストラ・コンサートを初めて拝聴し、その爽やかな大成功に心を揺さぶられました!  この快挙は「ミューザ川崎シンフォニーホール&東京交響楽団 名曲全集 第164回」において、このホールを本拠とする東京交響楽団と同団のコン…
>>続きを読む

 「友情に免じて、短い曲を書いて、わたしの妻(Cécile Mendelssohn-B)のために書いた証しとして、その下に署名して送ってくださいませんか。……妻を喜ばせるためにはピアノを弾いてやらなければならないのですが、妻が好きなのは、貴君の曲なのです。……降るほどあるに違…
>>続きを読む

 セシル・メンデルスゾーンは、夫がロベルト・シューマンと親しく交際したのと同様に、ロベルトの妻クララと温かな友情を育み、クララのお誕生日祝いにと、小さな可憐な花束を描いてプレゼントしました。 美しい、本当に美しいけれども、つつましやかで気品に満ちたこの花…
>>続きを読む

  フェリックス・メンデルスゾーン=バルトルディさまが、本日212歳のお誕生日を迎えられました。この方については多くの情報が伝わっていて、感動的なエピソードも多々ございます。例えば、幼少期からあらゆる学問、芸術、のみならず、フェンシングや水泳といったスポーツ…
>>続きを読む

 暦の調整の関係で、今年は珍しく、2月2日が節分となりました。でも、そのような偶々の季節の分け目の日などではなく、もう120年も前から、2月2日はヴァイオリニスト記念日なのです。事の始まりは、1875年の今日、ウィーンの音楽愛好開業医の家庭にかわいらしい男の子が呱々…
>>続きを読む