昨日、神田神保町の北沢ビル2階「ブックハウスギャラリー」で開催された、富士レコード社主催の第38回SPレコードコンサートの前半を聴かせていただいたことをご報告いたしました。実は本日もその続編が同会場で開かれて、このトリオの白眉、ベートーヴェンの『大公』が採り上げられたということですが、わたくしはどうしても都合がつかず残念ながらうかがえませんでした。本日、足を運ばれた方々は、至福のお時間を過ごされたに違いございません。
 2日連続コンサートの1日目の前半のみ拝聴したに過ぎませんが、本当によい経験をさせていただきました。新忠篤さまのお手になる最高のコンディションの再生装置で聴かせていただけましたこと、そして、このトリオに関するご本を翻訳された桑原威夫さまのお話をうかがえたことを、まことにありがたく思っております。
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 これほど個性の強い大芸術家3名がおよそ30年の長きにわたってトリオを組めた奇蹟にあらためて慄然といたしました。「カザルス・トリオ」と呼ばれるのは日本だけで、欧米では3人のお名前を列挙するのが普通、ということも、さもありなんと存じました。傑出した3人のアーティストがどのような思いからこのトリオを存続なさり、他のお二人を思いやったのか、ナチス寄りに見えヴィシー政権に協力したかにみえたコルトーをカザルスが苦々しく思ったのがトリオの解散につながったのか、あるいは、他の二人となかなか合流出来ないカザルスの穴を若いフルニエによって埋めたことを、カザルスが悲しく思われたのか、そのあたりのお話も、本日あったのかも存じません。
 いずれにいたしましても、不世出の偉大なトリオであり、その録音を最適任の方々のご案内で聴く稀有なるレコードコンサートであったことと存じました。
                                   2022年12月25日記