2010年から9年間、読響の常任指揮者を務め、幅広いレパートリーと光を感じさせる明るい音色によって同響に輝かしい一時代を築いたフランス人指揮者、シルヴァン・カンブルラン(現在は、桂冠指揮者)が3年半ぶりに、同響の指揮台に立たれました。ソリストには、2015年のチャイコフスキー国際コンクールチェロ部門の優勝者、ルーマニア出身のアンドレイ・イオニーツァさんが、長い辛抱の末にようやく晴れて招かれて、サン=サーンスの協奏曲だけではなく、現代フランスの作曲家、ダルバヴィの『チェロと室内管弦楽のための幻想曲集』の日本初演まで披露なさる張り切りぶりをみせました。
topics_1019名曲_カンブルラン

 この重いプログラムをご覧くださいませ。

2022年10月19日〈水〉 第656回名曲シリーズ サントリーホール

指揮=シルヴァン・カンブルラン
チェロ=アンドレイ・イオニーツァ

バルトーク:舞踏組曲
ビゼー:交響曲第1番
  休憩
ダルバヴィ:チェロと室内管弦楽のための幻想曲集(日本初演)
サン=サーンス:チェロ協奏曲第1番
リゲティ:ルーマニア協奏曲

 サン=サーンスが終わった時点で21時を回っていて、後にもう1曲が控えているので、さすがにアンコールはなさらないだろうと思いましたら、若き逸材はエネルギーがありあまっておられ、
「ヨハン・セバスティアン・バッハ、スート・ナンバーワン、プレリュード」
と元気よく叫ばれて、Bachを弾いてくださいます。
 お弾きになりたくてたまらないのがありありとわかります。
 そのあと、舞台転換があって、最後のリゲティ。
 かくして、終演fは21:30近くとなりましたが、久々にマエストロ・カンブルランの音楽を拝聴出来て幸せでした。また、プログラム全体の意図=フランスと東欧を巡る旅、にも得心がまいりました。
                                     2022年10月19日記