本日10月22日14:00開演の、東京交響楽団川崎定期演奏会第88回を拝聴いたしました。2014年度シーズンより同団の第3代音楽監督の任にあるイギリス人指揮者、ジョナサン・ノット(1962~)の指揮で、以下のプログラムを聴かせていただきました。
■プログラム
シェーンベルク:5つの管弦楽曲 op.16
ウェーベルン :パッサカリア op.1
  〈休憩〉
ブルックナー :交響曲第2番ハ短調
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 マエストロ・ノットはお得意の対抗配置、下手より第一ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリン、コントラバスは最も下手のチェロの後ろという配置で演奏なさいました。ブルックナーについては特に思い入れがおありらしく、基本的にノヴァーク版第2稿(1877年)ではありますが、第1稿(1872年)に準じた楽章順を採用されました。
 つまり、中間の二つの楽章の順番ですが、第2稿では、緩徐楽章―スケルツォになっているところ、第1稿のスケルツォ―緩徐楽章の順に演奏なさったのです。この楽章順は、ブルックナーが強く意識していたベートーヴェンの第九に倣ったもので、この形で演奏していただきますとベートーヴェンの影響がより鮮明に感じ取れるほか、緩徐楽章の終わり部分が胸に染み入るホルンのソロで終わって、そこから不安な表情にみちたフィナーレにつながり、緻密に書かれたフィナーレの進行につれてその不安定さが解消されていくという筋書きにぴたりと適い、収まり心地が非常に良いために、この順をとられたことがわかりました。
 ノット・マエストロのベートーヴェン、そして、ブルックナーへの深いご洞察、研究熱心に感じ入った本日の演奏会でございました。
 コンサートマスターは、お馴染みグレブ・ニキテンさん、その横は、廣岡克隆さんがしっかりと固めておられましたけれども、廣岡さんのプレイヤーとしてのお姿はもうすぐ拝見できなくなるのが残念でございます。楽員の皆様にたいへん人望の篤い廣岡さんは、先頃任期満了となられた大野楽団長のあとを受けて、次の楽団長に就任がお決まりなのです。
                                     2022年10月22日記