萩谷由喜子のブログ

音楽評論家・萩谷由喜子が音楽話題や日々の所感を綴っています。

2020年05月

  1913年5月29日、パリのシャンゼリゼ劇場では、上演中のバレエ・リュス(ロシア・バレエ団)の新作バレエ『春の祭典』の評価をめぐって聴衆がまっ二つに割れ、互いに相手方を攻撃して、野次、口笛、怒号、足踏みから殴り合いまで入り乱れる大騒動が起きていました。なぜ、…
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 ベートーヴェン唯一のオペラ『フィデリオ』第三稿=決定稿は1814年の今日、5月23日にケルントナー・トーア劇場で初演されました。人類愛と道徳観の権化のようなこの作曲家は、たった1作しかオペラを書きませんでしたが、その1作に、人類の自由、平等、博愛、友情、そして男…
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 1896年の今日、クララ・シューマンが76年と8カ月の生涯を終えました。彼女に徹底したピアニスト教育を施した父によって命名されたその名は、ラテン語の形容詞クラールス(Clarus)に由来する「光」の意です。まさにクララは、二人の偉大な作曲家シューマンとブラームスの「…
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 音楽の近代コンクールとして世界最古のショパン国際ピアノ・コンクール。今年はその第18回が10月に開催予定でしたが、この度の世界的感染症拡大の波を受けて、1年延期が発表されました。2000年の第14回から連続4回取材してきた身としては、残念ではあるものの、パンデミッ…
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 5月3日の拙ブログでは、全国唯一感染者ゼロの岩手県の秘密を、地道な努力のできる誠実な県民性と、若くして逝った同県出身の石川啄木(1886~1912)と宮澤賢治(1896~1933)のみたまに守護されているからではなかろうかと推測させていただきつつ、文京区小石川4丁目の啄木…
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 本日5月12日は「プラハの春音楽祭」の開幕日のはずでした。1946年に創設50周年を迎えたチェコ・フィルハーモニー管弦楽団は、チェコ国民音楽の父、ベドルジフ・スメタナの命日にあたるこの日を開幕日とする音楽祭をスタートさせ、毎年、オープニング・コンサートでは、6曲…
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 世を戦慄せしめるこのたびの流行り病は、多くの方々の尊い命を奪いました。悲運にも、命を落とされた方々のご冥福を心よりお祈り申し上げます。その一方、英宰相のように、この病から恢復され、お仕事現場に復帰なされたお方もおられます。その稀有なるご体験は、必ずや、…
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 本日5月7日は、ベートーヴェンの交響曲第9番『合唱つき』初演の日(1824年)であるとともに、同じBを頭文字とし、ベートーヴェンの偉業を仰ぎ見続け、そのあとに駄作は書けまいと生涯自分を律した、謹厳実直居士ヨハネス・ブラームスがドイツの北の玄関口ハンブルクに呱々…
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   ヨーロッパ中でペストが猛威を振るった1348年、感染を避けてフィレンツェ郊外の別荘にお籠り生活を送る、淑女7人と紳士3人が、退屈しのぎに、毎晩テーマを決めて、一人1話ずつ面白いお話を語る、という趣向で書かれているのが、フィレンツェの詩人ジョヴァンニ・ボッカ…
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 日々、残念な数字が報じられる中、感染者ゼロを更新している唯一の県、岩手県に拍手を贈ります。2013年に『宮澤賢治の聴いたクラシック』(小学館)を上梓させていただき、取材を通じて岩手県贔屓となった身としては嬉しい限り。もしかしたら、若くして結核に春秋を絶たれ…
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