1996年1月フィンランド生まれ、現在26歳のクラウス・マケラさんは、12歳で少年合唱団員として『カルメン』公演に出演したときに、直感的に指揮者になることを決意して、迷いなくその道を歩んできた方で、シベリウス・アカデミーに入学してチェロと指揮を学び、早くからヨーロッパの主要オーケストラを振って、行く先々で絶賛を博してきました。日本にも2018年に東京都交響楽団を振ってデビューされています。2020年からオスロ・フィルハーモニーの首席指揮者、2021年からパリ管弦楽団の音楽監督を務め、2027年からはロイヤル・コンセルトヘボウ管の音楽監督就任が決まっているという、稀有なる若き逸材です。そのマケラさんが、パリ管弦楽団とともに来日し、10月15日から21日まで東京、大阪、愛知、岡山で6公演のツァーを開始しました。
本日10月15日、初日の東京芸術劇場公演を聴いてまいりました。
●ドビュッシー :交響的エスキス『海」
●ラヴェル :ボレロ
●ストラヴィンスキー:春の祭典 マケラさんは身のこなしがしなやかで、おつむの回転が速く運動神経の良いことが一目でわかる、生気に満ちた輝かしい指揮者でした。大きめの身振りの指揮の所作のすべてが自然で、こうあるべくしてこうあるという、頭と体の奥底から湧き出ずる指揮ぶりでいらっしゃいました。抜群のリズム感、緻密なダイナミクスの設計、そしていかなる強音も決して濁らせない耳のよさ、明るく煌びやかな音色づくりなど、パリ管のシェフにふさわしい力量をお持ちのマエストロでした。
パリ管は、千々岩英一コンサートマスター以下の弦も優れていましたが、やはり管楽器の精度の高さ、鳴りのよさ、高次のテクニックは特筆ものでした。今日が初日だったせいもあるのでしょうが、お一人お一人、音楽を奏でる喜びにあふれていらっしゃるのがありありと伝わり、それがどの曲にも温かな人間味を添えていました。
アンコールとして、なんと、フランス物ではなく、ムソルグスキーのオペラ『ホヴァンシチーナ』より『モスクワ川の夜明け』が、朝霧の立つすがすがしい川面の光景を思わせつつ、清楚に奏されて『春の祭典』のほてりを静かに冷ましていきました。
そんな選曲にも、若きマエストロの爽やかなセンスを感じました。
2022年10月15日記
本日10月15日、初日の東京芸術劇場公演を聴いてまいりました。
●ドビュッシー :交響的エスキス『海」
●ラヴェル :ボレロ
●ストラヴィンスキー:春の祭典 マケラさんは身のこなしがしなやかで、おつむの回転が速く運動神経の良いことが一目でわかる、生気に満ちた輝かしい指揮者でした。大きめの身振りの指揮の所作のすべてが自然で、こうあるべくしてこうあるという、頭と体の奥底から湧き出ずる指揮ぶりでいらっしゃいました。抜群のリズム感、緻密なダイナミクスの設計、そしていかなる強音も決して濁らせない耳のよさ、明るく煌びやかな音色づくりなど、パリ管のシェフにふさわしい力量をお持ちのマエストロでした。
パリ管は、千々岩英一コンサートマスター以下の弦も優れていましたが、やはり管楽器の精度の高さ、鳴りのよさ、高次のテクニックは特筆ものでした。今日が初日だったせいもあるのでしょうが、お一人お一人、音楽を奏でる喜びにあふれていらっしゃるのがありありと伝わり、それがどの曲にも温かな人間味を添えていました。
アンコールとして、なんと、フランス物ではなく、ムソルグスキーのオペラ『ホヴァンシチーナ』より『モスクワ川の夜明け』が、朝霧の立つすがすがしい川面の光景を思わせつつ、清楚に奏されて『春の祭典』のほてりを静かに冷ましていきました。
そんな選曲にも、若きマエストロの爽やかなセンスを感じました。
2022年10月15日記
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