本日午後、東京文化会館小ホールで、わたくしの尊敬するピアニストのお一人、深沢亮子先生のピアノ・リサイタルを拝聴してまいりました。長年にわたって、いつも溌溂として気品にあふれるピアノを聴かせてくださる先生が、本日弾いてくださったのは以下のプログラムでございました。
■プログラム

J.S.バッハ/平均律クラヴィーア曲集 第1巻より

       第1番 ハ長調 BVW846

J.S.バッハ/平均律クラヴィーア曲集 第2巻より

       第2番 ハ短調 BVW871

ベートーヴェン/6つのバガテル Op.126

助川敏弥/ソナチネ 青の詩(1975)

シューベルト/即興曲 D935 Op.142

        第1番 へ短調

        第2番 変イ長調

        第3番 変ロ長調

        第4番 へ短調

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 いつものベーゼンドルファーではなく、珍しくスタインウェイをご使用になり、調和のとれたやさしい響きで弾き進まれます。助川敏弥先生作品は、本日の『ソナチネ』はじめ深沢先生とご縁の深い曲が多く、助川先生のご生前からいつも深沢先生の演奏で拝聴しておりましたので、感銘もひとしおでございました。本日の『ソナチネ~青の詩』は助川先生からサイン入りの出版譜もご恵贈いただいておりまして、それがいつであったか、帰宅後に取りだしてみましたら、2013年11月24日に頂戴していたことがわかりました。
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 それから1年10カ月後、2015年9月26日に助川先生は85歳で永眠されました。少し前までお元気でしたのに、まことに残念なことでございました。
 余談ながら、わたくしが子どもの時分に『ものいう魚たち』というシリーズものの理科の分野に属するベストセラー児童書がございまして、夢中で読ませていただいたものでございますが、その著者の末広恭雄先生とおっしゃるおさかな学の権威のお嬢様が、助川夫人の陽子さまと知って驚いたことがございます。陽子夫人はきびきびとした、たいへん聡明な方でいらっしゃいます。
 さて、深沢先生のリサイタルにお話を戻しますと、前半のベートーヴェンでは、『バガテル」(ちょっとしたもの、つまらぬもの)などではまるでない、かっちりとした構成美と逞しい楽想にあらためてベートーヴェンを感じさせていただきました。そして、後半のシューベルトop.142では、第3曲の変奏曲を飛び入りとして、あとの3曲をソナタとして聴いてみる試みをさせていただいたところ、先生の見事な構成力のおかげで、ソナタとしても味わうことができたのでした。
 そして、アンコールは助川先生の小品、十八番のショパンのワルツop.34-1、トルコ行進曲など、何と6曲。深沢先生、ありがとうございました。   
                                     2022年5月28日記