昨晩、10月20日の夜19:00より、東京文化会館小ホールで開催された「金川真弓ヴァイオリン・リサイタル」を聴かせていただきました。KANAGAWA MAYUMIさんのリサイタルをお聴きしたのは、今回で2回目です。パンデミックより前に初めて聴かせていただいたときに、このような大型ヴァイオリニストがいらしたのかと強い驚きに打たれ、ドイツ生まれで4歳から日本でヴァイオリンを始められたのち、おもにニューヨーク、ロサンゼルスで本格的に勉強されたというキャリアを知って、さもありなん、と腑に落ちるものがございました。音楽の語法が一つ国に留まるところのない、汎世界的なものであられるのです。その後、ベルリンのハンス・アイスラー音楽大学でコーリャ・ブラッヒャーに師事されて、現在は後進の指導にも携われておられるようです。
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 昨晩のリサイタルでは、幕開けにバッハ無伴奏ソナタの第3番を弾かれたのち、ジュゼッペ・グァレーラさんのピアノで、武満徹の『妖精の距離』、ドビュッシーのソナタまでを前半に演奏され、後半にベートーヴェン『クロイツェル・ソナタ』をお弾きになりました。
 いずれも非常に高次元の演奏でしたが、前半のほうがこの方の最大の長所、すなわち、楽器と一体となって弓圧さえも感じさせない、それでいて、しっかりと美音の紡がれている自然体のボーイングの成果を如実に感じさせていただくことができました。
 アンコールに、ヴァイオリン音楽ファンなら垂涎の、バッツィーニの超絶技巧曲『妖精の踊り』を演奏してくださったのは、本編の『妖精の距離』とのお対になるように、とのご配慮でしょう。
 そしてもう1曲、バーンスタインも披露されて、素晴らしいリサイタルの幕が下ろされました。
 すでに、欧米、及び日本ののメジャー・オーケストラとの協演を数多く果たされていらっしゃいますが、今後ますます、その機会が増えること間違いなしの、旬のソリストでいらっしゃいます。機会があられましたら、ぜひ一度お聴きになられてみてくださいませ。
                                   2022年10月21日記