前にもお知らせいたしましたように、明日10月5日(水)14:00より、西武新宿線小平駅前のルネこだいら、レセプションホールにおきまして、「深沢亮子・中村静香 デュオ・コンサート」を開催の運びとなりました。これは、不肖わたくしが講師にお招きいただいている「小平楽友サークル」の年間講座の一環として、同サークルの主催によるすべて自主運営のレクチャー・コンサートでございます。
 明日、
ご出演くださるのは、わが国ピアノ界の至宝のおひとり、深沢亮子先生と、深沢先生の室内楽仲間のヴァイオリニスト&ヴィオリストの中村静香先生のお二人です。
■演奏曲目
 ♪モーツァルト:ピアノ・ソナタ第10番K.330
   ♪シューマン:ヴァイオリンとピアノのための3つのロマンス  
 ♪ヴュータン:ヴィオラとピアノのためのエレジー
 ♪ドビュッシー:ヴァイオリンとピアノのためのソナタ

 わたくしは解説を少しさせていただきますが、それはプログラムに書きましたので、むしろ、お二人から貴重なお話を頂戴したい気持ちでいっぱいで、何をおききしようかの手掛かりに、深沢先生のエッセイを今拝読しておりましたら、素敵なお言葉をいくつも発見いたしました。ちょっと、抜き書きさせていただきます。
OIP
❤明日、弾いてくださるモーツァルトについて
「やさしい曲を美しく弾くには?」とはよく質問されることだが、一見やさしそうにみえる曲の中に、実は深い内容があり、繊細な感受性に磨き抜かれたタッチを要求される音楽がある。「シンプルなものほど難しい」とよく言われるが、モーツァルトの作品など、そのよい例である。

❤同じく、シューマンについて
 シューマンには、情熱的、行動的な性格と、瞑想的、内省的な性格という、二つの相反する性格がある。それは彼が音楽評論や作品の中で、フロレスタンとオイゼビウスというペンネームを使っていることにも象徴されている。小さなモティーフや一つのフレーズ、また各楽章、ひいては作品全体の中に、この動と静の二つのキャラクターが顕著に現れる。

❤タッチについて
 十本の指で、音の強弱、柔らかさ、切れ味の鋭さ、豊かさ、軽やかさ、歌う音などが無理なく、また、自然な動作のうちにあらわせるようにしたいものだ。
 身体、肩、腕、手首、指などに無理な力が加わると、硬直したぎこちない音になるし、タッチの方法がよくないと、音が抜けたり、不ぞろいになったり、重音がずれたり、いろいろな問題が起こるので、和音、アルペジオ、旋律など、どのような音型においてもできるよう、日頃訓練しなければならない。
 それにはまず、腰かける時の姿勢が大切で、その人の背丈や座高、足や腕の長さ、ピアノのキーの角度に合わせて椅子の高さを決める。・・・・・・

❤どんな演奏を評価なさるか
 私は、少し失敗があっても、引く人の音楽への喜びや愛情がこちらへ伝わる演奏をより重要視する。もちろん、あまり大きなミスも困るが、真に大切なのは、ピアノを弾く人が、何を感じ、それをどう表現するかということであって、無難に弾けばよいということではないのだ。

 演奏のみならず、このようなお話をじかにうかがえると思うと、明日がますます楽しみになってまいりました。
                              2022年10月4日記